遠藤 和樹先生(大学院生)の論文が掲載されました.
EUS-HGSにおいては,ステントの腹腔内逸脱が致命的な合併症として知られています.ステント留置時には問題がないように見えても,ステントのShorteningや胃の収縮・可動性の影響により,後日に逸脱を来すことがあります.
今回,EUS-HGSにて金属ステントを留置した翌日に,ステントが腹腔内に逸脱しかけた症例を経験しました.これに対して,まずガイドワイヤーを用いてステントを串刺しにし,Anchoringした上で,追加の金属ステントを留置することで逸脱を防止したのでご報告いたします.
この手技は,現在南部病院にご勤務の杉森一哉先生が発案された方法であり,実際の処置中にもステントが胃壁内に迷入・逸脱しかけた際に,Anchoring wireが逸脱を防止する役割を果たしました.非常に簡便かつ有用な方法であり,同様の事態が発生した際にはぜひ活用していただければ幸いです.
EUS-HGSにおける安全性には依然として課題が多く,トラブルシューティングに関する報告も限られているのが現状です.本報告が,より安全な手技の確立に寄与することを願っております.
なお,本報告は過去に他誌でrejectされ,約3年間埋もれていた原稿を再編集のうえ再投稿し,このたびacceptに至ったものです.
センター病院肝胆膵グループでは,三輪先生を中心としたご指導のもと,Video投稿の技術が向上しつつあり,最近では同期からも適切なフィードバックを受けることで,互いに高め合う環境が整いつつあると感じております.今後もVideo投稿に限らず,横浜から積極的に情報を発信していけるよう努めてまいります.
最後に,本報告に際しご指導いただきました三輪先生,杉森先生,前田教授,ならびにセンター病院の先生方に心より感謝申し上げます.(遠藤)