7月1日にはシニアレジデントの青木先生・戸井田先生による文献紹介がありました。青木先生は虐待被害を受けトラウマ関連症状が続いている子どもと加害親に対して行う心理療法について、戸井田先生は児童青年期の摂食障害に対する強制栄養と身体拘束の実施について、報告をしてくださいました。青木先生からはCPC-CBT(Combined Parent-Child Cognitve Behavior Therapy)について紹介がありました。昨年末に開発者のRunyon先生の講演開催があったばかりで、CPC-CBTを実践できる治療者はほとんど日本にはおりません。ただし、この治療の実施はともかく、被害体験による心理的影響について治療者の助けを得ながら関係を回復していく治療過程が重要であることを参加者は再認識できました。戸井田先生からはFamily Based Therapyの実施が定式化されているノルウェーの摂食障害治療施設の取り組みの紹介がありました。地域の一般診療では支えきれない症例が入院する治療センターで、どの程度の患者が身体拘束を受けているのか、5年後の予後はどのようなものかを示した報告です。同施設では重症患者が集まるだけあって、紹介患者の66%が入院となり、さらにそのうちの11%が身体拘束となったようでした。外来患者全体でみれば、身体拘束に至るほどの症例はごくわずかであることがわかります。身体拘束患者の予後はそうでないものに比べて若干不良ですが、それでも5年後のBMIは平均18を超えていました。これは横浜市大の摂食障害の治療成績を若干上回る印象です。EBMに基づく治療理念の浸透度やスタッフの充実度などの差が考えられますが、治療成績を向上すべく我々は試行錯誤を重ねる必要があるようです。
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