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腎臓グループ

腎臓グループは、市民総合医療センター(センター病院)と県内の連携病院の腎臓病外来を中心に、腎臓・泌尿器疾患の患者さんを診療しています。神奈川県下の小児腎疾患診療施設の中では、最も多くの患者さんの診療をしています。

臨床面では、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、慢性腎臓病、腎移植、先天性腎尿路疾患、尿細管疾患の患者を対象に診断、治療を行っています。糸球体腎炎、ネフローゼ症候群の治療としては、EBMやガイドラインに準拠した標準的な治療を基本とし、難治性ネフローゼ症候群に対してはリツキシマブ療法などの最新の治療法も積極的に行っています。また、非典型溶血性尿毒症症候群、Fabry病、シスチノーシス、結節性硬化症などの希少腎疾患への先進的治療にも対応します。診断目的や治療効果の評価目的等も含め、年間60件前後の腎生検を腎病理医の協力の下で行っていますが、これは全国的に見ても大変に多い数です。

急性血液浄化も腎臓グループの担当です。急性腎障害、溶血性尿毒症症候群等の腎疾患に加え、川崎病や代謝疾患、リウマチ疾患、神経疾患等に対して、血液透析や血漿交換療法等を含む様々な血液浄化療法を、集中治療医や腎臓内科医と協力して、年間10~20名の患者に計50日以上実施しています。血液浄化療法の技術は腎疾患に留まらず、様々な免疫疾患の治療に応用可能な技術です。

末期腎不全の患者さんには腹膜透析や血液透析の導入や管理を行います。さらに、臓器移植科と連携し腎移植も実施しています。今後、さらにこれらの末期腎不全患者の診療を充実させてゆきます。また、小児泌尿器科医と連携し、膀胱尿管逆流症等の先天性尿路奇形の外科的治療にも関与しています。医療行政との関わりとしては横浜市および神奈川県内の多くの市で学校検尿の判定委員会を務め、腎臓病の早期発見と早期治療に力を入れています。

小児の腎臓病について

国内最大級の医療系ウェブサイトMedical Noteに、横浜市大小児科 腎臓グループのメンバーが、小児の腎臓病についてわかりやすく解説しています。是非ご覧ください。

小児の腎臓病の患者様・ご家族向けの解説書

お子様の病気と向き合うには病気についての正しい知識が欠かせません。しかし、わかりやすく、読みやすい一般向けの小児腎臓病の本がなく、お困りの方も多いと思います。横浜市大小児科主任教授の伊藤秀一が国立成育医療研究センター在籍時に「こどもの腎炎・ネフローゼ」という患者様とご家族向けの小児腎臓病の本を出版しました。今回、その改訂版である「新子どもの腎炎・ネフローゼ」が出版されました。是非ご一読ください。ここでは本書の第一章「慢性疾患のお子さんと保護者の方へのメッセージ」を試しにお読みいただけます。

「新子どもの腎炎・ネフローゼ」
伊藤秀一(執筆・編集)東京医学社 


序章 「慢性疾患のお子さんと保護者の方へのメッセージ」(PDF)

臨床研究としては、EBMに基づいた治療法の確立のため、「厚生労働科学研究費補助金」の多施設共同臨床試験に参加して頻回再発型小児ネフローゼ症候群、小児IgA腎症、ステロイド抵抗性小児ネフローゼ症候群など数々のランダム化比較試験に協力してきました。これらの臨床試験への患者登録数は全国的に見ても多く、当大学に患者さんが多く受診されていることを示しています。また、当大学と昭和大学藤が丘病院、神奈川県立子ども医療センターの市内3施設が中心となって、ネフローゼ症候群等の最新の治療法に関して定期的な勉強会(横浜小児腎研究会)をおこない、活発な意見交換と臨床共同研究をしています。

基礎研究では、「Lupus腎炎におけるtoll-like receptor9の関与」などの基礎的研究を行ってきましたが、様々な腎疾患の病態解明を研究をテーマにしています。今後はネフローゼ症候群の病態解明の為の基礎研究や稀少遺伝性腎疾患の遺伝子解析などを推進してゆきます。

患者さん向けには、「市大および協力病院に通院するネフローゼの患者さんの会」を立ち上げ、病気への理解を深めるなど患者さん同士の交流を促進し、さらに様々な相談にのっています。現在、腎臓グループには、10名以上の医師が所属しています。近年、若手の医師が増え、教育に力を入れています。このように、私たちは常に情熱と科学的探究心を忘れずに、腎臓疾患の子ども達と向き合っています。

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