全国児童青年精神科医療施設協議会第50回研修会

2月7日-8日にかけて三重県津市で行われた全国児童青年精神科医療施設協議会第50回研修会(全児協)に横浜市立大学児童精神科のメンバーで参加しました。横浜市立大学は児童思春期病棟を有していないためオブザーバー施設としての参加でしたが、子どもの入院治療を行う治療施設の丁寧な子どもたちとの関わりや病棟運営は日常臨床の参考になりました。以下、会に参加したレジデントの中村医師、宮崎医師の感想です。

宮崎医師 今年度より成人精神科から児童精神科研修に移行し、教育・福祉との連携、成人とは異なる多角的な視点の必要性、子どもたちへの関与の難しさ・重要性を痛感する日々です。全児協では子どもの心の診療を行う病棟での診療の実際や子どもたちの具体的な生活の様子について実感を得ることが出来ました。特に興味深かったのは三重県立子ども心身発達医療センターの発表でした。同センターの数年に渡る“育て直し”の時間、保育士を中心としたスタッフによる様々な遊びを通した関り、大人への信頼の基盤形成を意図した取り組みは印象に残りました。全力で子どもと関わるスタッフの日々の苦労と覚悟を感じ、多職種で子どもに関与することの意味を考える機会となりました。私は今年度から児童精神科研修を開始し、これまでの成人精神科研修と比較して過去の自分自身の診療のあり方を見直すことが増えました。子どもに自分が関与した時間を少しでも成長する子どもにとって 少しでも良い時間とするために、今後も自問自答をしたいと思います。改めて自分の覚悟を問う機会となりました。

中村医師  今回のテーマが「子どもの生きる力を」育むということで、各施設の方々の熱心さや症例ごとの苦労話をたくさん伺いました。全児協ではこれまで参加してきた学会と異なり、医師以外の職種、看護師、心理士、ソーシャルワーカー、教諭、保育士の方々からの発表が多く、普段の診療場面では気づかない視点が提示され大変勉強になりました。日頃、自分は1〜3ヶ月の短期入院診療をしています。しかしながら、年単位に渡る長期入院診療ではより良い医療や支援を提供するためにコメディカルの存在が重要で、病棟を運営する上の舵取りの役割が医師に求めらていることを感じました。自分はまだまだ経験も知識も未熟なため、今後も一歩一歩研鑽を重ねていきたいと思います。児童精神科診療の根本は「子供のために」という気持ちがエネルギーの源泉だと思います。熱意をもって子どもに関わる方々のお話は自身の気持ちをリフレッシュしてくれました。