8月レジデント抄読会

8月3日にレジデントによる抄読会が開催されました。市民総合医療センターの重井医師よりThomas J. et al. Cognitive-behavioral therapy for avoidant/restrictive food intake disorder (CBT-AR): Feasibility, acceptability, and proof-of-concept for children and adolescents. Int J Eat Disord. 2020が紹介され回避制限性食物摂取症の認知行動療法の効果について議論されました。報告では10~17歳の20名が参加した試験で85%が症状の改善を認め、約16種類の新規の食べ物を口にすることができたとされています。軽症者を扱ったことやシングルアームであることが弱点ですが、治療技法をイメージするのに役立つ内容でした。症候や栄養学に関する心理教育を十分行い、モニタリングをさせながら栄養摂取を促すというシンプルな構成です。残念ながらプログラムのマニュアルは日本では入手できないようで今後の翻訳が期待されます。そして、附属病院の太田医師よりAgostinio H. et al. Trends in the incidence of new-onset anorexia nervosa and atypical anorexia nervosa among youth during the COVID-19 pandemic in Canada. JAMA Network Open. 2021が紹介されコロナ禍での児童青年期の摂食障害患者増加が世界的に起こったことについて議論されました。日本においても緊急事態宣言が発出された第1波の直後は神奈川県内の複数の施設で摂食障害患者が重症化して入院となっており、関係者を悩ませていました。休校措置などにより女子の社会的つながりが途切れ、抑うつや不安が増加するとともにSNS主体のコミュニケーションが自己イメージを不確実なものにしていったのかもしれません。若年女性の自殺者数の増加も問題となりましたが、緊急事態宣言による社会的隔離の実施は若者に弊害をもたらしました。さらに、附属病院の深津医師よりHaghayegh S. Before-bedtime passive body heating by warm shower or bath to improve sleep: A systematic review and meta-analysis. Sleep Med Rev. 2019が紹介されました。深津医師は無類のサウナ好きですが、睡眠に対する温浴効果を子どもと家族に伝えるための根拠を探してみたそうです。温泉文化の日本発の研究も複数含まれたメタ解析でした。40~42.5度の温浴を就寝の1~2時間前に行うと入眠時間の短縮や睡眠効率の改善につながります。このメタ解析の対象が18歳以上であったので議論は慎重にすべきですが、眠れないと訴える子どもに対して睡眠導入剤を検討する前に足浴の実施などについて看護スタッフと話し合うのは有意義なのではないか?という議論がありました。