カテゴリー別アーカイブ: 活動報告

9月定例症例検討会

9月16日は定例の症例検討会が開催されました。市民総合医療センターの戸井田医師に症例を提示して頂きました。精神疾患のある家族と発達障害のある不登校の子の間で、子どものためになんとか状況を変えようと主治医が思い悩む症例でした。精神疾患のある家族をどのように支え、どこまで何を求められるのか、明らかになりにくい家庭の状況をどのように明らかにしながら支援をするのか、示唆に富んだ検討会でした。症例提示された戸井田医師にとって励ましや勇気を得た検討会になったことと思われます。

レジデント向けクルズス

9月2日はオンラインにてレジデント向けクルズスを開催しました。 市民総合医療センターの浅沼医師より 「児童思春期への抗うつ薬の使用上の留意点」、附属病院の宮崎医師より 「発達障害診療における臨床実践Q&A」について講義をいただきました。自殺関連事象との関係で24歳以下には使用に抵抗がある抗うつ薬をどのような場面で使いこなすべきか、発達障害診療で答えにつまりがちなご家族からの質問にどのように答えるべきなのか、などレジデントの先生方からの疑問に答えていただきました。

8月定例症例検討

8月19日は定例の症例検討会が開催されました。附属病院の青木医師に症例を提示いただきました。SNSの不適切使用、自傷行為、性化行動、そして警察も巻き込む事件化など担当医が当惑する展開が次々に起こるものの、なかなか歯止めがかからない症例でした。症例と向き合う医師には特有の感情があります。悪びれない態度をとる子どもや、逡巡し重大な決断を迷い先延ばしにする家族に対して医師は焦ったり、無力感を感じたり、腹立たしく感じるなど、しばしば陰性感情を抱きます。そんなときに、治療者がとる態度も様々です。当たらず触らず傾聴に努めるだけにとどめるような回避的態度、一生懸命子どもや家族に説諭するなどの攻撃的態度など、必ずしも子どもや家族にとって有益にならない行動をとることがあります。 そのような場合、医師は自らの感情に気づき、子どもや家族が悪循環に陥らざるを得なかった事情を積極的に理解する態度をとるべきでしょう。その結果、当事者には有益な気づきをもたらすはずです。 青木医師は症例を目の前に、医師としてとるべき態度を迷っていたようですが、今回は全体の経過を振り返り様々な視点を得ることで、治療者としての立ち位置を点検するよい機会となりました。

7月定例症例検討

7月15日にはオンラインで定例症例検討会が開催されました。市民総合医療センターの戸井田医師に症例を提示していただきました。周囲への被害感を強く感じる心的外傷後ストレス障害もしくは精神病危機状態(ARMS;At Risk Mental State)を疑う症例の治療経過についての報告でした。心的外傷後ストレス障害においてもARMSにおいても、複数の機関からの情報や信頼できる評価尺度の利用など複数の情報源を根拠にした評価が必要になります。しかしながら、このような症例では自分の体験を語ること自体が大変でもあるので、評価する医師側も家族や子どもに配慮した結果、十分な評価ができない可能性があります。被害体験とともに幻聴や幻視などの精神病症状を伴う場合、両者の鑑別が難しく迷う場合も多々あります。そういう時こそ、焦らずに丹念な観察と情報収集が必要です。これが不十分なまま、診断や告知、投薬に踏み切ると不必要な家族と学校との関係悪化、精神疾患への偏見と治療中断、副作用による不利益を生じるかもしれません。今後の展開を見据えた十分な経過観察と子どもと家族への説明が必要な症例でした。

シニアレジデント抄読会

7月1日にはシニアレジデントの青木先生・戸井田先生による文献紹介がありました。青木先生は虐待被害を受けトラウマ関連症状が続いている子どもと加害親に対して行う心理療法について、戸井田先生は児童青年期の摂食障害に対する強制栄養と身体拘束の実施について、報告をしてくださいました。青木先生からはCPC-CBT(Combined Parent-Child Cognitve Behavior Therapy)について紹介がありました。昨年末に開発者のRunyon先生の講演開催があったばかりで、CPC-CBTを実践できる治療者はほとんど日本にはおりません。ただし、この治療の実施はともかく、被害体験による心理的影響について治療者の助けを得ながら関係を回復していく治療過程が重要であることを参加者は再認識できました。戸井田先生からはFamily Based Therapyの実施が定式化されているノルウェーの摂食障害治療施設の取り組みの紹介がありました。地域の一般診療では支えきれない症例が入院する治療センターで、どの程度の患者が身体拘束を受けているのか、5年後の予後はどのようなものかを示した報告です。同施設では重症患者が集まるだけあって、紹介患者の66%が入院となり、さらにそのうちの11%が身体拘束となったようでした。外来患者全体でみれば、身体拘束に至るほどの症例はごくわずかであることがわかります。身体拘束患者の予後はそうでないものに比べて若干不良ですが、それでも5年後のBMIは平均18を超えていました。これは横浜市大の摂食障害の治療成績を若干上回る印象です。EBMに基づく治療理念の浸透度やスタッフの充実度などの差が考えられますが、治療成績を向上すべく我々は試行錯誤を重ねる必要があるようです。

6月18日症例検討会

6月18日に定例の症例検討会が開催されました。青木医師から話題提供をしていただきました。性虐待・性被害が診療場面で明るみに出ることが少なく、いざ当該症例に出会った場合に対応に戸惑う場合があります。子どもの訴えは本当なのか、どのようにその被害を裏付けるのか、傷つきはどの程度あるのか、様々な疑問が頭に浮かびつつ、子どもや家族と向き合うことがあるかもしれません。検討では、NPO法人チャイルドファーストジャパンが提供するRIFCRの原則をシェアしました。R(ラポール)、I(問題点の確認)、F(事実確認)、C(終結)、R(通告)というシンプルな流れです。医療者は調査面接的なことはしない、真偽を確かめようとしない、何度も子どもに話をさせない、加害者と疑われている人物に子どもから聞いたことや通告について話さない。ということが重要です。 医師はあくまでも冷静でいなければなりません。子どもの人権や安全の確保を最優先としながら、速やかに支援機関につなぐことが必要です。

レジデント向けクルズス

本日はシニアレジデントからの要望を受けて、指導医がクルズスを行いました。テーマは以下の通り。浅沼医師と宮崎医師が講義を担当しました。いずれも、若手の頃にはなんとなく疑問に思っていたものの、改めて議論されずに通り過ぎやすいテーマで新鮮だったかと思います。

  1. 摂食障害治療を膠着させないために親子にどう対応するか
  2. 情緒障害とは何か

摂食障害治療の際に、病状の勢いに家族が抵抗しきれずに食事を減らす方向に動いたり、治療に連れてくることさえ難しくなることがあります。家族と共に立ち向かうべき敵は摂食障害という病状そのものであり、子どもと闘うことではないことをブレない態度で保ち続けるためにはそれなりの戦略が必要です。これについて議論が交わされました。次に、福祉、教育、医療の中で度々使われるものの、その定義ははっきりしていない情緒障害とは何か?というレジデントの疑問に、昭和40年代からの歴史的経緯を遡り議論しました。各分野で使われる情緒障害の意味は異なること、医療の中では「ゴミ箱診断」の位置づけであり、診断に迷う場合に暫定的に伝えられることはあっても、それを漫然と使い続けてはならないなどの議論がなされました。

医療-福祉-教育-司法の連携会議(オンライン版)

緊急事態宣言下での医療-福祉-教育-司法、それぞれの分野から子どもや家族を取り巻く環境の変化、見えてきた課題を話し合う場として5月28日にオンライン会議を開催しました。中断されているグループ活動の補完としてオンライン支援の活用なども話題に出て、次回はそれぞれの実践報告も、というところまで話がひろがりました。

以下、各分野の方々から報告された現状です。

≪医療≫
病院・療育Cはスタッフ確保や感染予防のため入院・外来の制限や機能制限を行っていたが診療を徐々に以前の状況に戻しつつある。
集団療法は多くの施設で停止しているか、最小限にしている。
不登校・ひきこもりの子の中には「このまま緊急事態でもよい」というほど、プレッシャーが減り元気になっている子がいる。
横浜市の医療・行政では難しいが、小回りのきく一部の診療所ではオンライン診療を実施し、語られなかった問題点が解決の方向に動いたり、ペアレントトレーニングなどはうまくいっている。
≪福祉≫
感染防止を理由に児童相談所が子どもの安否確認ができないというケースは全国でチラホラあるレベル。
不登校・ひきこもり支援は、グループ活動が再開できないため、電話での状況確認や助言を続けている。
運営側も再開しにくいが、外出を怖がる当事者も多くいて、今後のグループ再開に大きな影響が懸念される。
児童相談所は学校でのモニタリングが出来なくなってる分、学校からの通報が減っている。
≪司法≫
家庭裁判所はしばらく休庁しており、現在も分散勤務体制。
身柄付き案件の処理は行っているが、面会交流事案や在宅などの軽微な事案は棚上げ状態。
警察対応となっている家庭内の問題は増えているという噂もあるが、警察からあがってくるケースは減っている。これは警察の対応力が落ちているためか、世間が平和になっているためかわからない。
≪教育≫
オンライン授業の利活用をしている学校、そうでない学校様々である。
厚労省からの通知で、子ども・家庭の支援が必要とのことで電話での状況確認や支援をはじめている。
ネット依存、暴力など大変な家庭もある。
オンラインを活用している学校では保護者会などが行われていて、比較的よい印象。
オンライン授業によって、不登校だった子たちが担任やクラスメイトの顔や声を見聞きすることで学校への抵抗感が減ったという話もある。
逆にオンライン授業で顔を出して参加することに抵抗がある子もいる。
各学校や自治体がどのような取り組みをしているのか、横のレベルでの情報共有はあまりできていない。
特別支援学校の送迎の再開は難しい。親には相当負担なはず。
就学説明会などの開催も課題。

5月21日症例検討会

本日は附属病院と市民総合医療センターの医師限定での症例検討を行いました。市民総合医療センターレジデントの戸井田医師に発表を担当していただきました。家庭の機能不全がある場合、子どもの居場所がなく、病院にいることが一番の安心となることがあります。現実的には医療機関を長期の居場所として設定することはなかなか難しいため、うつ状態や飢餓状態が回復すれば、まだ不安の残る家庭に退院していただくのが一般的です。主治医は退院の準備をする中で、子どもの不安を聞き取り、その不安を解消すべく様々な工夫をする必要があります。丁寧な家族面接、地域連携はもちろんですが、「困ったらいつでも相談に乗るから」と多少の風が吹いても揺れない大樹のような存在であることも必要なのかもしれません。

4月16日症例検討会

従来実施してきた福祉や教育分野の先生方にも参加いただく形の症例検討会は当面見送りとなっていますが、若手医師の臨床スキル向上を目的に医師限定の症例検討会は継続することになりました。 新型コロナウイルス感染対策のため児童精神科でもリモートワークを行い、個人情報には十分配慮をしつつWebexビデオ会議システムを用いました。当日は自傷・自殺を反復する思春期症例に関する関り方について宮崎医師に症例提示をいただき、自傷・自殺の背景にある生きづらさについて、子どもや家族の抱える課題への適切な支援のあり方ついて議論を深めました。外来や入院環境における観察から「発達特性と環境のミスマッチ」の問題が見えたとしても、当事者が腑に落ちる説明と合意、生活場面での汎化や支援体制の構築を達成するのはなかなか難しいものです。参加者からはそれぞれの経験をもとに工夫について意見をいただきました。

2月19日症例検討会

2月19日には市民総合医療センターにて医師限定の症例検討会を実施しました。症例は宮崎医師が提示しました。児童相談所の一時保護所からの入院依頼がある場合は保護所内で精神症状が顕著なために生活がままならず職員も限界まで対応して漸く入院にこぎつけることがしばしばです。自傷や拒食、周囲の子どもたちを巻き込んでの行動化など様々な困難を呈しています。どこまで入院治療で改善するのか、どの程度家族や地域の協力がないと改善が見込めないのか、一部の症状はこれからも反復して生じるのかを整理してから治療を開始しないと、退院時に受け入れ側の準備が整わずに徒らに入院期間を延長することにつながります。行動化の背景となる生活歴や家族歴を十分に把握し、どのような子どもなのか、どのような成長が見込めるのか、何が子どもにとって必要なのかを見立てては試行錯誤し、見立てなおすという繰り返しの入院治療となります。退院を計画する際には、子どもを支える地域の支援者の不安を理解しながら、医師ができる最大限の助言と労いを提供しつつ連携を図っていくことが重要です。

全国児童青年精神科医療施設協議会第50回研修会

2月7日-8日にかけて三重県津市で行われた全国児童青年精神科医療施設協議会第50回研修会(全児協)に横浜市立大学児童精神科のメンバーで参加しました。横浜市立大学は児童思春期病棟を有していないためオブザーバー施設としての参加でしたが、子どもの入院治療を行う治療施設の丁寧な子どもたちとの関わりや病棟運営は日常臨床の参考になりました。以下、会に参加したレジデントの中村医師、宮崎医師の感想です。

宮崎医師 今年度より成人精神科から児童精神科研修に移行し、教育・福祉との連携、成人とは異なる多角的な視点の必要性、子どもたちへの関与の難しさ・重要性を痛感する日々です。全児協では子どもの心の診療を行う病棟での診療の実際や子どもたちの具体的な生活の様子について実感を得ることが出来ました。特に興味深かったのは三重県立子ども心身発達医療センターの発表でした。同センターの数年に渡る“育て直し”の時間、保育士を中心としたスタッフによる様々な遊びを通した関り、大人への信頼の基盤形成を意図した取り組みは印象に残りました。全力で子どもと関わるスタッフの日々の苦労と覚悟を感じ、多職種で子どもに関与することの意味を考える機会となりました。私は今年度から児童精神科研修を開始し、これまでの成人精神科研修と比較して過去の自分自身の診療のあり方を見直すことが増えました。子どもに自分が関与した時間を少しでも成長する子どもにとって 少しでも良い時間とするために、今後も自問自答をしたいと思います。改めて自分の覚悟を問う機会となりました。

中村医師  今回のテーマが「子どもの生きる力を」育むということで、各施設の方々の熱心さや症例ごとの苦労話をたくさん伺いました。全児協ではこれまで参加してきた学会と異なり、医師以外の職種、看護師、心理士、ソーシャルワーカー、教諭、保育士の方々からの発表が多く、普段の診療場面では気づかない視点が提示され大変勉強になりました。日頃、自分は1〜3ヶ月の短期入院診療をしています。しかしながら、年単位に渡る長期入院診療ではより良い医療や支援を提供するためにコメディカルの存在が重要で、病棟を運営する上の舵取りの役割が医師に求めらていることを感じました。自分はまだまだ経験も知識も未熟なため、今後も一歩一歩研鑽を重ねていきたいと思います。児童精神科診療の根本は「子供のために」という気持ちがエネルギーの源泉だと思います。熱意をもって子どもに関わる方々のお話は自身の気持ちをリフレッシュしてくれました。

2月講演会

横浜市中央児童相談所で弁護士として勤務されている藤沖彩先生の講演会を2月5日に市民総合医療センターで開催しました。当日はレジデントの宮崎医師、中村医師から医療現場からの素朴な疑問を提示し藤沖先生にお答えいただく形で出発し、児童相談所の業務の実際や親権停止の手続き、性虐待を受けたお子さんと加害者の裁判の実際を紹介いただきました。我々が困難な症例にあたる場合、医療者が抱える法的責任を過度に意識して回避的になる場合、子どもの権利を侵害していないか悩む場合など司法の専門家の助言が役立つ場面が多々あります。今回の講演を通した医療と司法の情報交換は、我々の知識整理に大いに役立ったと思います。

1月定例症例検討会

1月15日に市民総合医療センターにて令和2年最初の定例症例検討会が実施されました。症例提示はレジンデントの宮崎医師が担当しました。医療、福祉、教育、司法の立場から30名以上の方に参加いただきました。診療を行う中で子どもを巡る周囲の大人同士のトラブルについて相談が持ち込まれることが度々あります。例えば、父母の離婚問題や家族と学校間のトラブルなどです。時に、教育委員会や児童相談所、裁判所、保険会社なども巻き込んで大きな問題に発展します。主治医は実際のトラブルの場面に居合わせた訳でもなく、当事者から聞こえる情報は断片的であるため、事実関係がはっきりせぬままに諸機関から医療的助言や診断書を求められるなど、対応に悩むこともしばしばです。子ども権利の旗印のもとに被害の有無の立証を巡る争いが続く中、子どもは沈黙を守るか周囲の大人に盲目的に従うこともあります。当日はこのような場合の主治医としての振る舞いは何が最適なのかという点で議論が深まりました。被害を受け傷ついた後、さらに周囲の大人が衝突するという状況下にある子どもを労いながら、子どもの健康回復に向けた助言を根気よく続ける態度を守ることが、混乱した状況にある当事者の方向性を修正しうることが確認されました。

12月症例検討会

12月18日には医師限定で市民総合医療センターにおいて症例検討会を行いました。症例提示は中村医師が担当しました。医療継続が必要なお子さんが、来院しない、もしくは来院が途切れがちな場合について、どう考えるかを話し合いました。初診時の子どもと家族への関わりの中で、薬物療法なり心理療法なりの治療方針を提示する場合、子どもと家族がどのような経過をたどっていて、医師のみたては何なのか、どんな理由でその治療を推奨するのか、十分コミュニケーションを取っていくことが大切であることを確認しました。治療の方向性やゴールを十分共有してからでないと、不信や誤解、理解不十分のまま中断を招きかねませんので、医師は十分注意を払わないとなりません。

第60回日本児童青年精神医学会に参加してきました。

12月5日~7日まで沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで横浜市立大学児童精神科グループからいくつか演題を発表しました。子どもの自殺、性別違和、精神科救急、外来統計など様々な視点から横浜の診療の現状について発表し、議論と交流を深めました。

小児の自殺企図者の臨床的特徴(市民総合医療センター宮崎医師)

神奈川県立総合療育相談センター 児童精神科における受診症例の検討 (県立総合療育相談センター 中島医師)

児童思春期における精神科救急症例5年間の検討 (市民総合医療センター六本木医師)

児童思春期の性別違和と メンタルヘルスの関連性について (附属病院金澤医師)

魅力的な児童精神科研修のあり方について ~大学病院での児童精神科シニアジデント研修を経験して~ (附属病院中村医師)

他、神奈川県立精神医療センターの山本医師が「神奈川県立精神医療センター依存症診療科における10歳代患者の経過」を、附属病院の藤田医師が薬事委員セミナー「児童青年期薬物療法のエビデンスと実臨床の狭間で」にてシンポジストを担当しました。

11月定例症例検討会

11月20日に市民総合医療センターにて定例の症例検討会を実施しました。症例提示は中村医師に担当していただきました。摂食障害は経過が長期になると、本人にとっても家族にとっても摂食障害の病理を反映した生活が日常風景となりがちです。体重回復の必要性を説得しても、入院を提案しても、それを決断できないこともしばしばです。治療者は子どもと家族と付き合う中での押したり引いたりをうまく使いわける必要がありますが、押しすぎてもうまくいかないですし、引きすぎても状況悪化を見守るだけになってしまいます。
中村医師は、心理士、訪問看護師とも上手に連携を取りながら真摯に治療を進めていましたが、いろいろな局面での判断が果たして正しかったのか自問自答を繰り返しながらの外来診療でした。このような迷いを減らすには複数のお子さんの回復経過を知る必要がありますが、このような症例検討会で方向性を確認することも医師にとってはとても大切なプロセスだと思われます。

レジデント向けクルズス

11月6日には横浜市西部児童相談所に勤務するOGの陶山先生に精神科医が児童相談所と連携する上で知っておくべき要点をレクチャーいただきました。成人グループで勤務する精神科レジデントにも複数参加いただきました。児童相談所は子どもや家族を支援するために欠かせないパートナーですが、支援の方法論や文化は異なります。よい連携を築くための心得を丁寧に教えていただきました。

神奈川県自殺対策講演会報告

9月に浅沼医師が県の自殺対策講演会を担当しました。当日の講演について以下のように報告いただきました。
9月21日に伊勢原市中央公民館で行われました、神奈川県自殺対策講演会で講演をさせていただきました。総勢115名と、大勢の方の前でお話しする機会をいただき、貴重な経験となりました。
質疑応答では、自殺念慮のサインに気づくことの難しさや、児童精神科へのアクセスの困難さなどの意見が出ました。ディスカッションの時間も大いに盛り上がり、参加者の方々のおかげで温かい雰囲気のまま会を終えることができました。児童精神科医が、地域の皆さんにとって、もっと近い存在となっていかなければいけないと感じた次第です。今回の公演が、みなさんの助けに少しでもなっていましたら幸いです。

10月症例検討会

10月16日には市民総合医療センターにて医師限定の症例検討会が行われました。宮崎医師に症例提示をしていただきました。反抗拒絶を続け、自暴自棄な行動となる子どもとどう関係を作り、家族との関係を修復しながら守って行くのか、短いスパンの入院治療で若手の医師は悩みます。長い傷つきの歴史があり、人との信頼関係が損なわれている例では、その歴史に関わる大人が目を向け理解しケアを続けながら寄り添う時間が必要です。藁をもすがる思いで病院に辿り着いた子どもと家族に対して、辛抱強く治療を続けることをいかに伝えていくか、その難しさについて議論がなされました。