三輪治生先生(センター講師)の症例報告が掲載されました.
悪性輸入脚閉塞症は,がん患者さんのQOL低下を招く症状のひとつであり,進行度などから外科的治療が選択しにくい病態です.今回,バルーン内視鏡による治療が困難であった悪性輸入脚閉塞症に対して,EUS-HGSルートから金属ステント留置を行った症例をEndoscopy誌に報告いたしました.胃内から狭窄部まで肝内胆管と挙上空腸の長い経路を通ってガイドワイヤー,ステントを挿入する必要がありましたが,新型の細径胆道鏡や生検用ガイドシースを使用することにより安全に処置を完遂することができました.まとまった治療報告の少ない病態であり,本報告ががん患者さんの症状緩和の一助となることを願います.
なお,本症例は第118回日本消化器内視鏡学会関東支部例会Kanto-Cupにて大石梨津子先生が発表し最優秀賞を受賞しました.論文報告のモチベーションを高めてくれた大石先生,投稿にあたりご支援いただきました前田教授,沼田部長,およびセンター病院の皆様に深謝申し上げます.(三輪)