横浜市立大学 医学部 消化器内科学教室

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池田良輔先生(附属病院)の論文が掲載されました.

池田良輔先生(附属病院)の論文が掲載されました.

Usefulness of bilateral traction method for endoscopic submucosal dissection of superficial pharyngeal cancer.Endoscopy. 2025 Dec;57(S 01):E784-E785.

下咽頭ESDにおいて新しい牽引法で治療した症例を報告致しました.

以前,直腸病変に対する牽引法として,左右2方向に自由に調節できる牽引法(Bi-lateral traction(BLT) method)を考案し,報告致しました(Bilateral traction method using a clip with thread for rectal endoscopic submucosal dissection.Endoscopy. 2024 Dec;56(S 01):E1131-E1132.)が,今回はBLTmethodを下咽頭ESDにおいて活用し,治療致しました.

前回も述べた通り,ESDの成功の1番の秘訣は“Traction(牽引)”です.

BLTmethodは,2重の糸付きclipによる牽引で,外科手術の助手のようにその場に合った視野出しが左右2方向に自由に調節できる牽引法であり,視野確保が難しい病変には有用なテクニックです,特に下咽頭は披裂や声帯などの複雑な解剖学的構造や,挿管tubeなどとの干渉で,スコープの操作性,視野の確保が難しい部位であり,今回,BLTmethodを用いる事で病変と挿管tubeとの距離を作り,スコープ挿入する空間を確保できた事でスムーズに治療が行う事ができ,video articleに投稿致しました,この手法は通常の糸付きclipとほとんど変わらない方法で,糸を2重にするだけで通常の糸付き牽引も可能であり,必要に応じて糸を別々の方向に牽引する事でBLTmethodとして利用する事もできます.特に難しい作成方法でもなく簡易なdeviceで作る事ができますので,一度お試し頂けましたら幸いです.

最後にいつも投稿にあたりご指導頂いております前田教授に深謝申し上げます.(池田)