7月定例症例検討

7月15日にはオンラインで定例症例検討会が開催されました。市民総合医療センターの戸井田医師に症例を提示していただきました。周囲への被害感を強く感じる心的外傷後ストレス障害もしくは精神病危機状態(ARMS;At Risk Mental State)を疑う症例の治療経過についての報告でした。心的外傷後ストレス障害においてもARMSにおいても、複数の機関からの情報や信頼できる評価尺度の利用など複数の情報源を根拠にした評価が必要になります。しかしながら、このような症例では自分の体験を語ること自体が大変でもあるので、評価する医師側も家族や子どもに配慮した結果、十分な評価ができない可能性があります。被害体験とともに幻聴や幻視などの精神病症状を伴う場合、両者の鑑別が難しく迷う場合も多々あります。そういう時こそ、焦らずに丹念な観察と情報収集が必要です。これが不十分なまま、診断や告知、投薬に踏み切ると不必要な家族と学校との関係悪化、精神疾患への偏見と治療中断、副作用による不利益を生じるかもしれません。今後の展開を見据えた十分な経過観察と子どもと家族への説明が必要な症例でした。