横浜市立大学 医学部 消化器内科学教室

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多羅尾 和郎先生の論文が掲載されました.

多羅尾 和郎先生の論文が掲載されました.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34239704/Comparison of unenhanced magnetic resonance imaging and ultrasound in detecting very small hepatocellular carcinoma. World J Hepatol. 2021 Jun 27;13(6):699-708.

多施設共同研究で下記知見を得ました.共著者の方々に御礼申し上げます.

慢性肝疾患からの肝癌発生は,径2cm以下で発見できれば肝内転移も脈管浸潤もなく予後が良好となる.我々が,以前示した様に,径2cm以下の肝癌は腫瘍マーカーのAFP,PIVKA-IIでは,1/3が検出困難であるので,画像診断であるMRIとUSが主となる.2003年頃からMRIの方が微小肝癌の拾い上げにはUSより優位であることが知られるようになったが,当時のMRIの検出率は60%前後であった.その後,MRIが著しい進歩を遂げた.その第一は磁場が1.5 Teslaより3.0 Teslaに強くなったこと,第二はdiffusion-weighted imagingの実用化である.我々は,多施設からの過去10年間の症例で初診時に単純MRIとUSが同時に施行された102例について単純MRIとUSの径2cm以下の微小肝癌の検出率を調べたところ,MRIでは102例中97例(95.1%)であったのに対し,USでは102例中71例(69.6%)であり,MRIで有意に高率であった(p<0.001) .即ち,USのみでの拾い上げでは約1/4(25%)の症例が見逃されてしまうことが証明された.結論として,径2cm以下の微小肝癌を拾い上げるためには,MRIでの定期的な検索が必要である.(多羅尾)