胆道癌研究 –クラウドファンディングを開始します–
がんゲノム医療の実践を目指して -難治胆道癌に新たな治療選択肢を-
センター病院 がんゲノム診療科・消化器病センター内科では,特定の遺伝子変化を有する胆道癌に対する臨床試験を実施しています.
この度,研究開発のための資金を完遂・発展させる資金として、広く皆様からのクラウドファンディングでのご寄付を募集させていただきます.
本クラウドファンディングは,Ready for社 を通じて実施されます.詳細は,https://readyfor.jp/projects/Cancer-Genome をご覧ください.
何卒,温かいご支援の程,宜しく御願い申し上げます.

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以下は,臨床試験及び,本プロジェクトの概要です.どうぞご一読ください.
がんゲノム検査は、癌の種類ではなく、遺伝子異常に基づいた臓器横断的な薬剤治療(tumor-agnostic治療)の考え方に基づき推進されてきました。つまり、癌の発生臓器が異なっていても、遺伝子異常別に薬剤の有効性を期待出来るのではないか、という考え方です。
「ゲノム」という言葉から「最新で万能」という印象を持たれがちですが、検査結果から実際に薬剤使用に至る症例は、依然として非常に少ない状況です(全癌種では約 9.4%)。これには、遺伝子異常に対応した薬剤のラインナップが少ないことだけでなく、薬剤へのアクセス面も、まだまだ未成熟であることが原因に挙げられます。
日常診療の中で最も悩ましく思われることは、がんゲノム検査で特定された遺伝子異常に対して、他の癌種では保険承認された薬剤が存在するケースです。もし、こうした薬剤が存在したならば、当然、「試してみたい」と思うのは皆同じはないでしょうか。 保険診療というルールの中で、私自身も「適応外の薬剤を目の前の患者さんに使うなんて、漫画のようなことだ」と思ってきましたが、ある患者さんとの出会いを機に、このような葛藤について深く考えるようになりました。
とはいえ、遺伝子異常が同じでも治療効果が必ずしも保証されるわけではありません。言うまでもなく、医療においては科学的根拠を持った薬剤の使用・選択が不可欠です。 私たちはこのようなジレンマを克服するため、速やかに薬剤の有効性を検証できる体制作りが喫緊の課題だと考え、このたび特定臨床研究として、遺伝子変化に対応した薬剤の有効性を検証する2つの第2相試験を独自に立案し、大学主導の下で開始しました。
胆道癌は予後不良の難治癌の一つで,未だ保険承認薬が非常に乏しい状況です。また胆道癌のゲノム異常は多岐にわたり、ゲノム異常に基づいた個別化医療の実践が求められてきました。 今回、私たちは「EGFR増幅」と「PI3K経路亢進」タイプの胆道癌に着目し、他の癌種で保険承認されている薬剤を応用した臨床試験です。本研究により、難治胆道癌への更なる個別化医療の実装を目指します。
胆道癌全体のうち、EGFR増幅型は頻度約2-3%、PI3K亢進型は頻度約7-12%、と見積もられ、極めて少ないフラクションに該当することも検証が進んでいない要因の1つと考えられます。つまり、対象者が少ないために、小さなマーケットとしてみなされている(見過ごされている)可能性があります。 このようなアンメットニーズに対するアプローチは、利益追求を第一の目的としない、大学アカデミアの重要な使命であると考えています。
こうした研究・開発を発展させる資金として、広く皆様からのクラウドファンディングでのご寄付を募集させていただきます。 皆様のご支援を結実させ、胆道癌治療の発展に尽力したい所存です。何卒、温かいご支援の程、宜しく御願い申し上げます。