医学会講演会
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平成19年度 横浜市立大学医学会講演会
回数 |
演者 |
演題 |
期日 |
1
(141) |
Kevin J. Knoop, MD, MS
Program Director, Emergency Medical Residensy Naval Medical Center, Portsmouth,
Virginia |
Photographic Case Studies in Emergency Medicine
⇒ 内容要旨 |
2007/4/27 |
2
(142) |
Prof. Haner Direskeneli
Professor and Head of Rheumatology Division, Medical School, Marmara University |
Behcet's Disease: From Infection to Autoimmunity ⇒ 内容要旨 |
2007/7/19 |
3
(143) |
井上 裕介先生
群馬大学大学院工学研究科
応用化学・生物化学 准教授 |
肝臓 HNF4alpha による生体内代謝調節機構の解明
⇒ 内容要旨 |
2008/1/10 |
第141回横浜市立大学医学会講演会
演題 |
Photographic Case Studies in Emergency Medecine |
演者 |
Kevin J. Knoop, MD, MS
Program Director, Emergency Medical Residensy Naval Medical Center, Portsmouth,
Virginia |
要旨 |
演者のKevin J. Knoop, MD, MS は30年に渡り, 一貫してアメリカ海軍の軍医として活動されています。 その中でも,、救急医学分野で活躍され,、米海軍病院の中心であるバージニア州ポーツマス米海軍病院の救急医学のレジデンシープログラムの責任者として活動をされています。
今回の講演は, 豊富な経験をもとに救急医学分野におけるアトラスを出版されその中の特徴的な症例を呈示していただきました。救急医学の分野では特異的な所見を呈する外傷形態、病態などがいろいろあります。 しかし、これらを経験することは、 なかなか機会に恵まれず、 困難であることが現状です。
症例の提示は豊富であり、 落雷による電紋(皮膚表面を流れる雷電流の放電火花による枝分かれ状,、放射状のT度熱傷)、 外傷症例の初診時の写真からどのような損傷を考えるか,、麻疹のコップリック斑、後咽頭膿瘍の症例など非常に広範囲にわたったものでした。
このたびの講演会は研修医の先生方を主にしましたが,、救命センタースタッフなどでも実際に診たことのない疾患・外傷の提示もあり、興味深く、一同知識が深まったとの感想であり,
機会があれば次回も参加したいという意見も多く聞かれました。
(文責 小菅宇之) |
主催 |
高度救命救急センター |
「横浜医学」58巻4号より転載
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第142回横浜市立大学医学会講演会
演題 |
Behcet's Disease: From Infection to Autoimmunity |
演者 |
Prof. Haner Direskeneli
Professor and Head of Rheumatology Division, Medical School, Marmara University,
Turkey |
要旨 |
7月20 日の日本- 韓国ベーチェット病合同会議の特別演者としてトルコより招待されたDireskeneli教授に講演をいただいた。
教授はベーチェット病の多岐に亘る免疫異常をこれまでの文献的報告をレビューし、自らの研究成績と照らし合わせて、その免疫病態について自らの考えを講演された。ベーチェット病では好中球機能過剰に代表されるinnate
immune system の異常が認められるが、 これには病原体の操り返し構造を認識するTLR の関与が考えられる。一方ではheat shock
protein(HSP60), HLA-B51ペプチド、 MICA-A6 ペプチドの自己抗原に対する自己免疫疾患としての側面も報告されている。以上から、ベーチェット病は家族性地中海熱のような自己炎症性疾患(auto-inflammatory
disease) の範疇に分類されるものではなければ、 また全身性エリテマトーデスのような自己免疫でもなく, その中間的な性格を持ち, 免疫炎症異常という点では炎症性腸疾患や強直性脊椎炎などと類似した位置づけにあるとの持論を述べられた。現在、ベーチェット病の治療は免疫抑制薬が中心であるが、十分なエビデンスはないが、病原微生物に対する治療の役割も検討していく必要があるだろうと結ばれた。
長年、ベーチェット病に関する同じ免疫異常をテーマとし、国際学会でしばしば議論することのあったDireskeneli教授のまとまった講演を聴講する時間が持てたことは主催者としても喜びであり、また、臨床研究を目指す若い大学院生の諸君にも分野を問わず刺激になったものと思われる。
(文責 岳野光洋) |
主催 |
病態免疫制御内科学 |
「横浜医学」58巻4号より転載
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第143回横浜市立大学医学会講演会
演題 |
肝臓 HNF4alpha による生体内代謝調節機構の解明 |
演者 |
井上裕介先生
群馬大学大学院工学研究科 応用化学・生物化学 准教授 |
要旨 |
肝臓で高発現するHepatocyte nuclear factor 4α (HNF4α,Nuclear Receptor 2A1) は多くの肝臓特異的遺伝子の発現を正に制御しているため、肝機能維持に重要な役割を担う核内受容体であると考えられている。
また、 ヒトにおいてHNF4αの突然変異は糖尿病(MODY1) を引き起こすことが知られている。全身HNF4α欠損マウスは胎生致死であるため、我々はCre-LoxP系(アルブミンCreトランスジェニックマウスを使用)
を用いて肝臓特異的HNF4α欠損マウスを樹立することにより成体肝臓におけるHNF4αの機能解析を行った このマウスは、顕著な脂肪肝、 血中アンモニアや胆汁酸の蓄積などをはじめとする様々な代謝異常により生後8
週間までにほとんどが致死であったため、HNF4αは肝臓の転写制御ネットワークの重要な因子であることが明らかになった。また、このマウスは有意な低血糖を示し、グルコース感受性、血中グルカゴン値の顕著な上昇と膵臓でのグルカゴンの蓄積も認められた。さらに肝臓におけるグルカゴン受容体の顕著な発現低下が認められた。同様な表現型はグルカゴン受容体欠損マウスでも認められるため、HNF4αがグルカゴン受容体の発現制御に関与することにより血糖値を調節していることが推測される。本セミナーでは、このマウスを用いて同定した肝臓におけるHNF4αの転写因子としてのその他の機能についても解説する。 (文責
井上裕介) |
主催 |
循環制御医学 |
「横浜医学」59巻4号より転載
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