「皮膚を切る」「皮膚を刺す」「やけどさせる」「治りかけた傷をこする」
思春期の約一割の子どもたちが、このように自分を傷つけた経験あるといわれます。なぜ、自分のことを傷つけてしまうのでしょうか。「イライラしたとき」「強いストレスを感じたとき」「気づかないうちに」など、不安なとき、緊張を強まったとき、さみしいとき、いやな気分のとき、自分のことを傷つけてしまうことがあるようです。自分の体を傷つけることは、誰かの注目や同情を集めるためというよりは、つらい状況で戦っている中で、何とかしようとした結果起こる行動なのです。
「いまのあなたではダメだ」と言われているように感じる出来事があったりすると、「自分はいらない子」「余計な子」と思ってしまうことがあるかもしれません。そんなつらい気持ちのなかで誰かを頼って相談したときに、相談相手があなたの気持ちを受けとめきれずに、「がんばれ」「お前も悪い」と言われたり、あなたの悩みに耳をかたむけてくれなかったりすることがあるかもしれません。そんなときに「やっぱり誰も信じられない」「もう誰にも助けは求めない」「消えてしまいたい」「いなくなってしまいたい」と極端に考えてしまいます。
この心の痛みを消すために、自分を傷つけてしまいます。「死にたいほどのつらさ」をコントロールするために、一人の時に自分を傷つけてしまうのです。
自分の体を傷つけてしまう人の多くは「いやな気分を変えるために」行っています。「気持ちがすっきりするから」「イライラを解消するために」していたはずが、次第に「やめたいけどやめられない」状態になって行き、自分を傷つけることで自分の感情をコントロールしていたつもりが、気がつくと、自分を傷つけることに振り回されてしまっている自分がいます。
傷つけたくなってしまったときは、何か別の行動をするなどして、気持ちを変えてみましょう。また、傷つけたくなる原因となっているいやな気持ちを、人に打ち明けたり、相談したりすると、気分が変わったり、つらい気持ちをわかってもらえたり、一緒に考えてもらうことが出来ると思います。また、病院へ来て相談してみると、心を落ちつけるリラックスの方法や気持ちを楽にするお薬についても提案してもらえるでしょう。