5月17日症例検討会

昨日は市民総合医療センターにて定期症例検討会が開催され、同院の山本先生に症例を提示していただきました。患者さんや家族への病名告知は医師としての技量を問われるものでもあり、うまく伝われば良薬にもなり、伝え方やタイミングを間違えば毒にもなりかねません。うまくいかずに反省した経験や症例と出会う度に戸惑いを感じた経験を持つ医師も多いかもしれません。特に統合失調症に関しては、病識の低さは認知機能の低さ、自己管理不良、再発、再入院など不良な予後のリスクとして知られているため、早めに本人に告知をするべきか悩む医師も少なくありません。しかし病識は抑うつや自殺念慮との関連がある事も示されており、病識の獲得は諸刃の剣になる可能性もあるのです。最初の医療との出会いである児童精神科では、充分な治療への動機づけや抑うつなどの精神症状の有無を吟味し、症状への対処行動や投薬の意義について話し合う中で、当事者のニーズに沿った説明がなされるべきです。病名告知だけが治療への理解を深める最初の鍵になるわけではないので、これに代わる治療導入のスキルを常に研鑽する態度が求められます。