三枝正路先生(秦野赤十字)の論文が掲載されました.
今回,本年3月まで赴任しておりました藤沢市民病院での症例で,急性出血性胃潰瘍による緊急上部消化管出血の一例を経験しましたので報告いたします.
患者さんは吐血を主訴に来院され,夜間の緊急内視鏡検査で胃潰瘍からの噴出性出血を確認しました. まず止血鉗子を用いた焼灼止血を試みましたが,完全な止血が得られず,さらに出血点の同定も困難な状況でした.
そこでPurastat®を散布したところ,ゲル状の止血材が出血部位に付着することで出血点が明瞭になり,うまくカプセライズされることで出血の勢いが比較的強い状況でも止血を得ることができました. Purastat®は使用方法が比較的容易で,病変部位への負担が少なく,既存の止血法で難渋する場面において有効な補助手段となり得ることを実感しました.
本症例から,従来の焼灼止血やクリップ止血で止血困難なケースにおいて,Purastat®が有効なレスキューとなる可能性を強く感じています. 特に夜間や休日の緊急内視鏡は,若手医師にとって精神的・技術的な負担が大きく,安全かつ迅速に完結できる治療オプションを持つことは,患者さんの救命のみならず医療チーム全体の安心感にもつながります. 当院(秦野赤十字病院)では今年度よりPurastat®を導入し,出血部位や状況に応じて積極的に活用しています.
最後に,本症例の報告にあたりご指導・ご支援を賜った藤沢市民病院消化器内科の福地剛英先生,近藤新平先生をはじめ,多くの先生方に心より感謝申し上げます. また,日頃より温かく見守ってくださる岩瀬滋部長,前田愼教授,そして藤沢市民病院のスタッフの皆様にも深く御礼申し上げます. (三枝)

