医学会講演会



令和6年度 横浜市立大学医学会講演会


回数 演者 演題 期日
 1
(229)
西屋 克己 先生
関西医科大学教育センター
教授・センター長
医学教育におけるアクティブラーニングのこれから

 ⇒ 内容要旨
2024/7/30(火)
 2
(230)
Professor Zdenko Kovač
University of Zagreb, Center for Advanced Academic Studies
(CAAS) Dubrovnik, Medical School of Zagreb – Croatia
Department of Pathophysiology
(retired)
教授
How can we use genomics to prevent complex disorders?

 ⇒ 内容要旨
2024/8/1(木)
  3
(231)
 津田 武 先生
Nemours Children’s Health Delaware, Wilmington, DE
Cardiac Rehabilitation & Fitness Program/Cardio-Oncology
Director
 「新しい」時代における米国臨床研修・留学の意義

 ⇒ 内容要旨
 2024/10/23(水)
 4
(232)
Professor Juha KERE
Karolinska Institute, Stockholm, Sweden
Department of Medicine Huddinge.
Professor of Molecular Genetics.
How can we use genomics to prevent complex disorders?

 ⇒ 内容要旨
2024/11/12(火)
 5
(233)
栩野 吉弘 先生
大阪公立大学 総合教育学
准教授
「なぜ医学部に数学IRが必要なのか」~大阪公立大学医学部IR室の実情を踏まえて~

 ⇒ 内容要旨
2025/3/21(金)



第229回横浜市立大学医学会講演会
演題 医学教育におけるアクティブラーニングのこれから
演者 西屋 克己 先生
関西医科大学教育センター
教授・センター長
要旨  令和6 年7 月30日,関西医科大学教育センターにて教授・センター長として医学教育に携われている西屋克己先生にご来校頂き,「医学教育におけるアクティブラーニングのこれから」というテーマで講演会を対面にて開催いたしました.
 冒頭では関西医科大学における直近10年間の医学教育改革について概要を説明頂き,教員,学生,講義・カリキュラム,臨床実習,試験・進級・留年・国家試験,メンタリングと6 項目の課題と問題点の説明ならびにその対策についてお話し頂きました.
 続いてwithコロナにおける遠隔授業の授業形式の学生の満足度のアンケート結果がどの学年も平均して高く,ICTを活用した授業設計,対面授業の見直し,アクティブラーニングを活用した対面授業設計が必要であることを説明頂きました.
 今回の主なテーマであるアクティブラーニングについて学生が獲得した必要な知識を基盤として(内化),課題演習,質疑応答,振り返り,グループワーク,ディスカッション,プレゼンテーション等を取り入れて,習得した知識を活用して問題解決をし(外化),学生の能動的な学習を促進させる双方向の教授・学修であることを説明頂きました.アクティブラーニングにおいてこの内化と外化という言葉が非常に重要で,講義やカリキュラムの中で内化と外化を取り入れることによって,学生の知識を活性化し,到達目標の確実な達成の促進,医学教育において重要である深い学びの促進をもたらすとお話し頂きました.
 今後は「教わった」ではなく「学んだ」と学生が実感出来る授業を提供していく必要があると説明頂きました. 最後の質疑応答では,多くの質問が寄せられ,自身の講義を見直すきっかけとなったといったご意見も頂きました.
(文責 稲森 正彦)
主催 横浜市立大学医学会、医学教育学
「横浜医学」 75巻4号より転載


第230回横浜市立大学医学会講演会
演題 Etiopathogenetic algorithms and clusters in the natural bio-architecture of disease
演者 Professor Zdenko Kovač
University of Zagreb, Center for Advanced Academic Studies (CAAS) Dubrovnik, Medical School of Zagreb – Croatia
Department of Pathophysiology(retired)
教授
要旨  Zdenko Kovač教授の研究は,計算機科学や情報システムの分野で特に注目されており,彼の業績は人工知能や機械学習を用いたデータマイニング,そして情報システムの最適化において大きな貢献をされてきました.その中でも,「Etiopathogenetic algorithms and clusters in the natural bio-architecture of disease」という研究は,病気の発症メカニズムに関する深い理解を目指し,大規模な生物医学データを解析して病因と疾患のクラスターを明らかにすることに焦点を当てています.この研究では,病因に基づくアルゴリズムを開発し,疾患の進行や発症に関連する生物学的要因の特定とその相互関係の解析を行っています.結果として,特定の疾患に共通するパターンやクラスターが発見され,これが病因との関連性を示すことで,診断や治療法に新たな視点を提供しています.また,関連する研究では,臨床疾患の経路をグラフィックにマッピングすることで,病因クラスターによる複雑なネットワークを明らかにしています.これにより,病気の進行が複数の病因によってどのように連結し,全身の生理学的反応が自然にネットワーク化されるかが示されています.特に,複数の病気が同時に存在する場合の相互作用が,症状を悪化させるシナジー効果と,症状を改善する拮抗効果の両方を分析し,これらの相互作用が体の反応性や病気の進行に及ぼす影響を深く理解するための新たな視点を提供しています.Kovač教授の研究は,これらの複雑な病因ネットワークの理解を通じて,個別化医療や予防医学の発展に寄与する可能性があり,現代医学における重要な基盤を築いています.本講演では上記の内容を大変わかりやすくお話しいただきました.
(文責 梅村 将就)
主催 横浜市立大学医学会、循環制御医学
「横浜医学」 75巻4号より転載


第231回横浜市立大学医学会講演会
演題  「新しい」時代における米国臨床研修・留学の意義
演者 津田 武 先生
Nemours Children’s Health Delaware, Wilmington, DE
Cardiac Rehabilitation & Fitness Program/Cardio-Oncology
Director
要旨  令和6 年10月23日,本学の海外クリニカル・クラークシップの受け入れ先である米国ネモラス小児病院の循環器科指導医である津田武先生をお招きして,「新しい時代における米国臨床研修・留学の意義」というテーマでの講演会を開催いたしました.
 最初に津田先生の米国で医師としての勤務経験を踏まえた,米国での医療の特徴,医療保険,問題点についてご説明頂きました.米国での医療の特徴として,ビジネスとしての医療,専門性の高い医療ゆえの高額な医療費,社会格差による保険未加入者,このような背景により人々の健康面が良くならないという現状についてご説明されました.
 続いて米国における新しい時代が求める医学・医療として,生命科学・医療技術の目覚ましい進歩,米国市民の80%が分かりやすさを重視し,信頼性に欠ける健康関連情報をインターネットから取得している情報過多の混乱,価値観,社会格差,貧困といった多様性の認識と理解についてお話しされました.
 最近の米国医療に見られる傾向と今後の医療現場の変化について,チーム医療が主流となり,医師としてのリーダーシップの必要性,患者とのコミュニケーションの重要性,コンピューターをうまく使用していく必要性,AIでは出来ない患者が何を求めているかを理解する医師の役割が伝えられました.
 最後に米国臨床研修・留学については医学・医療の進化を肌で感じ,規制の多い日本に比べて「自由」「人間らしさ」という発想が得られるのと同時に日本の文化や価値観を客観的に評価することで,日本人であることの素晴らしさを確認出来ることも強調されました.若い人達へのメッセージとして学ぶことの喜びを常にもち,自分の可能性を信じて欲しいと話されました.
(文責 稲森 正彦)
主催 横浜市立大学医学会、医学教育学
「横浜医学」 76巻1号より転載

第232回横浜市立大学医学会講演会
演題 How can we use genomics to prevent complex disorders?
演者   Professor Juha KERE
Karolinska Institute, Stockholm, Sweden
Department of Medicine Huddinge.
Professor of Molecular Genetics.
要旨  Professor Juha KERE delivered a seminar on the history,current state, and challenges of Genome-Wide AssociationStudies (GWAS) in understanding and curing diseases. The lecture was attended by approximately 40 people fromYokohama City University( YCU) and five other universities.The presentation was widely praised as "excellent," and attendees found the lecture highly informative, gaining a deeper understanding of GWAS and its significance in genomics and medical research. Despite the topic being outside their own fields, many participants appreciated the engaging content and expressed interest in more seminars of this kind in the future. The event finished with a discussion and was seen as a valuable opportunity for interdisciplinary learning and academic exchange.
(文責 Jordan Ramilowski)
主催 横浜市立大学医学会、バイオインフォマティクス解析センター
「横浜医学」 76巻1号より転載


第233回横浜市立大学医学会講演会
演題 「How can we use genomics to prevent complex disorders? 」
演者   栩野 吉弘 先生
大阪公立大学 総合教育学
准教授
要旨  令和7 年3 月21日,「なぜ医学部に教学IR が必要なのか~大阪公立大学医学部IR 室の実情を踏まえて~」と題して,オンラインセミナーを開催しました.
 本学では,国際総合科学群,医学群それぞれに教学IRワーキンググループを設置し,令和元年より分析結果を公表していますが,学内での共有はいまだ十分でないと感じています.そこで,今回は,大阪公立大学で医学部IR室を立ち上げられ,運営してこられた栩野吉弘先生より,なぜ医学部教育にIRが必要か,実践事例を交えながらお話しいただきました.
 まず,IRとは何かという基本を説明いただいたのち,大阪公立大学が,平成29年に医学教育分野別認証評価を受審した際,IR機能が不足しているという指摘を受けたことを機に,医学部長直轄の医学部IR室を立ち上げ,国家試験の成績,卒業後の進路,卒後研修先でのアウトカム,教育資源の満足度等を調査するようになった経緯をご紹介いただきました.また,調査するにあたり,統計学の専門家の協力や,REDCap(Webデータベースシステム)の利用,国家試験に合格するために必要な学習パターンをメディックメディア社との共同研究により可視化したこと等,大学データを管理する専門組織として,数々の取り組みを行ったことをお話しいただきました.
 調査と実効性のあるフィードバックを繰り返し行った結果,学生がアンケートに回答することを当然と捉えるようになったり,教員がIR室に自身の担当する科目の解析依頼をしたりするほど,IRが浸透しているとのことでした.二度の医学教育分野別認証評価の受審において,IR機能の向上を指摘されている本学にとって,非常に参考となるお話を伺うことができたと感じました.
(文責 稲森 正彦)
主催 横浜市立大学医学会、医学教育学
 「横浜医学」 76巻2号より転載

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