小児科専攻医研修(後期研修)について

更新日:2020年6月4日

過去10年以上にわたり、横浜市大の2大学病院の初期研修終了者のみならず、全国の諸病院で初期研修を修めた多くの先生方が、後期研修(小児科専攻医研修)を行う病院として、当教室を選んでくれた事は、大変に喜ばしいことです。当教室では、プロフェッショナルと呼ばれるにふさわしい一人前の小児科医に育って頂くために、後期研修制度やその後のsubspecialty研修制度の整備を行ってきました。2017年度からは専門医制度の改変がありましたが、当教室の後期研修プログラムは、偶然にも10年以上前から専門医機構が要求する骨格を満たしていましたので、大きな変更点はなく、従来からの研修様式を継続します。

当教室 に興味を持たれた方は、当ホームページの別項に記載してあるプログラムを確認の上、医局説明会に是非ご出席ください。また、プログラムに申請を希望される先生におかれましては、必ず2大学病院のどちらか、あるいは両方での最低一日の見学をお願いしています。(2020年はオンライン面談で代替することにしています)私たちの診療体制や、教室の雰囲気を直に感じて頂きたいからです。募集についての詳細は、今後、当ホームページに随時アップしてゆきますので、宜しくお願いいたします。

新型コロナウイルスの流行により病院見学が難しい状況が続いています。当教室に興味を持たれた先生方は、直接下記『医局長』にご連絡をいただけたらと思います。パンフレットやZOOMなどを利用してプログラムと教室説明をさせていただきます。

»2021年度小児科専攻医募集について

»2020年度小児科専門研修プログラムについて

公表されているプログラムは学会による一次審査を通過したものであり、機構による二次審査の結果、修正・変更がありうることをご承知おきください。

◆当教室の専門医制度についての考え方については、教授挨拶の欄も是非ご参照ください。

入局・後期研修などの問い合わせ

横浜市立大学附属病院小児科 医局長(教室長) 大山宜孝

電話045-261-5656 FAX 045-243-3886

入局者の多様性こそが横浜市立大学小児科の独自性

「三代住めば江戸っ子」という東京の土地柄と違い、横浜は開港50年の新しい町であり、「三日住んだら浜っ子」と言われるほど、開放的で明るい土地柄です。そのためか日本中の大学から若い医師が集まり、私たちの教室員の80%以上は、全国の様々な大学の出身で、出身大学などによる区別はありません(表1)。そして、同期入局者の仲がとても良く、同期会なども開催しているようです。やる気に満ち溢れた、同じ志の同期が多数いることは、お互いの成長刺激となり、切磋琢磨しあえる好循環をもたらしています。下記に、2004年からの入局者を示します。多様性、個性、独自性の尊重は、私たち教室が大切にしているものの一つです。

表1. 2004年以降の入局者の人数と内訳
  入局者(男性:女性) 出身大学
2004年 8名(4:4) 北里大、埼玉医大、札幌医大、福島県医大、横浜市大4
2005年 8名(4:4) 神戸大、埼玉医大、浜松医大2、山口大、横浜市大
2006年 17名(7:10) 京府医大、杏林大、群馬大、高知医大、聖マリ医大、千葉大、
日本医大2、浜松医大2、横浜市大3
2007年 18名(9:9) 秋田大、金沢医大、高知医大、聖マリ医大、東邦大、日本医大、
浜松医大2、弘前大、福島県医大、北大、山形大2、山口大、山梨大、
横浜市大3
2008年 18名(12:6) 愛知医大、秋田大2、北里大、京府医大、埼玉医大、佐賀医大、
女子医大、聖マリ医大2、筑波大、東海大、獨協医大、浜松医大、
弘前大、福島県医大、山形大、横浜市大
2009年 14名(7:7) 香川大、信州大、聖マリ医大、東海大、徳島大2、浜松医大、
福井大、福島県医大、和歌山県医大、横浜市大3
2010年 13名(6:7) 旭川医大、高知医大、滋賀医大、昭和大、聖マリ医大、群馬大、
東北大、鳥取大、新潟大、福島県医大、横浜市大3
2011年 9名(6:3) 岐阜大、群馬大、埼玉医大、産業医大、筑波大、日本医大、横浜市大
2012年 25名(14:11) 大阪大、北里大2、札幌医大、滋賀医大、島根大2、信州大、筑波大、東邦大、富山大、新潟大、日本大、浜松医大4、広島大、藤田衛大、防衛医大、北海道大、山形大、山口大、横浜市大2
2013年 13名(6:7) 旭川医大、千葉大、日本医大、三重大、琉球大、東京医大、北大、福島県医大2、聖マリ医大、札幌医大、帝京大、横浜市大
2014年 21名(12:9) 富山大、帝京大2、金沢大、秋田大、東北大2、群馬大、兵庫医科大、北里大、千葉大、山口大、山形大、独協医科大、島根大、福島県立医大、女子医大、横浜市大4
2015年 18名(9:9) 山形大、山梨大、新潟大、島根大、宮崎大、琉球大、独協大、筑波大2、北里大2、東海大2、?横浜市大5
2016年 22名(11:11) 横浜市大6、信州大2、筑波大2、日本医大2、山形大2、北海道大1、群馬大1、福島県医大1、東京医大1、東邦大1、聖マリ医大1、徳島大1、宮崎大1
2017年 20名(11:9) 横浜市大3、新潟大2、群馬大3、東京医大3、東邦大2、山梨大1、昭和大1、聖マリアンナ医大1、東海大1、藤田保健衛生大1、滋賀医大1、香川大1
2018年 10名(6:4) 宮崎大3、山形大2、自治医大1、筑波大1、埼玉医大1、横浜市大1、広島大1、後期研修終了後1名(関西医大)
2019年 16名(10:6) 横浜市大7、信州大2、愛知医大1、旭川医大1、浜松医大1、日本医大1、後期研修終了後3(横浜市大、長崎大、筑波大)
2020年 16名(7:9) 横浜市大5、聖マリアンナ医大2、島根大1、群馬大1、女子医大1、独協医大1、金沢大1、浜松医大1、秋田大1、山形大1、後期研修終了後1(福島県立医大1)

横浜市立大学附属病院小児科で専門研修をするメリット

1. 小児科医として成長する機会の提供
A. 専門研修制度の概要と専門医取得について

小児科医が関わる医療分野は、全診療科の中でも最も広く、予防接種や検診など健常児の管理、感染症や小児救急疾患を主とする一般小児疾患から、血液・腫瘍、循環器、神経、新生児未熟児、アレルギー、リウマチ・免疫、腎臓、内分泌・代謝、呼吸器、消化器、遺伝などの高度に分化したsubspecialty、さらに救急・小児集中治療などの高次医療まで、極めて多岐に及び、小児科医は幅広い知識と経験を求められます。そして、内科系臨床医の成長に重要な事は、知っていること(知識)、評価し考察すること(病態生理の把握)、判断し行うこと(適切な治療選択)、そして全3項目の顧みと復習(事後評価と対策考案)の「知・考・行・顧」の反復です。後期研修の3年間で「知・考・行・顧」のプロセスを大切にしながら、小児科医としての基本的知識や技術を習得し、さらに重篤な患者さんへの対応能力の獲得も目指します。

専門研修の3年間は、下の表に示したように、1年目、3年目は当教室の10の大規模連携病院 のうちの2施設で研修し(小児一般疾患、健診、小児救急などを経験)、2年目の6ヶ月間は大学附属病院で研修します(表2)。この研修を通じ、小児科専門医の資格取得に必要な症例を受け持てるように配慮しています。また大学病院で、興味のあるsubspecialty分野(1-3分野、ただし新生児・循環器は必修)を、より深く研修する機会が設けられています。その際に、将来専攻することを視野に入れているsubspecialty分野の経験が可能となります。また小児科専門医の取得のために必要な論文作成を「教育・キャリアパス部会」の下で指導し、それを通じて研究、学会発表、論文作成の意義や重要性を学びます。

日本小児科学会専門医の資格取得のために必要な研修期間は、初期研修を含めて5年間とされていますが、当教室では入局後の3年間を小児科専門研修期間と設定しています。当教室は専門医の獲得のために、獲得に必要な症例の過不足の確認、事務手続きの確認、受験の準備、申請に必要な1編以上の筆頭論文の作成指導などに対応し、小児科専門医の資格 が獲得できるようにサポート体制を充実させています。ちなみに直近3年間の専門医試験合格率は93%を越えています。

専門研修施設の選択は、将来の進路に大きく影響する人生の重大事項です。したがって、積極的にプログラム内容や教室の説明会に参加する、あるいは一日かけて病院見学をするなど、実際に自分の目で見て、肌で感じて、そのプログラムが自分にふさわしいかを判断することをお勧めします。当教室も随時見学を受け入れており、大歓迎です。

表2 横浜市立大学小児科専門研修プログラム
卒後年数 勤務医療機関
1年目 連携病院A
2年目 連携病院A/大学病院 or 大学病院/連携病院B
*神奈川県立子ども医療センターでの交換研修若干名あり
3年目 連携病院B

B. 研修協力連携病院とは

当教室は、教室員数が多いスケールメリットを最大限に活用し、神奈川県や横浜市で小児医療の拠点病院として位置づけられている、全ての連携病院に10名以上の小児科医を配属し、診療体制と患者の集約化を成し遂げています(表3)。各病院は一般診療、小児救急に加え、それぞれ独自の得意分野を持っています。各病院の総ベッド数は400-700床で、症例数も豊富です(3年間で小児疾患の8-9割を経験できる(拠点病院小児科部長談))。さらに、指導体制の充実を目指し、多人数の医師を配置したことにより、様々なsubspecialtyを持つ先輩医師のアドバイスや教育を得ることができます。

表3 各病院の専門分野と特性
大学病院 附属病院 小児リウマチ、免疫疾患、感染症、血液・腫瘍、
循環器、未熟児・新生児
市民総合医療センター 腎臓、神経、内分泌・代謝、感染症
総合周産期母子医療センター 未熟児・新生児
研修協力病院 横浜労災病院 小児一般疾患、小児救急、未熟児・新生児
済生会横浜市南部病院 小児一般疾患、小児救急、血液・腫瘍
済生会横浜市東部病院 小児一般疾患、小児救急、循環器、肝臓消化器、未熟児・新生児
国立病院機構横浜医療センター 小児一般疾患、小児救急、アレルギー、未熟児・新生児
藤沢市民病院 小児一般疾患、小児救急、PICU、未熟児・新生児
小田原市立病院 小児一般疾患、小児救急、腎臓、未熟児・新生児
大和市立病院 小児一般疾患、小児救急、アレルギー
横浜南共済病院 小児一般疾患、感染症
横浜市立みなと赤十字病院 小児一般疾患、小児救急、内分泌、アレルギー、未熟児・新生児
横須賀共済病院 小児一般疾患、小児救急、未熟児・新生児、内分泌、小児精神

<小児科専門研修者の声>

  • 私は、大学も初期研修病院も神奈川ではなかったため、横浜市大での後期研修には不安がありましたが、見学や説明会に参加して、そのような不安はなくなりました。今は、色々な大学や研修病院出身者と知り合え、とても良かったと思います。互いに教え合いながら日々研鑽しています。
  • 一般小児疾患だけでなく、専門的な疾患を診ることは、非常に勉強になります。初期研修で小児科の研修期間が短く経験が少なくても、基礎的なことから教えてもらえるので安心でした。
  • 定期的に院内で新生児蘇生法(NCPR)の講習会が開催されるので、プロバイダーにもなりました。
  • 指導医の数が多いのでいつでもコンサルトできます。当直時や休日も、上級医や指導医に相談できるので安心です。また、どの分野でも専門医のスタッフがいるのも恵まれた環境だと思っています。
  • 大学や研修病院などの出身は違いますが、仲が良いです。中華街で同期会もしました。
  • 一病院あたりの小児科医数が多いので、当直はきついですが、回数がとても多いわけでもなく、翌日も早く帰れるので、体力的にも精神的にも頑張れます。また、学会にも参加する時間があるので勉強になります。

2. 研究会、勉強会の機会
A. 「若手小児科医の為の教育セミナー」について

当教室では、現教授の伊藤の発案により、2007年4月より、若手医師を対象とした、「若手小児科医の為の教育セミナー」を開始しております。この会の目的は、「バランスの取れた優秀な小児科医を育てる」事にあります。年6回、毎回1.5時間程度(市民総合医療センター6F会議室19時~)、各専門分野の医師が、「市中病院で経験する頻度の高い専門疾患についての診療法や治療法」を、臨床で役に立つ重要なポイントを中心に講義します(表4)。同期や前後の学年が一堂に顔を合わせる機会にもなっています。ちなみに、「こんな講義をして欲しい」という若手医師からのリクエストにも柔軟に対応しています。

表4 若手セミナーの例
領域 講義内容
一般、感染免疫 抗菌薬の使い方
小児の咽頭、耳、リンパ節、皮膚の診方
救急 小児救急・PALSの要点
新生児 1500g以上の新生児を確実に診るには
循環器 チアノーゼ性心疾患・心エコーの基礎
アレルギー 気管支喘息
アレルギー 食物アレルギー、アナフィラキシー
神経 けいれん・意識障害への対応
腎・泌尿器 ネフローゼ・急性腎炎・尿路感染症
感染免疫 川崎病 不明熱
血液・腫瘍 貧血・ITP・悪性腫瘍を疑う時
内分泌・代謝 ケトアシドーシスの対応・よくみる内分泌疾患

<講師や企画者の声>

  • 自信を持って専門疾患を診れるようになりたい
  • 顔見知りになることにより、大学に相談しやすい環境を作ってあげたい
  • EBMに基づいた一般化された治療が出来るようになる
  • 将来の専門性を選択する上での手助けをしてあげたい
  • 小児科医という仕事に愛とプライドを持ってもらいたい(これが最も大事!)
  • 皆さんの参加を心よりお待ちしております。夕食つきです!

B. YPENKフォーラム

YPENKフォーラムは、「神奈川の救急医療をになう若手小児科医ネットワーク(Young Pediatrician Network on Emergency practice in Kanagawa;略称YPNEK)」が主催する若手小児科医むけの定期勉強会です。本会は、グループディスカッションと総括講演で構成され、若手医師のみなさんの一般・救急診療におけるスキル・知識のレベルアップと他施設医師との交流を目的としています。

C. 大学のsubspecialtyグループの勉強の機会

研修病院に勤務しながら、自分のsubspecialtyを探す、あるいは目指して頂きたいと思います。何らかのsubspecialtyを持つことは、小児科医としての自分の個性、武器につながりますので大切な事です。そのため、週に1回程度、研修している病院から時間をもらい、subspecialtyに触れるために大学病院の専門外来やカンファランスなどに出席する機会を設けています。学会発表や論文作成などの指導も受けられます。

3. 専門研修後の小児科としての進路

専門研修後にどのような小児科医を目指すかは、十人十色です。例えば、連携病院で幅広く何でもできる一般小児科医を目指す人、開業し地域医療に貢献したい人、大学病院や小児病院で特定分野のSpecialistになりたい人、基礎研究を続けたい人、結婚や出産を経験しながら仕事を続けていきたい人、海外で勉強や勤務したい人、行政に進む人、南の島で僻地小児医療を選択する人など、多岐にわたり、これもまた小児科医という仕事の幅広さを象徴する事実です。そして私たちの教室は、それぞれの希望に応えていきたいと考えています。

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