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循環器グループ

附属病院(福浦)と神奈川県内の拠点病院に小児循環器医を配置し、横浜市内だけでなく神奈川県内で心臓病の子ども達が困ることのない環境を造り出すために、精一杯の努力を続けています。

先天性心疾患(胎児から成人まで)

より質の高い医療を提供するため、2001年に心臓血管外科と共に「小児循環器科」を立ち上げました。診断から周術期の管理、術後の長期的な経過観察まで麻酔科や集中治療科の医師とも密接な連携を取りながら、ひとつのチームとして外来・入院患者の治療にあたっています。他の大学病院に先駆けて立ち上げた、医局の垣根を越えた画期的な取り組みです。

現在の手術は年間約100件、心臓カテーテル検査は約150件、カテーテル治療は約50件に行っています。カテーテル治療としては心房中隔欠損症・動脈管開存症に対するデバイス治療、肺動脈弁・大動脈弁狭窄症や大動脈狭窄などの狭窄病変に対するバルーンカテーテルによる形成術、異常血管に対するコイル塞栓術などを行っています。また、胎児診断にも力を入れており、出生前から綿密な計画を立てることで治療成績の向上を目指しています。成人期に達した先天性心疾患の患者さんの診療にも力を注いでいます。

小児不整脈

横浜市大は小児の不整脈に関しては我が国では先駆者的な立場であり、多くの経験を積み重ねています。WPW症候群や房室結節性頻拍症などの頻拍性不整脈に対するカテーテル治療を循環器内科不整脈班と協力しながら施行しています。小児領域での不整脈カテーテル治療が可能な施設は非常に少ないのですが、今後は小さい幼児にも対象に拡げていき、神奈川県における不整脈治療の中心的施設としての機能を高めていきます。

また QT 延長症候群の診断・治療にも積極的に取り組んでおり、国内でも有数の症例数を経験しています。小児における植込み型徐細動器の植込み手術も行っています。

重症心不全

劇症型心筋炎や拡張型心筋症、原発性肺高血圧症などに対する心不全治療を行っています。集中治療室での補助循環、体外式人工心臓の植込みにも対応しており、両心室ペースメーカーによる心臓再同期療法にも積極的に取り組んでいます。心臓移植が必要な症例では、小児の心臓移植可能施設である東京大学や大阪大学と連携しながら、移植登録を進めていきます。

川崎病心合併症の管理

川崎病は主に乳幼児に発症し、血管に炎症が起こる病気です。後遺症である心臓の冠動脈瘤を防ぐことが重要ですが、横浜市大では大量ガンマグロブリン療法無効例に対する血漿交換療法を国内外の他の医療機関に先駆けて実施し経験を積み重ねてきました。さらに、生物学的製剤であるインフリキシマブによる難治例の治療も先進的に取り組んできました。

現在では重症例にはインフリキシマブと血漿交換を組み合わせた「段階的治療」を施行し、後遺症の阻止に大きな成果をあげています。懸命な急性期治療にもかかわらず冠動脈瘤が残ってしまった患者さんでは長期的な管理が必要となりますが、横浜市大であれば小児循環器科医から成人循環器内科医への橋渡しもスムーズに行うことが可能です。

学校心臓検診

学校心臓検診は隠れた心疾患を早期に発見するために行われる、とても大切な取り組みです。
横浜市・神奈川県下の学校検診(主に小学生と中学生)の精密検査を行っており、特に比較的重篤な疾患が疑われ、より慎重な評価が必要な精密検査対象者の診療を担当する施設にも指定されています。横浜市の精密検査対象者のうち約100名が当院に受診しています。

その他

上記のほかにも、小児におけるすべての心臓病を対象に診療しています。
小児循環器専門外来では、子どもの心臓病についてのあらゆる診察、ご相談を承っております。外来担当医が学会や出張などで不在のこともありますので、できるだけ事前に小児科外来にお問い合わせの上、ご来院ください。

臨床研究

・心エコーによる小児の心機能の解析
・学校検診心電図に基づく小児心疾患の疫学調査、新しい抽出基準の提案
・川崎病の急性期治療が冠動脈病変に与える影響
・フォンタン手術後に合併する肝障害の診断バイオマーカーの探索と臨床応用に資する研究
その他にも、当大学の基礎研究部門である循環制御医学教室とも協力し、心筋細胞のカルシウム調節機構、動脈管の閉鎖の制御に関する研究も行っています。

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