先輩からのvoices
本ページでは随時,先輩医師からのメッセージを掲載しています.先輩医師達が,如何に進路を歩み,今,何を思うのか,これらのメッセージが,皆様の進路選択の一助となれば幸いです.
当教室の教室員は,経歴や出身も異なれば,志すところも様々です.当教室では,消化器内科医としてのレベルアップを希望される皆さんに様々な選択肢を用意することが可能です.是非,お気軽に施設見学や教室説明会にお越しください.
海外留学中の先輩からのメッセージ
濵中 潤 先生(平成17年卒,Catholic University of Rome)
2016年12月より胆膵内視鏡の臨床および研究目的にイタリア ローマのCatholic University(以下カトリック大学)に留学しております。
2010年(医師5年目)に初めて国際学会(UEGW:欧州DDW)での発表を経験し、漠然とした留学に対する憧れがありましたが、この度、横浜市立大学 消化器内科学教室(前田 愼教授)とカトリック大学 との良好な関係なもとに留学が実現いたしました。
当地では英語でコミュニケーションがとれますが、コメディカルとの関係をよりスムーズにするため内視鏡室ではイタリア語で話すよう努めています。日本ではあまり経験することのない肝移植後の胆管吻合部狭窄に対するマルチステンティングや肥満患者に対する内視鏡的胃縫縮術はとても勉強になります。また当院では全身麻酔下の小児内視鏡検査も多く驚いています。
イタリア人は明るく人懐っこい国民性のため日常生活で言葉の壁を感じて苦労することはほとんどありません。食事はもちろんイタリアンが中心になります。街のあちこちにあるBARにいけばエスプレッソが0.8€(100円程度)、1/4のカットピザは2€(250円程度)と非常にリーズナブルです。ローマはご存知の通り多くの遺跡に囲まれていますので週末には気軽に観光に出かけることができます。またバスで20分ほど行くとASローマとSSラツィオのホームスタジアムであるスタディオ・オリンピコに到着します。イタリア人フェローとエジプト人フェローとスタジアムでACミランとの試合を観戦したのは良い思い出です。
日本で身に付けた内視鏡技術を外国人に指導する機会にも恵まれイタリア国内のみならずフランス、ドイツ、ポルトガルでESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)や日本式の上下部消化管内視鏡検査スクリーニングについて講演および指導をしております。

動物モデルでのESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の指導
海外で学び得た経験と知識を当教室に持ち帰り、微力ではありますが日本の医学の発展に貢献できればと思います。そして今後留学を考えていらっしゃる先生方の相談にのりアドバイスができればと考えております。このように充実した留学の機会を与えていただいた横浜市立大学 消化器内科学教室には大変感謝しております。
国内留学中の先輩からのメッセージ
小宮山 哲史 先生(平成22年卒,国立がん研究センター中央病院)
悪性腫瘍に対する化学療法の臨床と研究、がん薬物療法専門医資格の取得を目的に、2015年4月より2018年3月まで国立がん研究センター中央病院の内科レジデントとして国内留学する機会を与えていただきました。
きっかけは後期研修を終えた後の進路について考えた際に、消化器内科医として自らの武器となる分野を持ちたいと考え、以前より興味があった、がんの診断・治療を専門的に学びたいと考えました。研修先として国立がん研究センター中央病院を選んだ理由は、以前に医局の先生方が国立がん研究センターで研修されていたこと、現在も横浜市大出身の先生方が活躍されていることでした。
3年間の研修では内科の各診療科を3ヶ月ずつローテーションし、がん薬物療法専門医資格取得のための症例を経験しつつ、様々な臓器の悪性腫瘍の診断・治療について、国内で指折りの専門家の先生方から学ぶことができました。また、研修中には、海外学会も含めた発表機会や論文執筆の機会をいただくことができました。加えて、抗がん剤治療以外にも内視鏡や腹部エコーについても、日本を代表する先生方から学ぶ機会が得られました。
国内有数のがん専門施設での研修は、求められているレベルの高さに苦労することもありましたが、様々な診療科の診断・治療戦略の立て方や研究に対する姿勢を学ぶことができ、得られたものは大変大きかったです。
研修で得られた経験を当教室に持ち帰り、悪性腫瘍に対する化学療法の臨床と研究の発展に還元したいと考えています。最後になりましたが、このような機会を与えて下さいました横浜市大 消化器内科学教室には感謝を申し上げます。

お世話になった胆膵内科の先生方と.
① 横浜南共済病院 Y.T. (平成23年卒)
私は平成23年度卒で,市中病院で初期研修医を終え,消化器内科学教室のシニアレジデントとして市民総合医療センターで1年間働かせ頂きました.市民総合医療センターは臨床を主体とする大学附属病院であり,症例が非常に豊富で,また,各分野のスペシャリストが揃っています.診断や治療で悩んだ時に,指導医の先生方に親切丁寧なご指導を頂き,最先端の医療を学ぶことができました.昨年1年間で学んだことが,現在出向中の市中病院でも大いに役立っています.消化器内科は疾患が多く,治療法も多岐にわたるため,身に着けなければいけない知識や技術がまだまだたくさんあり大変なこともありますが,やりがいを感じることができる科だと思います.消化器内科学教室には様々な大学出身の先生方が所属しているため,他大学出身の私でも直ぐに馴染むことができ,非常に居心地の良い教室だと思いました.是非一度,教室に遊びに来て楽しい雰囲気を感じて下さい.一緒に働ける日を楽しみにしています.
② 横浜市立大学附属市民総合医療センター M.S. (平成25年卒)
私は市中病院での初期研修を終了後,横浜市立大学消化器内科学教室の後期研修医として横浜市立大学附属市民総合医療センターで研修を開始したばかりの駆け出しです.現在は上部消化管内視鏡検査の習得に夢中で,上級医のご指導の下,多くの症例を経験させて頂いております.病棟ではローテートで胆膵グループに所属し,毎日行われる専門医とのカンファレンスで揉まれながら,胆膵内視鏡の助手や胆膵癌化学療法などの経験させて頂いており,充実した毎日を送っております.非常に明るくて,溶け込みやすい雰囲気の教室ですので,是非,一度見学にお越しください.
後期研修終了後に入門した医師からのメッセージ
横浜市立大学附属病院勤務 H.K. (平成19年卒)
私は,平成19年に福島県立医科大学を卒業し,神奈川県内の病床数400床弱の市中病院で2年間の初期研修を終えた後,同院で消化器内科医として就職し3年間勤務しました.
その間将来的に内視鏡治療の分野において更に研鑽を積みたいと思うようになり,当時勤務していた施設でESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を行っていなかったことや医師としての自分の力を外で試してみたいという気持ちの芽生えが後押ししたこともあり同施設を退職し当教室に入門する決意をしました. 横浜市立大学消化器内科学への入門を選択したことに関しては,①関連病院が神奈川県内に多く,特に横浜市の中核となるような病院が多いこと,②他大学出身者が大半を占めること,③自分のように医師3年目以降の入門者も少なからずいることなどの理由の他に市民総合医療センター(以下センター病院)の存在が大きかったように記憶しています.センター病院はESDの件数もさることながら,研究に加え各領域のグループに分かれて専門的な診療・治療を行っているなど大学病院としての特徴を備えつつ,一般病院に近いような臨床的要素をも多く持つ病院であり,臨床医としてのステップアップを考えていた自分にとってはとても魅力的な病院でした.
医師6年目で消化器内科学に入門し,同年から運良くセンター病院・消化器病センターの消化管グループに配属となりました.入門時には他の肝臓・胆膵グループなどのローテートを希望しておりましたが,入門後半年ほど経過した頃に教授から消化管専門でやっていくことと臨床をしながら大学院生として学位取得を目指す選択肢を御提案頂いたこともあり,ESDを中心に消化管専門の消化器内科医として研鑽を更に積むことを決め,更に翌年より大学院(医学研究科博士過程)に入学をしました.
3年間センター病院で内視鏡医として勤務した後,平成27年度より横浜市立大学附属病院で勤務をすることとなり現在に至ります.内視鏡治療に関しては少しずつではありますが後進の指導にも携われるようになり,また新たな刺激や楽しみを見いだすと共に更なる自らの飛躍と進歩の必要性を実感する毎日を送っています.
この文章を書かせていただくにあたり,自らのこの10年間を振り返ってみますと以上のような転機がありました.何らかの岐路に立ち様々な選択を迫られた時に,なるべくなら後悔しない選択肢を選びたいと誰しも願っているはずです.どのような道にせよ最終的に決定するのは自分だと思いますが,様々な選択肢を提示してもらったり,相談にのってもらったりと他者の助けも時には必要です.当教室の良さはそういった人間関係を構築しうることにもあるように思います.実際に知り合いもおらず医師6年目で入門した「外様」ですが,これまでのところ短い期間ではありますが歩んできた道に後悔はなく,「外様」を感じたこともありません.
どこかで自分の力を試したいと考えている先生,更に自分を高められる環境を求めている先生,自分に合う専門分野を模索している先生,大学院への進学を考えている先生,研究がしたい先生,臨床をもっと突き詰めたい先生,どんな理由であれ当消化器内科学教室は多種多様な考え方に可能な限り寄り添い,今だけでなく将来を見据えた様々なニーズに答えられ教室だと思います.
いつでも門戸は開かれています.是非我々の教室に新たな風を巻き起こし,これからの横浜市大の,更に神奈川県の医療を一緒に支えて頂ければ,大変嬉しく思います.