Wang F先生の論文が掲載されました.
典型的な肝細胞癌の画像所見は,動脈相での染まり(wash in)と,その後の時相での抜け(wash out)所見です.一方,病理学的に早期肝細胞癌の画像所見はまだよく検討されていません.Sonazoid 造影超音波の後血管相はKupffer相ともいわれ,Kupffer機能が保持されていない結節では,周囲の肝実質よりも低エコーを呈し,それが保持されている結節では等エコーを呈します.早期肝細胞癌はKupffer機能が保持されているといわれています.
Wang医師の論文では病理学的早期肝細胞癌と病理学的進行肝細胞癌診断におけるSonazoid 造影超音波での門脈相,後血管相の所見とEOB-MRIの造影前T1強調像との肝細胞相での病変と周囲の肝実質とのそれぞれの信号強度比(Pre- and Post-contrast ratio)と,両者の比(EOB enhancement ratio)の所見を検討し,どの所見が,早期肝細胞癌診断と進行肝細胞癌の鑑別に有用かを検討しました.EOBMRI のPost-contrast ratio ≥0.61(AUC = 0.719)またはEOBMRIのPost-contrast ratio ≥0.610とSonazoid 造影超音波の後血管相等エコー所見を併用(AUC = 0.856)よりも,Sonazoid 造影超音波の後血管相での等エコー所見(AUC = 0.892)が最も有用な早期肝細胞癌の診断所見でした.早期肝細胞癌の中で,非多血か多血かの鑑別にはEOB enhancement ratioが有用でした(P= 0.012).(沼田)