医学会講演会



平成27年度 横浜市立大学医学会講演会


回数 演者 演題 期日
 1
(184)
渡邉 淳 先生
日本医科大学付属病院遺伝診療科
ゲノム先端医療部長
医療現場でファーマコゲノミクス情報を活用するには―現状と課題―
 ⇒ 内容要旨
2015/7/30
 2
(185)
Steven R.Cohen,M.D.

Clinical Professor Rady Children's Hospital-San Diego Plastic Surgery at UC San Diego School of Medicine
アメリカにおける小児先天奇形・美容・再生医療について
 ⇒ 内容要旨
2015/9/14



第184回横浜市立大学医学会講演会
演題 医療現場でファーマコゲノミクス情報を活用するには―現状と課題―
演者 渡邉 淳 先生
日本医科大学付属病院遺伝診療科 ゲノム先端医療部長
要旨  第184回横浜市立大学医学会講演会は第₂ 回メディカルゲノム勉強会を兼ねておりました.(メディカルゲノム勉強会は,横浜市大附属病院メディカルゲノムセンター構想の活動の一環として附属病院遺伝子診療部,医学研究科遺伝学教室で企画しております.)
 渡邉先生は日本の遺伝診療分野で大変ご活躍の先生で,実地の臨床に役立つ最先端のファーマコゲノミクスについてご講演いただきました.ご講演の要旨をまとめますと,
(1 )薬に対する応答性や疾患易罹患性には個人差があるので,個人の遺伝学的な多様性に基づいた医療を選択することが,個別化医療となる.
(2 )近年,ファーマコゲノミクス研究の進歩によって,診療に結びつく薬剤-遺伝子の組み合わせが見つかってきている.ファーマコゲノミクス検査でわかる情報として,生殖細胞系列変異,体細胞変異,遺伝子発現情報がある.投薬前に知ることで,薬の効果の程度や副作用の出現について予測し,薬剤の種類や投与量の変更ができる.
(3 )ファーマコゲノミクスにおける遺伝情報の取り扱いについては,体細胞変異に関しては,通常の臨床検査と同じような扱いでよいという流れになってきている.倫理的に問題になりうるのは,生殖細胞系列の変異だが,薬剤に暴露されなければ表現型が出現しないこと,発症が確率的にしかわからないこと(多因子性がある),から単一遺伝子疾患の診断とは性質を異にするだろう.
(4 )ファーマコゲノミクスの例として,抗がん剤のイリノテカン,C型肝炎治療薬であるPEGインターフェロンとリバビリン併用療法,抗凝固剤のワーファリンについて臨床でファーマコゲノミクス情報が実際に活用されている。
 当日は多数の先生方が聴講にいらっしゃって,大変有意義な会となりました.
(文責 宮武 聡子)
主催 横浜市立大学医学会、遺伝子診療部、遺伝学教室
「横浜医学」66巻4号より転載
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第185回横浜市立大学医学会講演会
演題 アメリカにおける小児先天奇形・美容・再生医療について
演者 Steven R.Cohen,M.D.
Clinical Professor Rady Children's Hospital-San Diego Plastic Surgery at UC San Diego School of Medicine
要旨  STEVEN R. COHEN, MD(コーエン医師)は米国カリフォルニア大学サンディエゴ校形成外科の臨床教授およびサンディエゴのFacesPlus Aesthetic Facility(フェイスプラスクリニック)の院長として,形成外科および美容外科全般の研究・教育・診療に当たられています.
 今回の講演では,コーエン医師の数あるご専門の中から,脂肪組織由来再生(幹)細胞を用いた脂肪移植による乳房再建術と,小児先天奇形の治療についてお話頂きました.
 脂肪組織由来再生(幹)細胞は,2000年に,カリフォルニア大学形成外科のチームによって発見されました.この幹細胞を混ぜた脂肪を移植することによって,従来の脂肪移植に比べて高い生着率が得られ,より自由度の高い乳房再建が可能となります.また,乳房再建のみならず,様々な再建や美容分野でも応用され始めており,今後さらに発展が期待される先進的な技術です.そのパイオニアの₁ 人であるコーエン医師から,実際の症例を交えてご説明頂きました.
 また,小児先天奇形については,頭蓋骨早期癒合症やさまざまな症候群による頭蓋変形に対する骨切り・骨延長を中心とした修正術などを,豊富な症例写真とともにご紹介頂きました.
 コーエン医師は全米トップ10に入る美容外科医で,米国形成外科の権威といわれている非常にご高名な先生です.そのような先生に高い技術や最新の研究について直接お話を伺うことができ,とても貴重な講演となりました.
(文責 佐武 利彦)
主催 横浜市立大学医学会、附属市民総合医療センター形成外科
「横浜医学」66巻4号より転載
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