病院にはときどき、学校の勉強についていくのが大変で自信をなくしている子がやってきます。はじめのうちはがんばってみたけれど、だんだんがんばれなくなった子や、なんとか自分だけができないところをまわりにかくそうとして必死になって疲れてしまった子もいます。それなのに、まわりからは「がんばればできる」「努力が足りない」としかられ続けていることがあります。これはけっしてその子の努力がたりないというわけではなく、学校でならっている勉強のしかたの相性がわるいという場合もよくあるのです。
他の友だちは教科書や本をつっかえないで読みあげることができたり、一度本を読むだけでだいたい何が書いてあるのかわかるのに、自分はなかなかそれができない。マンガやゲームの本を読むにしても、ふりがながふってあればいいけれど、大変だからあまり読みたくないという悩みがある子がいます。また、なんとか練習して小学校のうちは乗りこえたけれど、中学校になってもっと漢字がむずかしくなったり、英語を読むのはもうムリという人もいるかもしれません。
さらに、読むことはできるけれど、書くとなると思っているようなことが全然書けないとか、字がうかんでこないとか、漢字はなんだか変な記号みたいでさっぱり覚えられないという人もいます。そんな人たちにとっては、学校のみんなの前で教科書を読むとか、黒板の前で何かを書くとか、作文をはりだされるようなことは本当にしんどいことになります。
実は、先生が言っていることはわかるけれど、読むこと・書くことだけがむずかしい、という人はめずらしくありません。たとえ読むこと・書くことがむずかしくても、少しずつ自分にあった練習をしたり、パソコンをつかえば文章が書ける人もいて、りっぱな大人になって社会人としてやっている人も多いのです。病院に来る子の中には、自分の努力がたりないから、自分がダメだから、と思ってずっと一人でなやんでいる子もいます。しかし、お医者さんや学校の先生と相談しながら、自分にあったペースでおしえてもらうことができれば、一人でなやんでいるよりもずっとラクになるはずです。まずは病院で相談してみましょう。
数字をみるとイヤになる、計算をいつもまちがえてしまう、時計がよめない、時速何キロといわれてもよくわからない。文章問題になるとどうしていいのかさっぱりわからない。など算数についてのなやみをかかえている人もいます。なんとか、計算問題まではできていたけれど、小学校高学年になったとたんに、割合の問題や比の問題、中学校になってマイナスやX(エックス)が出てきてからは、もう完全についていけない。という人もいます。実はこういう人も、読むこと・書くことがむずかしいという人と同じようにめずらしいことではありません。
お医者さんや学校の先生と相談しながら、自分にあった勉強のしかたを考えていきましょう。
小さい頃から運動がにがてで、友だちとドッヂボールやサッカーをしてもうまくできなかったり、自転車になかなか乗れないという子もいます。また、あまり手先が器用でなくて、工作が好きな子やプラモデルを作れる子がうらやましい、という子もいるでしょう。もともとの運動神経・手先の器用さは人それぞれの差があります。みなと同じようにしたい・苦手を克服したいと自分流でムリをしたり、よりは、楽しめるくらいのことをお医者さんや学校の先生と相談していくのがよいかもしれません。