何らかの原因で脳の中で異常な電気信号が生まれ、その信号が脳の一部もしくは全体に広がって身体の痙攣(けいれん)を引き起こしたり、一過性の精神状態の異常(興奮する、意識がなくなるもしくはぼんやりする、どんな行動をしていたか覚えていないなどの症状を引き起こす脳の症状です。
小さい頃に比較的多くのお子さんが経験する発熱時のけいれん発作とは区別され、発熱がないのにも関わらず、上記のような状態が起こるときに「てんかん」が疑われます。
漢字では「癲癇(てんかん)」と書きます。「転換(てんかん)」と書く心の症状もありますが、これは心にたまったストレスがうまく処理できずに、身体の症状としてあらわれる病状なので全く別物です。
てんかんの原因はさまざまです。原因が不明なものが多数ですが、脳腫瘍や感染症、自己免疫性疾患などが原因になることもあります。遺伝によるものや育て方のせいではありません。
小児科・神経内科・精神科・脳外科が最初の窓口になります。精神科で「てんかん」の診断を受けるお子さんは明らかなけいれん発作が主症状ではなく、興奮している・普段と違う行動を取っている、などの精神症状で受診されます。
基本的には医師が問診によって経過を確認し、「てんかん」を疑った場合に脳波検査を実施した後「てんかん」に相当する脳波異常が確認されれば診断されます。一度の検査で診断がつかない場合もあります。脳波検査は診察とは別の日程の予約をします。検査は1時間程度で、目が覚めている時、眠っている時の脳波を確認します。当日検査室で睡眠時の脳波がとれない事が予想される場合は、医師が処方した睡眠薬を内服してもらい、検査することがあります。
他、脳波異常の原因を特定するため脳画像検査、血液検査などを追加します。
「抗てんかん薬」というお薬を内服します。病状の種類や重症度によって内服するお薬の量や種類が異なります。詳しくは担当の医師とご相談ください。
内服を続けながら、効果が期待される程度の濃度のお薬の成分が血液中に存在しているかを確認しますので、定期的に採血を行います。また、治療の効果をみるために、定期的な脳波検査も行います。
治療は最低2-3年は継続するのが一般的です。
一度だけの発作で、その後は発作が起きない場合もありますが二度以上繰り返す場合はその後も発作を繰り返す場合が多いので、一般的には「抗てんかん薬」による治療をお勧めします。発作が続いているのにもかかわらず、治療を受けない場合、知的・精神機能の低下や発作による不慮の事故などが起こる可能性があります。
たとえ薬物治療を受けていたとしても、十分な休養や睡眠がとれておらずに疲労がたまると発作が起きやすくなります。無理な生活はさせないようにしましょう。
発作が起こったときはあわてず、安全な場所で身体を横にさせて発作が止まるのを待ちましょう。呼吸しやすくするために肩のところにタオルをしいたり、吐物で息がつまらないように顔を横に向ける対処ができるとなお良いでしょう。発作の様子や続いた時間を観察して、医師や救急隊員に伝えてください。