アレルギーグループ
アレルギー性疾患は、近年増加傾向にあり日常の小児外来診療においても主要な疾患の一つとなっています。それぞれの疾患についてガイドラインも漸く整備され、軽症例については一般小児科医の基本的疾患の一つとなってきています。したがって、すべての小児科医にとって一定レベルのアレルギー疾患についての知識は必要不可欠です。難治例ならびに重症例については専門医による治療が必須であることは言うまでもありませんが、通常治療においても「的確な診断、治療」を行い子ども達のQOLを上げ成人まで持ち越さないこと、さらに患者ならびに保護者ばかりではなく一般医への新しい情報の提供と啓発を専門医の使命として診療を行っています。
大学病院での専門外来はセンター病院で行なっていますが、主には国立病院機構横浜医療センターを中心に、横浜市大小児科協力病院の多くにアレルギー専門医を配置し、アレルギー疾患の地域における治療拠点としての役割を担っています。現在、アレルギー学会専門医数は8名(うち、1名指導医)を擁しています。日本アレルギー学会専門医のための教育施設も5病院あります。
臨床面では、重症気管支喘息時の治療のみでなく様々な検査で客観的評価を行っており、重症アトピー性皮膚炎児に対しては入院での集中的な治療のみでなく小児科医ならではの栄養、発達含めた評価を施行、また食物アレルギー児に対しては、近年各地で研究が盛んに行われている経口免疫療法(いわゆる減感作)で、「食物アレルギーを治す」治療も積極的に行っています。
研究面では、主には以下のテーマを中心に活動しています。
- 気管支喘息患者の客観的評価方法(気道過敏性、呼気中NO、気道抵抗など)
- ウイルス感染と喘鳴、気管支喘息発症(厚生労働科学研究補助金での研究協力者とし、国立感染症研究所、他大学と共同研究を行っています。)
- 食物特異的経口免疫療法
- アナフィラキシー患者の動向分析
- 国立病院機構ネットワーク研究、学会主導の臨床研究にも積極的に協力しています。
横浜市大小児科のアレルギーグループは、寺道由晃先生をはじめ多くの先輩方がこれまで活躍され、小児アレルギー学の発展に寄与してきた伝統があります。今後もこの良き伝統を引き継ぎ、次世代の若手の育成を図りアレルギー疾患の診療レベルの向上、アレルギー学の発展に貢献していきたいと考えています。