横浜市立大学 医学部 消化器内科学教室

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当教室のご紹介

消化管グループ

対象疾患

食道癌,胃癌,大腸癌,大腸ポリープ,下咽頭癌,十二指腸癌,粘膜下腫瘍
逆流性食道炎,胃炎,胃潰瘍,十二指腸潰瘍,ヘリコバクター感染症,消化管出血
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎,クローン病,腸管ベーチェット病)等

・早期消化管癌に対する内視鏡治療技術の向上と普及

近年の内視鏡技術の進歩により、早期胃癌をはじめとした早期消化管癌に対するEMR(内視鏡的粘膜除去術)、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)が普及しておりますが、横浜市立大学附属市民総合医療センターは県内で先駆けてESDを導入し、現在では年間で食道ESD 92件、胃ESD 264件、大腸ESD 260件、十二指腸ESD 32件(2023年集計)と全国の数ある施設の中でもトップクラスの実績となっております。中でも、抗血栓薬服用者などのハイリスク症例や、技術的に難しいとされる治療後遺残再発病変、また、潰瘍性大腸炎に併発した大腸腫瘍に対しても当院IBDセンターと討議し適応可能な症例に対してESDを行い、さらなる診断や技術の確立を目指しています。また,消化器外科と合同でGIST(消化管間葉系腫瘍)に対するLECS(腹腔鏡・内視鏡合同手術)・EFTR(内視鏡的全層切除)や耳鼻咽喉科と合同で表在性咽頭癌に対するESDなど,他科とも連携をし、内視鏡治療を行っております。 何よりも安全を第一に、患者さまにとって病気の根治性を損ねることなく低侵襲なより良い治療を提供できるよう心がけております。同センターを内視鏡治療の教育施設として、これまで多くの内視鏡治療医を協力病院へと輩出しております。協力病院がそれぞれの地域での内視鏡治療の基幹病院となるよう、グループ一丸となって内視鏡治療を推進しております。

 

・より良い内視鏡検査の実現を求めて

早期消化管癌に対するESDが普及してきている現在、いかに癌を早期に発見することが課題となっております。最近では、NBI(narrow band imaging), BLI(blue laser imaging)などの狭帯域光観察による診断技術も普及し、消化管癌の検出率の向上が言われております。しかし、その観察には正常と異常を見分ける診断力が必要です。そのため、カンファレンスを行い、拡大観察における診断力の向上や、早期癌の発見のための観察トレーニングを日々徹底しております。さらに、内視鏡所見だけでなく、病理所見や遺伝子変異情報を網羅的に検討する取り組みを行っております。
癌の早期発見と消化管全域のトータルケアを目標に、内視鏡検査のさらなる向上を目指しています。

・ヘリコバクター・ピロリ菌除菌外来

胃癌の発生にヘリコバクター・ピロリ菌感染が強く関与し,その除菌によって胃癌発症の抑制を見込めることから, 2013年に除菌治療の適応が拡大されました.しかしながら,未だ中高年以上を中心に未除菌者は数多く存在するのが現状です.当教室では,ピロリ菌の撲滅と,より良い除菌法の確立を目指して大規模な除菌studyを推進しています.特に,抗生剤耐性のあるピロリ菌感染であった為に一次除菌が不成功となった方、抗生剤に対するアレルギーのために抗生剤の内服が困難な方に対する除菌治療にも専門的に取り組んでいます.なお上述のように,除菌後も胃発癌の可能性に十分に注意し,定期的な内視鏡検査の継続によるアフターケアを徹底しています.
また基礎研究面においても,かつてからピロリ菌感染による発癌機序の解明に取り組んで来ました.当教室は,臨床研究と基礎研究の双方からヘリコバクター・ピロリ菌と戦い続けます.