お父さんやお母さんが、急に怒りっぽくなった、なんだかいつも泣いている、悪い奴らにねらわれているとおびえている、「死にたい、一緒に死のう」と言ってくる、急に息が苦しいと言って救急車を呼ばなければならなくなった、など、家族の心が調子が悪いせいで、どうしてよいかわからなくなることがあると思います。家族の心の病気のせいで、子どもまで心の調子をくずして、児童精神科に相談にくる子が実はたくさんいます。
心の病気は脳の疲れによって起こるもので、誰にでも起こる身近な病気です。でも、ケガをして包帯を巻いているわけでもないし、せきや熱が出ているわけでもありません。なので、どこが悪いのかとってもわかりにくいと思います。
心(=脳)が疲れると、眠れなくなったり、イライラしたり、悲しくなったり、何もやる気がなくなったり、幻聴という誰にも聞こえていない声が本人だけに聞こえるようなことが起こります。
心の病気は誰でもなる病気ですから、まわりの人でも同じような経験をしている人も案外いるかもしれません。家族が風邪をひくのが自分のせいではないのと同じように、家族が心の病気になることも自分のせいではないのです。一人で悩まず、自分はこれからどうすればいいか相談してみるのが一番です。家族の他のメンバーと一緒に相談してみましょう。でも、家族も疲れていて相談しにくいこともあるかもしれません。そんなときは、学校の先生や児童相談所の人たちも相談にのってくれます。もしも夜間などで誰かの命の危険を感じる緊急事態の時は、110番に電話をしても相談にのってくれます。
まわりの人に相談ができて、少し「心の病気」のことがわかってきたのなら、自分がどうすればいいのかもちょっとずつわかるはずです。そっとしてほしい、とお願いされたら、静かに休ませてあげてください。しっかり休養をとって休んでいれば、何ヶ月かのうちに元気になってくるはずです。