児童精神科を訪れる摂食障害のお子さんは、いくつかのタイプに分類されます。大きく分けると、下記の4つです。
2) 神経性大食症(いわゆる過食症)
3) 嘔吐恐怖症
4) 回避性制限性食物摂取障害
太るのが怖くなって食事を少ししか食べられなくなり、やせていく病気です。やせているのに「やせていない」と言ったり、やせるために運動をしたりします。周りの人たちが心配しても、なかなかわかってくれません。女の子に多い病気ですが、男の子もかかることがあります。
太るのが怖くなって食事を減らすことはありますが、拒食症の人のようにやせていません。食事の制限をしたり、過食をしたり、過食後後悔をして嘔吐や下剤を使用します。本来望まない食行動を繰り返す中で、自信を失い、気持ちが落ち込みます。
「はいてしまうのではないか」と心配になり、少ししか食事が食べられなくなる不安症の一種で、元々心配性な子によくおこります。「のどがつまるような感じがして食べられない」と感じることもあります。クラスメートが嘔吐したのを見たり、たまたま風邪のせいでお腹をこわして自分が嘔吐したことがきっかけになることがあります。
やや難しい名前ですが、特にやせたいとか太るのが怖いとは思っていないのにも関わらず、健康志向を追求しすぎたり、過度な運動をつづけたりしてやせていきます。頑固でこだわりが強い発達傾向のあるお子さんによく見られます。
摂食障害によって体重が減りすぎると心と身体に影響が出ます。身体に力が入らなくなり、冬眠状態のように体温や血圧、脈拍が低下します。女の子では生理が止まります。また、栄養不足のせいで身長の伸びもとまります。心の面では気持ちの余裕がなくなって、小さなことにこだわったり、些細なことにイライラして、家族との関係も悪くなります。食事の仕方をめぐって口論になることもあるかもしれません。このような状態であれば、まずは病院で診察や検査を受け、心と身体の状態を確かめてもらいましょう。
そして、身体に栄誉を戻すのと同時に回復をためらう本人の不安に耳を傾け、支えてあげることが重要です。また、嘔吐恐怖症や神経性大食症の場合、背景にあるストレスや不安を解決できるように一緒に考えたり、多くのお子さんに合併している不安やうつ状態をお薬を使ってやわらげることも効果的です。医師だけでなく、心理士、栄養士、看護師も相談にのってくれるはずです。
治療は原則的に外来通院で行いますが、一部のお子さんは心臓や肝臓などの臓器に異常が出て医師から入院をすすめられることがあります。入院をすると退院できるくらいまで食事量や体重が回復するのに、2~3か月の時間がかかることは稀ではありません。
摂食障害のお子さんを持つご家族の会への参加や、摂食障害の悩みをもつ人が集まる自助グループに参加してお互いの経験をわかちあいながら、回復への道を探ることも有効です。くわしくは医師に相談してみましょう。