留学便り
内村先生のノースカロライナ便り
2019.03.21
みなさんご無沙汰しております、内村です。
2014年12月から2019年3月までのUNCへの留学期間を終え、ボストンから成田への飛行機の中で、最後の留学便りを書いています。比較的長い4年3か月の留学期間でしたが、月並みですがあっという間の夢のようなひと時でした。Jenny Ting教授をはじめラボの同僚に支えられ、現地の友人たちに支えられ、家族に支えられ、無事留学期間を全うすることが出来ました。
今まで私の主な研究テーマについて詳しく書くことはなかったので、最後の留学便りで少し書きたいと思います。Jenny Ting教授のラボは、免疫学の研究室で主に自然免疫系のセンサーであるNLR (Nod-like receptor)の機能解析が長年の主な研究テーマで、数多くの超一流ジャーナルに毎年NLRに関する論文がアクセプトされています。
私の研究テーマは、NLRC3のT細胞内における機能解析です。自然免疫系の細胞内センサーであるNOD-like receptorの一つであるNLRC3は、骨髄系細胞において炎症に抑制的に働くことが、2012年にNature Immunologyに報告されました。しかし、NLRC3は骨髄系細胞よりもT細胞で高発現しているにも関わらず、T細胞における働きはよく分かっていませんでした。そこで、私たちはNLRC3ノックアウトマウスの脾臓由来のT細胞を用いてin vitroでT細胞を刺激し、細胞増殖や細胞死、サイトカイン分泌能などに注目しました。WTマウスのCD4陽性T細胞に比べ、NLRC3ノックアウトマウスのCD4陽性T細胞は、CD25とCD69といったT細胞の活性化マーカーが有意に高発現し、インターフェロンγ(IFNγ)とTNFといったPro-inflammatory cytokine陽性細胞が有意に多く、さらに有意に細胞が増殖していることを発見しました。つまり、NLRC3はCD4陽性T細胞においてIFNγなどのサイトカイン分泌や細胞増殖に抑制的に働いていることが示唆されました。
次に私たちは生体内でも同様のことを確認するために、T細胞の研究において確立されたウイルス感染モデルであるリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)とCD4陽性T細胞の研究に汎用される多発性硬化症のマウスモデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を用いました。LCMV感染において、NLRC3ノックアウトマウスはWTマウスに比べ、脾臓におけるIFNγ産生CD4陽性T細胞の比率と絶対数が多いことにより、ウイルス力価が有意に低いことを確認しました。さらにEAEにおいては、NLRC3ノックアウトマウスはWTマウスに比べ脊髄に侵入したIFNγ産生CD4陽性T細胞の絶対数が有意に多く、EAEの臨床スコアが高いことを確認しました。つまり、in vivoにおいてもNLRC3はCD4陽性T細胞においてIFNγ(インターフェロンγ)などのサイトカイン分泌や細胞増殖に抑制的に働いていることが示唆されました。最後に作用機序に関しては、NLRC3はNF-kBに抑制的に働き、解糖系代謝に抑制的に作用することを発見しました。以上より、NLRC3はCD4陽性T細胞におけるシグナル伝達と細胞代謝のnegative regulatorであり、今後NLRC3をターゲットにした感染症や自己免疫疾患の治療戦略が期待されます。論文に関してはギリギリでしたが、帰国前の昨年末に上記の研究内容の論文をなんとかアクセプトさせる事が出来ました。
最後になりましたが、留学の機会を作ってくれた前横田俊平教授、留学に快く送り出してくれた伊藤秀一教授、医局員の皆様(特に腎臓グループの先生方)、留学当初から現在まで色々なサポートをしてくれた大山宣孝先生、本当にありがとうございました。4月からは4年ぶりに臨床の現場に復帰する予定ですので、後期研修医の先生と一緒に馬車馬のように働きたいと思っています(笑)。また、この留学期間で得た経験を少しでも医局に還元できるよう頑張りたいと思います。
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2018.12.12
ご無沙汰しております、気付いたら1年ぶりの更新になってしまいました。
今年は論文投稿・学会発表や新しいプロジェクトの始動などで非常にバタバタ1年でしたが、おかげさまでとても充実した1年を過ごす事が出来たと実感しています。
今回は先月参加した学会について書きたいと思います。11月16日から19日までシカゴで開催された第48回AIC ( Autumn Immunology Conference)に参加してきました。AICは毎年11月にアメリカ北中部で開催される免疫系の学会で、参加人数は300~500人ほどで大学院生やポスドクには発表の練習の場としてはちょうど良い規模の学会です。お陰様で、今年10月にメインプロジェクトの論文が受理されたのもあって、ようやくボスから学会での発表の許可がおり、口頭発表とポスター発表をしてきました。実は、アメリカの学会で発表するのは後期研修医の時にアメリカリウマチ学会でポスター発表して以来でした、もう何年前だろう(笑)。10分間と短い発表時間にもかかわらず、発表直前は質問に答えられるかなとか色々心配してましたが、発表後にはたくさんの質問をしてもらい、久しぶりの達成感を感じることが出来ました。また蛇足になりますが、運良くAAI Young Investigator Awardなる賞をいただくことが出来きました(もう若くないですが、大学院生とポスドクが対象の賞なので)。
折角なので、シカゴの街並みについても少しだけ書きたいと思います。シカゴは全米第3の都市と言われるだけあって、私の住んでいるノースカロライナのチャペルヒルとは違い、いわゆる大都市でした。地下鉄やバスなどの公共交通機関も発達し、美術館や水族館などの観光スポットも多く、観光で訪れるにはオススメの都市だと思います。ただ、シカゴはcold and windy cityと言われるほど風が強く寒いので、秋から冬に訪れる場合には防寒対策は必須です。私は寒い気候が苦手なので、学会+観光で数日シカゴに滞在する今回のスケジュールはとても理想的でした。シカゴを発つ最後の日には、何年後かにまた学会のついでに戻ってきたいなと思うくらい、お気に入りの都市になりました(観光で行くには・・。)。
最後に上にも述べさせてもらったように、10月から新しいプロジェクトを始動させたのもあり、今年の年末年始はバタバタと過ごす事になりそうです。あと残りの留学生活を後悔のないように、1日1日を大切に過ごしていきたいと思っています。
日本食レストランで食べたお寿司
ミレニアムパークのクリスマスツリー
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2017.12.10
月日の流れるのは早いもので、またまた久しぶりの更新となってしまいました。今回は、医薬系ポスドク(Postdoctoral Research Fellow:博士研究員)について書きたいと思います。
私は、現在の研究室でいわゆるポスドクの身分で日々研究をしています。ポスドクは、主任研究者(Principal Investigator: PI)への転身や企業への就職前の準備期間として数年間自分の知識・スキルや経歴を磨く、アメリカではPhDもしくはMD取得後の一時的なポストです。日本では一つの講座 (Department)に一人の教授が自分の研究室を持つのが一般的で、その教授が退官したタイミングで次の教授(一人)が就任します。一方、アメリカでは1つの講座に何人もの教授や助教授が自分の研究室を持てるので、自分のタイミングで書類選考と面接などの審査へいつでも応募することができます。したがって、こちらでは20代や30代前半で自分の研究室を持っているPIも珍しくありません。具体的には、PhDやMD取得後に2〜4年のポスドク期間を経て晴れてPIになる道が一般的です。私の同僚のポスドク達は、だいたい半数が将来PIに、残りの半数が企業への就職を希望しているように思います。
ポスドクは、前述のように一時的なポストであるため社会保障や給料が恵まれているわけではありません。アメリカのポスドクの給料は、アメリカ国立衛生研究所( National Institutes of Health: NIH)が規定している給料に基づいて決められています。また、休暇については、UNCのポスドクの1年間に取得可能な休みは、12日間の有給休暇(夏季休暇含む)と12日間の疾病休暇です。ただし、ポスドクの給料は大学からではなく、PI個人の研究費もしくは、奨学金やフェローシップなどから払われているため、休暇に関してはPIの裁量によるところが大きいです。例えば、同僚の中国人のポスドクは、昨年ビザの更新に中国に帰国した際には6週間もの休暇を取っていました。この時は、さすがにボスも「いつ帰ってくるんだ」と嘆いていましたが (笑)。私は、今年すでに夏に1週間休んでいて、さらに年末の日本への一時帰国に2週間取る予定だったので先月ボスの機嫌の良さそうな時に了解を得ることができてホッとしました。
ポスドクの良い点も少し書きたいと思います。ベタな表現になってしまいますが、やはり一番良い点は、世界中から集まったやる気のある優秀な同僚と切磋琢磨し自分を高めることができることや、世界的に有名なPI達の刺激的な研究成果や講義に触れることができる環境だと思います。ここでしか得ることのできない人々とのつながりを作れたことが自分の今後の人生において大きな財産になると感じています。渡米する前の英会話能力も研究実績も乏しく(今もですが・・・。)、留学前は期待よりも不安が大きかったですが、今では渡米して良かったと思っています。若い先生たちも、是非チャンスがあれば勇気を持って一歩踏み出してみて下さい。きっと新しい道が開けるはずです。
真面目な内容になりすぎたので、最後に夏に行ったナイアガラとトロントの写真を少し載せたいと思います。
Falling Water
ナイアガラの滝
トロントの山頭火
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2017.04.11
ご無沙汰しております、UNCに留学中の内村です。
実験やビザの更新などで、あっという間に時が過ぎ、半年ぶりの投稿となってしまいました・・。さて、今回はNCAAバスケットボールトーナメントについて書きたいと思います。
皆さんは、NCAAバスケットボールトーナメントをご存知でしょうか?私は渡米するまでは、知りませんでした。NCAAバスケットボールトーナメントは、毎年行われる全米大学体育協会 (NCAA : National Collegiate Athletic Association)が主催するバスケットボール大会です。NCAAには、約1200校の大学が加盟していて、競技種目ごとに各々の大学がディビジョン1~3にランク付けされます。中でもバスケットボールはメジャースポーツなので、ディビジョン1に351校が、さらにディビジョン2とディビジョン3も含めると約1000校もの大学が加盟しています。その中でもディビジョン1の上位64校のみが参加できる大会がNCAAバスケットボールトーナメントです。つまり、簡単に言うとバスケットボール全米チャンピオンの大学を決める大会です。こちらの大学男子バスケットボールはNBAに匹敵するほどの人気があり、またトーナメント制で一発勝負のため、この時期は国民のほとんどがこのトーナメントに熱狂し、贔屓のチームの結果に一喜一憂します。(日本の夏の高校野球のような感じでしょうか)
私が留学しているUNCは男子バスケットボールの古豪校で、あのバスケットボールの神様ことマイケル・ジョーダンの卒業校として知られています。実際NCAAトーナメントチャンピオンシップをこれまでに6回獲得しています。本当は1年前にこのNCAAトーナメントのことについて書こうと思っていたのですが、昨年は決勝戦でVillanova大学に終了間際に3ポイントシュートを決められ、74-77で敗れてしまい失意のどん底のため書くことができませんでした(少し大げさですが笑)。今年こそはと望んだ今シーズンでしたが、UNCは無事グループリーグで順調に好成績を残し、あれよあれよとトーナメントも勝ち進み決勝戦まで進出しました。その決勝戦が先週の4月3日に行われ、ついに8年ぶり6回目の優勝を果たしました!!Good job, Tar heels!!
昨年の敗戦もあったため、UNCがあるChapel Hillは歓喜の渦に包まれ、大学周辺の繁華街では学生や熱狂的なファン達が明け方までお祭り騒ぎをするほどでした。私は参加しませんでしたが、ラボの大学生や大学院生は明け方まで大騒ぎをし、翌日の昼頃にラボに目を真っ赤にして来ていたのを思い出します。この話にはもう一つ面白いストーリーがありまして、なんとラボのボスのジェニーも繁華街に位置するFranklin streetで朝の3時まで学生達と喜びを分かち合っていたようです。普段はお酒もタバコもせず、趣味がScienceのようなあのジェニーが信号機に登ったファンや大きな炎を飛び越える学生たちの写真を撮ったり、彼らと一緒にセルフィーをしていたなんて。60代になっても衰えることの知らない彼女のPassionを目の当たりにし、守りに入っていた自分を少し恥ずかしく思いました。
半年ぶりの更新でバスケットの話だけでは申し訳ないので、少しだけ研究の進捗状況について触れたいと思います。今年に入ってようやく、ボスのジェニーから論文投稿に取り掛かるようにとのアドバイスがありました。前任者の大山先生から引き継がせていただいたプロジェクトであるT細胞とNLR (Nod-like receptor)に関する研究で、現在ジェニーに論文を推敲してもらっている状況です。その他にあと2つ別のプロジェクトを任されていて、一つは自己免疫疾患(多発性硬化症マウスモデル)とワクチンに関するもの、もう一つはSLE (全身性エリテマトーデス)とNLRに関するものです。実際、後2者は同じラボのポスドクと一緒に行っているものですが、今年度中の論文投稿を目標に悪戦苦闘しています。なかなか結果が出ないこともありますが、プラス思考で今年度も頑張りたいと思います。
優勝直後のテレビ中継
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2016.09.21
お久しぶりです、UNCに留学中の内村です。
フェローシップの申請や論文投稿の準備などで、半年ぶりの更新となってしまいました。
今回は、New York旅行とビザの更新について書きたいと思います。
今年の夏休みは、休みを1週間貰ったのでBostonとNew Yorkに行ってきました。New Yorkは、North Carolinaと同じアメリカ東海岸に位置しているため、飛行機だと2時間弱で行けます。ただ、同じラボの同僚たちはNew Yorkくらいなら飛行機は使わず車で行くようです。(片道6-7時間ドライブ。)アメリカは本当に車社会なので、アメリカ人に言わせると3時間のドライブなんて朝飯前だとか・・。最近は、僕も少し感覚が麻痺したのか1-2時間ドライブなら苦じゃなくなってきました、慣れって怖いですね。
New Yorkでは、渡米前から行きたかったヤンキースタジアムで、ヤンキースVSレッドソックス戦を観戦しました。残念ながら田中投手の先発試合ではなかったのですが、レッドソックスのセットアッパーとして上原投手が登板してくれました。上原投手は1イニングを無失点で抑えるナイスピッチングでした。日本人があのメジャーリーグで活躍している姿を目にして、自分も「もっと頑張らないとな」と感じた瞬間でした。その他には、New York観光の王道ですが美術館に行ったり、ブロードウェイを見たり日本食(一風堂は最高でした。)を食べたり、かなりNew Yorkを満喫しました。これを機に、こちらにいる間に他の都市にも旅行してみたいと思っています。
2つ目は、ビザの更新について書きたいと思います。
私は、2014年12月からJ-1交流訪問ビザでアメリカに滞在しているのですが、2017年の5月にVisaとDS-2019の有効期間が切れてしまうので更新が必要になりました。渡米前に書類の有効期限を3年とお願いしていたのに、2年半でUNCの担当者が記載してしまったためです。その時の担当者からは、「更新すれば大丈夫。」と言われ、交渉もせずそのままにしていたのが間違いでした。何が問題かというと、更新の際にも最初の申請と同様の書類、申請ステップ、申請料金がかかるのです。つまり、ビザ申請のSecond roundです。ようやく申請書類の用意は終わったのですが、貴重なお金と時間を費やすことになりました。これから海外留学を考えている先生に言えることは、当初の予定の留学期間よりもできるだけ長い期間のビザとDS-2019を貰っておくといいと思います。ただ、一つだけ良いこともありました。ビザの更新を理由に、日本に帰国することができることです。久しぶりに日本食を食べて、友人や家族と美味しいお酒を飲みたいです(笑)。
本題である研究とラボでの生活についての話は、次回お伝えしたいと思います。
New Yorkのシンボル 自由の女神
最高だった一風堂の赤丸(15ドルなり)
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2016.03.15
ご無沙汰しております、ノースカロライナのUNCに留学中の内村です。
年も明け、こちらはようやく春の兆しを感じる今日この頃です。昨年の2月は例年にないほどの大雪で、住居のあるChapel Hillは停電になるほどでしたが、今年の冬は雪もパラパラと降る程度で過ごしやすい冬でした。
今回はノースカロライナ(アメリカ)と横浜(日本)の違いについて感じたことを書きたいと思います。
一般的にはノースキャロライナの気候はほぼ関東地方の気候と同じで、四季があり過ごしやすく雪も年に1~2回程度です。昨年、私はノースカロライナの人たちの雪に対する対応の違いに驚きました。一つ目としてこちらの人は、雪に慣れていないため(ニューヨークやシカゴとは違い)少し雪が降っただけで、すぐに大学をはじめ地域の小中高全て休校になるところです。去年は大雪のため、まるまる1週間も休校でした(笑)。学生たちはすごく喜んでいましたが、僕たち研究者はそれでも研究をしにラボに行きました・・・。二つ目は、雪で車が動かなくなった場合、日本ではなんとかして( JAFなどの力を借りて)車を家まで持って帰ると思います。しかし、アメリカ人はそのまま車を道路に置いたまま帰ってしまうのです。当たり前ですが、運転手のいない車が道路に散乱し、プチ渋滞なんていうのは当たり前でした。
もう一つはクリスマスです。日本でクリスマスというと、カップルがデートをして過ごしたり、子供たちがサンタさんからプレゼントを貰うというイメージだと思いますが、アメリカのクリスマスは老若男女問わず1年で1番のお祭りというイメージです。私の感覚だと日本のお正月に近いかもしれません。従って、クリスマス時期にはレストランも休みのお店が多く逆に外食をする方が難しいです。実際ラボの同僚も実家に帰省し、両親や親戚と過ごす人が多かったです。
最後に少し私の研究に関して書きたいと思います。留学先のJenny Tingラボは細胞内センサーであるNLR(Nod-like Receptor )に関して世界でも有数のラボの一つです。様々なモデルマウスを用いてNLRの機能解明をするのがメインで、私は自分の奨学金のテーマでもあるインフルエンザウイルスやLCMVとNLRの関係に関する研究を主に行っています。NLRは細胞質内のリガンドを認識する病原体センサーで、ヒトでは20種類以上、マウスでは30種類以上同定されている。細菌外壁のペプチドグリカンを認識するNOD1やNOD2、細菌の鞭毛のフラジェリンを認識するNLRC5、種々のアジュバントを認識し活性化するNLRP3などがNLRとして知られています。これらNLRのうち炎症に促進的に働くNLRの研究が進んできていましたが、私のプロジェクトでは炎症に抑制的に働くNLRの機能解析をウイルス感染モデルを用いて行っています。
渡米して1年が経ちようやく少しずつ結果がではじめたところです。ラボの同僚たちにも手伝ってもらいながら楽しく研究をさせてもらっています。
昨年のクリスマス時のラボの廊下のデコレーション
Assistant Professorが作ってくれたトトロ靴下
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2015.06.24
平成25年1月から、アメリカのノースキャロライナ州にあるUniversity of North Carolina at Chapel Hill (UNC)のJenny Tingラボにポスドクとして留学しています内村 暢と申します。留学して数ヶ月経ち、ようやくアメリカ生活、ラボ生活にも慣れてきたところです。
ノースキャロライナ州は、アメリカの南東部に位置し、全米で住みたい州ランキングで毎年上位にランクインされている州です。大学のあるチャペルヒルはノースキャロライナ州の中心に位置し、Duke Universityのある隣町のダーラムとNorth Carolina State Universityのあるローリーの3都市を中心とした都市圏はResearch Triangle Parkと呼ばれ、東のSilicon Valleyと言われています。チャペルヒルは、治安も良く田舎過ぎず都会過ぎず(どちらかといえば田舎よりですが・・)、町の人々もフレンドリーで温かく過ごしやすい町です。
留学先の研究室は、Jenny Ting教授の下、assistant professor 1名、ポスドク14名(アメリカ人9、中国人2名、ポーランド人1名、カナダ人1名、日本人1名)、大学院生4名、ラボマネージャー1名、動物コーディネーター1名、秘書1名の大所帯の研究室です。免疫学の基礎研究系のラボでは全米でも有数の研究室で、ラボメンバーも本当に優秀かつ素晴らしい人ばかりです。研究テーマは、炎症性腸疾患・大腸癌、神経変性疾患、気管支喘息、感染症(ワクチン含む)などのモデルマウスを用いてNLR (Nod-like Receptor)の免疫系での役割の解明が研究の主体です。また、週1回のJournal Club(抄読会)と週1回のRIP(Research In Progress)では、各担当者が1時間程度かけて論文内容や自身の研究成果についてスライド発表し、論文の内容や今後の研究計画について議論します。各々2〜3か月に1回当番が回ってくるのですが、英語でプレゼンすることに慣れていない私は、泣きながら準備を頑張っています(笑)。留学当初は、前任者の大山先生から色々なことを(ラボでの人間関係なども(笑))を日本語で丁寧に教えていただいていたのでなんとかなっていたのですが、大山先生が3月に帰国されてからは英語でのコミュニケーションに四苦八苦している毎日です。まだまだ、ミーティングではアメリカ人たちのディスカッションに圧倒されていますが、ようやく英語アレルギーは解消されてきたような気がします。
私は小児腎臓と小児感染症に興味があり、医局では腎臓グループに所属していました。現在の研究テーマは、私の研究助成金のテーマでもあるインフルエンザウイルスなどの感染症とNLRsの関係についての研究を行っています。今後は、腎臓に関する研究として血管炎やSLEなどのマウスモデルを用いた研究にも関われたらと思っています。
留学という貴重な機会を与えてくださった横田俊平前教授、快く私を送り出してくださいました伊藤秀一教授、留学のset upからラボでの立ち回り方まで色々指導してくださった前任者の大山先生、腎臓グループの先生、医局員の皆様には本当に感謝しております。まだご報告できるほどの研究結果を出せてはおりませんが、皆様のご期待に添えるように日々精進していきたいと思います。
大山先生の送別会にて
(大山先生とその仲間たち、右から3番目がJenny Ting教授)
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