医学会講演会
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令和元年度 横浜市立大学医学会講演会
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回数 |
演者 |
演題 |
期日 |
1
(205)
|
浅野 英司 先生
ウェイン州立大学
Pediatrics and Neurology 教授
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「海外医学研究ノススメ-拓く喜びを知る-」
⇒ 内容要旨 |
2019/5/14(火) |
2
(206) |
Jens Titze,M.D.
Duke-NUS Medical School Cardiovascular & Metabolic Disorders Associate
Professor |
「Sodium and Water Metabolism」
⇒ 内容要旨 |
2019/6/24(月) |
3
(207) |
羽鳥 裕 先生
医療法人社団 はとりクリニック理事長・医師
日本医師会常任理事、日本専門医機構理事
篠原 裕希 先生
医療法人篠原湘南クリニック クローバーホスピタル 理事長
神奈川県医師会 理事
鈴木 ゆめ 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 一般内科教授・部長 |
「医師・医学生のキャリアプランを考える
⇒ 内容要旨 |
2019/6/12(水) |
4
(208) |
Martin Guilliams,Ph.D.
Ghent University, Ghent, Belgium
Department of Biomedical Molecular Biology, Faculty of Science Professor
VIB Center for Inflammtion Research(IRC),Ghent,Belugium Laboratory of
Myeloid Cell Ontogeny and Functional Specialization Principal Investigator |
「Molecular mechanisms underlying the cell-cell interactions within
the Kupffer cell niche」
⇒ 内容要旨 |
2019/7/25(木) |
5(209) |
Dr.Kenneth Vitale
University of california San Diego
Department of Orthopaedic Surgery
Associate Professor |
「Clinical Clerkship at UCSD」
⇒ 内容要旨 |
2019/6/26(水) |
6(210) |
三原 弘 先生
富山大学 医師キャリアパスセンター創造センター
第三内科(消化器内科)助教 |
「Mini-CEX(簡易版臨床能力評価法)に関する講演会」
⇒ 内容要旨 |
2019/9/26(木) |
7(211) |
伊藤 彰一 先生
千葉大学
大学院医学研究科 医学教育学 |
アウトカム基盤型(OBE)に関する講演会
⇒ 内容要旨 |
2019/11/28(木) |
8(212) |
Dr. Sharon Watanabe
Professor and Director, Division of Palliative Care Medicine Department
of Oncology, Faculty of Medicine and Dentistry
University of Alberta Director, Department of Symptom Control and
Palliative Care Cross Cancer Institute
Professor and Director |
持続可能な最新のがん緩和医療 ⇒ 内容要旨 |
2019/11/13(水) |
9(213) |
高部和明先生
Roswell Park Comprehensive Cancer Center
Breast Surgery
Professor & Alfiero Foundation Chair and Clinical Chie |
「『プレシジョンメディスン ‐クリニカルシーケンスの次は‐』
米国における、がん医療の実際」 ⇒ 内容要旨 |
2019/10/21(月) |
10(214) |
笠原 群生
国立成育医療研究センター
臓器移植センター センター長 |
「小児肝移植のトピックス」
⇒ 内容要旨 |
2019/11/29(金) |
11(215) |
高山 真
東北大学病院 総合地域医療教育支援部・漢方内科
東北大学大学院医学系研究科 漢方・統合医療学共同研究講座 特任教授 |
「コアカリキュラムに基づいた各大学の取り組みと課題」
⇒ 内容要旨 |
2020/1/25(土) |
第205回横浜市立大学医学会講演会
演題 |
海外医学研究ノススメ -拓く喜びを知る- |
演者 |
浅野 英司 先生
米国ウェイン州立大学 小児科および神経内科 終身教授
( Professor of Pediatrics and Neurology in Wayne State University)
ミシガン小児病院 神経診断部 ディレクター
( Director of Neurodiagostics in Children's Hospital of Michigan)
|
要旨 |
浅野英司先生は東北大学医学部をご卒業の後,医師としてのキャリアをスタートされた直後からてんかん治療に携わり,以降も脳研究において多くの優れた実績を挙げてこられました.現在はデトロイトのウェイン州立大学を研究の拠点にご活躍されています.また,横浜市立大学医学部からのリサーチ・クラークシップ学生を継続して受け入れてくださり,本学とウェイン州立大学との交流に多大なお力添えをいただいています.今回,浅野先生のご専門であるてんかんの脳外科治療プロトコールの改訂やてんかん外科を通じて明らかになるヒト脳のダイナミズムの理解についてのお話を中心に,医学研究の醍醐味や海外研究留学のメリットについてなど,非常に幅広い内容でご講演いただきました.
ご講演の中で,医学研究の遂行を通じ世界で唯一の仕事を成し遂げることができ,その研究成果が患者さんの診断と治療に必ずつながっていくこと,また,研究室内の活動だけでなく国内外での学会,ワークショップなどにおける知の交流が非常に重要であることなどをご紹介いただきました.また,全ての人に等しく医学研究のチャンスが開かれているので,適切な目標を設定して,是非,思い切って自分の興味のある分野の研究室の門をたたくべきとの力強いメッセージをいただきました.
ご自身のご経験や最新の研究成果を織り交ぜたご講演に,学部学生や大学院生,教員に至るまで参加された皆さんが先生のお話に引き込まれ,熱心に聞き入っている様子が印象的でした.講演終了後は,活発な質疑応答が行われ,皆さんが浅野先生のご研究や海外での医学研究生活に高い関心を寄せていることがわかりました.
(文責:田中 章景) |
主催 |
横浜市立大学医学会、神経内科学・脳卒中医学 |
「横浜医学」 70巻2号より転載
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第206回横浜市立大学医学会講演会
演題 |
Sodium and Water Metabolism |
演者 |
Jens Titze,M.D.
Duke-NUS Medical School Cardiovascular & Metabolic Disorders Associate
Professor |
要旨 |
2019年6月24日に福浦キャンパスヘボンホールにおきまして,シンガポールDuke-NUS Medical School のJensTitze
先生に,「Sodium and Water Metabolism」という演題でご講演いただきました.Titze先生は,皮膚局所における塩の蓄積が全身の電解質・体液の恒常性維持に関連していることを発見し,循環代謝領域を中心とした研究分野でご活躍されている先生です(J
Clin Invest. 2017;127:1932, J Clin Invest. 2017;127:1944,, Cell Metab.2013;17:125,
Nat Med.2009;15:545など).基礎研究のみならず,組織ナトリウムイオン含有量の測定を可能とする23Sodium-magnetic
resonance imaging(23Na-MRI)の技術を開発して臨床研究も展開し,世界をまたいで新しいコンセプトの検査・治療法の開発につながる研究を推進されています.今回の講演では以下の内容についてお話しいただきました.
1 .生体内の電解質・体液バランス
食塩摂取量を固定しても24時間尿中ナトリウムイオン排泄量は一定ではない.すなわち,体内
中ナトリウムイオン量は一定ではなく,生体内の電解質・体液バランスは,腎臓のみならず,皮膚
など多臓器と連携して制御されている.
2 .組織におけるナトリウムイオンの蓄積
23Na-MRIにより,皮膚や筋肉などの組織局所のナトリウムイオンが検出され,血中ナトリウムイ オン濃度は一定でも,組織レベルでナトリウムイオンの保持・排泄を行っている.
3 . 組織に蓄積したナトリウムイオンの調整機構と役割
マクロファージが皮膚局所のナトリウムイオン量を調整し,組織局所へのナトリウムイオンの蓄積
は,心肥大,自己免疫性疾患,感染症などとも関連している.
講演には多くの先生方にご出席いただき,活発な討論が行われ,先端研究を共有し,国際的交流を深める,大変有意義な医学会講演会となりました.
(文責 峯岸 薫・峯岸 慎太郎) |
主催 |
横浜市立大学医学会、血液・免疫・感染症内科学、循環器・腎臓・高血圧内科学 |
「横浜医学」 70巻2号より転載
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第207回横浜市立大学医学会講演会
演題 |
医師,医学生のキャリアプランを考えよう |
演者 |
羽鳥 裕 先生
日本医師会常任理事
篠原 裕希 先生
医療法人篠原湘南クリニック クローバーホスピタル 理事長
鈴木 ゆめ 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 一般内科 教授 |
要旨 |
6 月12日に横浜市立大学医学会のご援助のもと,ヘボンホールにて,医師,医学生に対するキャリアプランに対する講演を先生方に行っていただきました.
本講演の目的は,授業ではなかなか知ることのできない,医学生,医師のキャリアの選択の仕方,また,そのキャリアを選ぶにはどうすればよいか,そのキャリアを選んだ先にはどのような仕事や未来が待っているのかということを,医療業界に深く精通なさっている先生方にご教授していただき,医師,医学生が自らのキャリアを考える際の一助にしていただきたいというものでした.
1 人目にご講演いただいた,鈴木ゆめ先生は「女性の働き方に関して」という演題でご講演いただきました.子育てをしながらの働き方や,どのような援助が受けられる可能性があるかなどの趣旨でご講演いただきました.また,どのような考えを持てばより良い働き方を模索することができるかなどご教授頂きました.
2人目の篠原裕希先生には,医師として病院で働く以外にも,自分で病院を経営するとしたらどのような方法があるのか,ほかにも,厚生労働省で働くとしたら,在宅医療をやっていくにはなど,様々な選択肢を提示していただき,また,その選択肢を選択するにはどのようなことをすればよいのかということをお話しいただきました.実際に自分で調べるには限界がある,現場の方でないと知りうることが難しいことなどをご教授いただきました.
3人目の羽鳥裕先生には.「新専門医制度」についてお話しいただきました.実際に医学生が医師になるにあたり,避けては通れない問題の一つであり,また,現在制度の過渡期である本演題に関して様々な,学生の知りたいことについて答えてくださいました.
(文責:前田 憲人) |
主催 |
横浜市立大学医学会、消化器内科学教室 |
「横浜医学」 70巻2号より転載
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第208回横浜市立大学医学会講演会
演題 |
Molecular mechanisms underlying the cell-cell interactions within the Kupffer
cell niche |
演者 |
Martin Guilliams, Ph. D.
Ghent University
Department of Biomedical Molecular Biology, Faculty of Science Professor
VIB Center for Inflammation Research (IRC)
Laboratory of Myeloid Cell Ontogeny and Functional pecialization Principal
Investigator |
要旨 |
Martin Guilliams先生は様々な生体反応や疾患に関与す るマクロファージの研究において多数の業績をあげられ てきた新進気鋭の研究者です.今回は肝臓常在性のマク
ロファージであるクッパー細胞の分化機構についてご講 演頂きました.クッパー細胞は定常状態では胎生期の前 駆細胞に由来します.Guilliams先生はクッパー細胞をほ
ぼ完全に除去できる遺伝子改変マウスを世界に先駆けて 開発し,クッパー細胞除去後には骨髄に由来する単球が クッパー細胞に分化することを示しました.これら単球
由来クッパー細胞は形態的にも機能的にも胎生期の前駆 細胞から発生したクッパー細胞と同等であることがわか りました.さらにクッパー細胞の分化における肝臓の他
の細胞集団との相互作用の役割について最先端技術によ り明らかにしました.Guilliams先生は過去の研究を詳細 に把握して研究を進められており,特にクッパー細胞と
肝星細胞の違いを電顕によって初めて示した研究者とし て日本の和氣健二郎博士のことを紹介されていたことに 感動しました.講演後には様々な教職員や学生から質問
があり,それら一つ一つに対して真摯に回答されていま した.当日は50人を超える方が聴講に来られ,大変に有 意義な会となりました.
(文責 黒滝 大翼) |
主催 |
横浜市立大学医学会、大学院医学研究科 免疫学、先端医科学研究センター「マルチオミックスによる遺伝子発現の最先端的医学共同研究拠点」 |
「横浜医学」 70巻4号より転載
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第209回横浜市立大学医学会講演会
演題 |
Medical Education and Training at UCSD |
演者 |
Dr. Kenneth Vitale
University of California San Diego Department of Orthopaedic Surgery
Associate Professor |
要旨 |
令和元年6月26日(水),福浦キャンパスC4教室にお いて,カリフォルニア大学サンディエゴ校(以降,UCSD) よりKenneth Vitale先生をお招きして講演会を開催しまし
た.
Kenneth Vitale先生はUCSDと本学との協定における責 任者として,主に6年生の海外臨床実習プログラムでの 派遣についてお力添えをいただいています.
今回の講演では「Medical Education and Training at UCSD」と題して,UCSDで行われている医学教育の概要 について,先生ご自身の指導経験を通してお話をいただ きました.特に3,4年生の病棟実習におけるアウトカム として医学生に何が求められているか,また,その評価 方法について,具体的に外科,産婦人科,小児科を例に ご紹介いただきました.
講演終了後には,教員や学生から活発な質問が寄せら れ,その一つ一つに丁寧にお答えいただきました.中で も学生に人気の高いUCSDでの海外臨床実習プログラム への参加を希望するにあたり,最も大切なことは何か, という質問に対しては,手技や英語力も大事だが,最も 大切なのはコミュニケーション力であり,医師やコメディ カル,患者さんと円滑にコミュニケーションを取れるよ う準備をしてほしい,とのアドバイスをいただきました. 当日は,多くの教員,学生が参加し,講演会終了後も 学生や若手医師が個別に相談に訪れるなど非常に有意義 な講演会となりました. |
主催 |
横浜市立大学医学会、医学教育学、グローバル推進部門 |
「横浜医学」 70巻4号より転載
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第210回横浜市立大学医学会講演会
演題 |
mini-CEX(簡易版臨床能力評価法)Faculty Development |
演者 |
三原 弘 先生
富山大学医師キャリアパス創造センター
消化 器内科 診療講師 |
要旨 |
2016年度に医学教育分野別評価を受審し,2024年度末 までの適合認定を受けたものの,項目別に見ると改善を 求められている課題が多数残されております.改善項目
の1つとして「臨床実習における新しい評価方法となる mini-CEXなどの早期導入」が挙げられます.mini-CEXと はmini-Clinical
Evaluation eXerciseの略称で,簡易版臨床 能力評価法と訳され,臨床実習の場において,医学生に 求められる能力をどの程度有しているのかを評価する方
法です.医学部として早期導入を目指し,臨床実習に携 わる教職員向けのFDとして医学教育センター医学教育推 進部門において企画され,今回医学会との共催の形で開
催させていただきました.
講師の三原弘先生は,富山大学でmini-CEXを導入され た際,より多くの診療科の協力を得られるよう,多数の e-ラーニングコンテンツを作成されるなど,非常に熱心
に普及活動に努めておられる方です.本学の講師をお引 き受けいただいた後も,多数の事前学習用の教材をご提 供くださり,残念ながら受講が叶わない場合にも,e-ラー
ニング環境で学習できるような仕組み作りをしてくださ いました.
当日は三原先生による良い例・改善が必要な例につい て,デモンストレーションを交えてご説明いただいた上 で,3人1組に分かれ,実際に評価を行うロールプレイ 形式での実施となりました.受講者として,実際に体験 することで評価を行う場のイメージがしやすく,本評価 方法を導入することの意義を改めて感じると共に,評価 者によって評価基準が一律ではなく,評価方法として確 立させるまでにはある程度の訓練期間が必要になることや忙しい外来業務の中での時間的な制約等,重要な点を 多数気付かされました.
今後,一部の診療科からmini-CEXを導入できるよう準 備を進めるにあたり,今回の機会は非常に有意義な内容 であり,かつ貴重なお時間となりました.またご提供いただいた学習教材等についても,今後の普及活動の中で
有効活用させていただく予定です.
(文責 稲森 正彦) |
主催 |
横浜市立大学医学会、医学教育センター、医学教育推進部門 |
「横浜医学」 70巻4号より転載
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第211回横浜市立大学医学会講演会
演題 |
アウトカム基盤型教育(OBE)に関する講演会 |
演者 |
伊藤 彰一 先生
千葉大学大学院医学研究院医学教育学 教授 |
要旨 |
アウトカム基盤型教育の必要性は認識しているものの 目標の定め方・カリキュラムの設定方法が明確にイメー ジできていないという課題があり,先行導入されておら
れる千葉大学から伊藤教授を招聘して,今後の本学医学 部の方向性について助言をいただくべく,教職員向けの FDとして医学教育センター医学教育推進部門において企
画され,今回医学会との共催の形で開催させていただき ました. そもそもアウトカム基盤型教育とは,平成28年度に改 訂された医学教育モデル・コア・カリキュラムの中で,
卒業時到達目標から,それを達成するようにカリキュラ ムを含む教育全体をデザイン,作成,文書化する教育法 (outcome-based education
<OBE>)と定義されています. 導入のためには,学生が卒業時までに修得して身に付け ておくべき実践的能力を明確にして,客観的に評価でき
るように示す必要があります.欧米ではかなり早い段階 から推奨されていましたが,近年になってようやく日本 でも学習方法の見直しが図られるようになりました.
千葉大学では,先駆けて2007年に卒業時到達目標を作 成し,2008年よりOBEを導入されております.OBE導入 以降も時代のニーズに合わせ,カリキュラムの定期的な
見直しを行っていることをお話しいただきました.具体 的には,国際化の波に乗り,海外で活躍できるグローバ ル人材の育成に取り組むべく,2020年度新入生より全員
に留学を義務付けるように変更したこと,また今後一層 激化するIT時代に対応できるよう,人工知能(AI)に関 する教育も新たに導入するとのお話を伺い,驚かされる
と共に本学の対応の遅れを改めて痛感させられました.
またカリキュラムは一部の教員で作るのではなく,よ り多くの教員が関わるべきであるというお話も大変感銘 を受けました.千葉大学では,各教室の准教授以上の教
員が1名以上必須で参加するリトリートを毎年開催され ているそうです.その中で出される新しいアイディアを 積極的に取り入れることで,時代のニーズに即したカリキュラムを随時提供できておられるそうです.今後,本
学でも卒業時到達目標に基づいたカリキュラム設計を行 うにあたり,全教室参加型のFD形式で検討してはどうか とのご助言をいただきました.
今回の伊藤先生のお話は,本学の今後の方向性を決め る上で非常に有意義であると共に貴重なお時間となりま した.千葉大学の内容を参考にさせていただきながら,
学生へより良い医学教育を提供できるよう,引き続き検 討してまいります. (文責 飯田 洋)
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主催 |
横浜市立大学医学会、医学教育センター、医学教育推進部門 |
「横浜医学」 71巻1号より転載
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第212回横浜市立大学医学会講演会
演題 |
持続可能な最新のがん緩和医療 |
演者 |
Dr. Sharon Watanabe
Professor and Director, Division of Palliative Care Medicine, Department of Oncology,
Faculty of Medicine and Dentistry, University of Alberta
Director, Department of Symptom Control and Palliative Care, Cross Cancer
Institute |
要旨 |
2019年11月13日(水)横浜市立大学においてカナダ・ アルバータ大学腫瘍学 緩和ケア医療部門の二人の教 授,Prof. Sharon WatanabeとProf.
Yoko Tarumiの2人にお 越しいただき講演会を開催した. Prof. Tarumiは,2012年から毎年ご講演いただき今年で 8₈回目となる.昼食時のランチョンセミナーをProf.
Tarumiにご担当いただき,ハーバード大学の「Serious illness conversation Guide」についてご紹介を頂いた.参
加者全員が自身のスマホを利用して,質問に答える形式 の講演会となった(第5回緩和医療セミナー「カナダの 最新の緩和医療報告」として開催). Prof.
Watanabeは,2013年,2015年とご講演いただき今 年で3回目のご講演となった.今回は横浜市立大学附属 病院 緩和診療部が実際に経験した困難症例3例をもと
に,Prof. Watanabeから症例に対するコメントがレクチャー され,日常の診療に役立つ内容となった.
症例検討に先立ちProf. Watanabeからは癌性疼痛の評価 に関わる提言があり,これを利用することで単純に鎮痛薬を増やすことではコントロールできない難治性の痛み
に対処することが可能であることを教えていただいた. 通常オピオイドの増量では対処できない痛みには,体性 痛・内臓痛以外に神経因性疼痛が隠れている可能性があ
ること,また心理的な苦痛,スピリチュアルな苦痛が隠 れている可能性があること,さらには嗜癖,中毒に伴う 乱用が隠されており,これらを様々なスクリーニングス
ケールを用いて検討することでオピオイドの量が適切か, その他の薬物あるいはカウンセリング等,非薬物療法が 必要なのかが判別可能だとされる.
症例1₁:30歳代女性,診断はスキルス胃がん・骨髄癌 腫症,症状は難治性の骨盤痛(安静時NRS9,体動時 NRS10)であり,抗がん剤が効果を有した期間は痛みの
コントロールが可能であったが,効果がなくなり,がんが進行することで痛みが強くなり,オピオイドの増量, 放射線照射を行ったがコントロールされず,さらにケタ
ミンを使用することで副作用としての幻聴,幻視を生じたが,疼痛のコントロールが困難なまま転院となった.
Prof. Watanabeからは,本症例の難治性疼痛には心理的 苦痛が含まれており,前述のスクリーニングスケールを 用いて評価を行うことでオピオイドの減量またはローテー ションが可能となり,非オピオイド鎮痛薬,非薬理学的 措置による対処が検討されるべきであるとされた.特に 主治医や多職種のチームが患者さんの苦痛に寄り添うこ とが大切であることが指摘された.疼痛評価は固定的な ものではなく,このように症状の変化が早い症例では, 痛みのスコアを経時的に再評価しながら対処していく必 要性が述べられた.
症例2:30歳代女性,多発内分泌腫瘍(MEN₁)で, 膵内分泌腫瘍(PNET)に伴う肝転移があり,10年を超える長期にわたり抗がん治療中であった.既往として膵切
除術後の膵液瘻により腹腔動脈ステントが施行されてい た.突然発症する腹痛・背部痛で何度も入退院を繰り返 したが,痛みの原因がはっきりとしなかった症例である.
Prof. Watanabeからは,長期生存するがんサバイバーが 増える中,がん性疼痛のコントロールも,慢性疼痛と同様に薬物の過剰投与が生じないようにコントロールして
いく必要があることが強調された.
症例3:50歳代女性,右肺がんに伴う癌性髄膜炎であ り,進行性の視力低下が認められ,抗がん剤あるいはステロイドの髄注により,視力の改善があり,息子の結婚式に出るという患者さんの希望はかなえられなかったが, なんとか結婚式の衣装を見ることが出来たという症例.
Prof. Watanabeからは,患者さんの希望は常にかなえら れるというわけにはいかず,かなえられないものはどの ように代償していくべきなのかを,家族と共に考える必
要があることが話された.
本講演会は第212回横浜市立大学医学会講演会,第30回がんプロ公開セミナー,第227回キャンサーボードとし て同時開催し,文部科学省の多様な新ニーズに対応する
「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」養成プ ラン事業の一貫として行われた.がんプロ学生に加え緩 和医療に関わる医師,看護師など34名の参加を得た.
(文責:岡野 泰子,市川 靖史)
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主催 |
横浜市立大学医学会、横浜市立大学大学院医学研究科がんプロフェッショナル養成プラン |
「横浜医学」 71巻1号より転載
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第213回横浜市立大学医学会講演会
演題 |
『プレシジョンメディスン ‐クリニカルシーケンスの次は‐』
米国における、がん医療の実際 |
演者 |
高部 和明 先生
P rofessor Alfiero Foundation Chair and Clinical Chief of Breast
Surgery
Roswell Park Comprehensive Cancer Center
Professor of Surgery, Division of Surgical Oncology, Department of Surgery
University at Buffalo, The State University of New York, Jacobs
School of Medicine and
Biomedical Sciences |
要旨 |
高部和明先生は,現在は米国ロズウェルパークがん研 究所の乳腺外科の主任教授として研究・教育・診療に活 躍されている.本学の医学研究科大学院のご出身であり,
現在客員教授としてご指導も頂いている.2017年7月10 日にも本学において第192回横浜市立大学医学会講演会 「Precision Medicineとは癌の遺伝子変異と治療標的を同定
するだけのことか」と題しご講演をいただいた.
今回のご講演ではGenomic panelをはじめとする米国の Precision Medicine Approachについて,遺伝子解析はDNA
のみならず,今後mRNAの発現プロファイルなどの functionalな情報も利用されていることが報告された.そ の証拠としてAJCC(American
Joint Committee on Cancer) が公表した乳がんのstage分類第8₈版では,生物学的マー カーが加わったことで,これまでの分類とは全く異なる,
しかし乳がんの悪性度をさらに際立たせる分類となった こと,NIHのThe Cancer Genome Atlas (TCGA)で公表さ れているRNAseqの結果を利用した研究が,clinical
sequenceに加えてがんの悪性度を測る有用性があること を示された.
最近のご研究については,tumor heterogeneityが高い癌は,癌免疫が低くcytolytic activityも低いことが示され, 生存率が悪いことが報告された(McDonald KA, Takabe K et al. Annals of Surgical Oncology, 2019).
現在ロズウェルパークがん研究所に留学されている本 学の消化器・腫瘍外科学の大学院生 押先生の研究につい てもご紹介され,癌の悪性度を定量する₄
gene-scoreを 確立し,4 gene-scoreは転移する原発巣,並びに肺・脳 転移巣で高いことが報告された.さらに,4 gene-score
が高い乳癌はがん免疫を惹起することが明らかとなった.
第213回横浜市立大学医学会講演会は,文部科学省の多 様な新ニーズに対応する「がん専門医療人材(がんプロ フェッショナル)」養成プラン事業の一貫としても企画さ
れており第29回がんプロ公開セミナー(自治医科大学, 北里大学,首都大学東京が参加)およびゲノム医学講義 として同時開催し42名の受講者が参加した.当日は遠隔
同時中継を実施し連携大学の関係者はじめ学内の先生 方,学生,医療関係者が参加され活発な討論が行われ大 変有意義な講演会となった.
(文責 遠藤 格, 市川 靖史,岡野 泰子)
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主催 |
横浜市立大学医学会、横浜市立大学大学院医学研究科がんプロフェッショナル養成プラン、消化器・腫瘍外科学、がん総合医科学、遺伝学 |
「横浜医学」 71巻1号より転載
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第214回横浜市立大学医学会講演会
演題 |
小児肝移植のトピックス |
演者 |
笠原 群生
国立成育医療研究センター
臓器移植センター センター長 |
要旨 |
【日本の肝移植の歴史】 生体肝移植は1989年11月13日に島根医科大学で胆道閉 鎖症の子供に行われたのが最初である.その後,1990年
から京都大学移植外科教授田中紘一先生が中心となり, 粛々と症例が重ねられた.笠原先生は1996年から2005年 までの10年間,田中紘一先生の門下生として肝移植の勉強をされた.田中先生から“誰も手を付けられなかった
病気に立ち向かう姿勢”,“絶対あきらめない肝移植につ いての姿勢”,“患者さんや病気に謙虚に向かい合う姿勢” など多くのことを学ばれた.
【小児肝移植の現状】 脳死臓器移植法の改正案が採択されたが,いまだに小児の脳死肝移植数は少ないのが現状である.脳死肝移植 が進まない背景のもと,日本の肝移植は健常人の部分肝臓を用いる生体肝移植が中心で行われている.
【チームを作るには】 小児肝移植を行うためには,臓器移植センター医師, レシピエント移植コーディネータ一,集中治療部,救急部,麻酔科,代謝科,神経内科,放射線科,病理診断部,
看護部,などの強力な移植支援者が不可欠である.成育医療センターで勤務している中で笠原先生は,“謙虚さを 持たないとヒトは集まらない”,“自分の発言がマンテイ
ストとなっていないか”ということを意識されるように なった.
【国際医療人の育成】 世界的に見ると,現在の肝移植は脳死肝移植が大部分 を占めるが,宗教上の理由から脳死ドナーからの臓器提供を受けられず,生体肝移植にしか頼ることのできない国がある.また移植手術の症例数が大変少なく,移植手術手技が未熟な国もある.笠原先生は現在,アラブ諸国やアジア諸国で生体肝移植手術の技術指導を行い,医療
援助を行っている.
【心がけていること】 ・ 変わらず謙虚に患者さんのため,最高の技術・医療を 提供する ・適応を厳格に,少しずつ困難に挑戦していく ・ 人様から臓器を頂いて成り立つ医療.しっかりした見 識,知見を持って1例1例臨む.
(文責 竹内 正宣) |
主催 |
横浜市立大学医学会、横浜市立大学大学院医学研究科 |
「横浜医学」 71巻1号より転載
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第215回横浜市立大学医学会講演会
演題 |
コアカリキュラムに基づいた各大学の取り組みと課題 |
演者 |
高山 真
東北大学病院 総合地域医療教育支援部・漢方内科
東北大学大学院医学系研究科 漢方・統合医療学共同研究講座 特任教授 |
要旨 |
令和2年1月25日に,神奈川県4大学FDフォーラム第 16回漢方医学ユニット合同研修会をヘボンホールで,開 催しました。本研修会は,2008年より開催されており,
過去に当大学でも3回の開催歴があります。2002年に,医学部教育コア・カリキュラムの改訂があり,『和漢薬を 概説できる』の一文が,明治維新以後初めて採用されま
した。その結果,全国の医学部の卒前教育で,漢方・東 洋医学の教育を行うことが,公的に認められましたが, 100年以上の教育的空白があるために,全国の医学部で
は,教員の不足,標準カリキュラムの不備,教育資源の 不足に直面することになります。神奈川県では,県下4 大学でこうした共通する課題を解決する目的で,神奈川
県4大学FDフォーラムを結成し,その中の漢方医学ユ ニットで活動しております。今回は,神奈川県4大学FD フォーラムを母体に結成された,日本漢方医学教育協議
会の活動を振り返り,今後の課題について総合討論をす る企画として,高山先生にご講演を賜りました。東北大 学病院総合地域医療教育支援部・漢方内科,東北大学大
学院医学系研究科 漢方・統合医療学共同研究講座では, 医学部学生,研修医,大学院生,専門医と幅広い対象に, 漢方・東洋医学の専門的教育を提供しており,その取り
組みについて,改めて伺うことができました。
(文責 石上 友章) |
主催 |
横浜市立大学医学会、、神奈川県4大学医学部FDフォーラム漢方医学ユニット第16回合同研修会事務局(循環器・腎臓・高血圧内科学教室) |
「横浜医学」 71巻2号より転載
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