富山化学工業株式会社
「AMPA受容体シナプス移行促進作用を示す化合物の探索」
富山化学工業株式会社
理事 綜合研究所長
中村 孝昭
富山化学工業株式会社は、研究開発の重点領域を「抗感染症」「中枢・循環器」「抗炎症」の3領域に絞り込み、自社化合物ライブラリーからの医薬品候補物質探索や、新薬の臨床開発を行っています。
本拠点では、精神神経疾患研究チームにおいて、横浜市立大学との共同研究で、AMPA受容体シナプス移行促進作用を示す化合物のスクリーニングを実施しています。本共同研究はこれまで富士フイルム株式会社が中心となり進めてきましたが、平成25年度から当社がこれを引き継ぐことになりました。これまでに、神経系への作用が確認されており、優れた薬物動態学的プロファイルを持つ化合物群を、自社保有化合物ライブラリーから選別し、本拠点で構築された動物モデルを用いた医薬品候補物質スクリーニングに供してきました。その結果、成体マウス脳においてAMPA受容体シナプス移行を促進する化合物を見いだすことに成功しています。
今後は、本化合物の精神疾患、神経疾患への治療応用を目指し化合物の最適化に取り組むとともに、社会へ貢献できる拠点づくりを目指したいと思います。