Basic Reserch
次世代の救急医療を担う人財の育成を
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心筋炎グループ
未だ原因のわかっていない自己免疫性心筋炎・心筋症の原因解明・治療メカニズムについての免疫学的アプローチを用いて研究しております。 -
ARDSグループ
全身炎症性反応症候群(SIRS)に伴う呼吸窮迫症候群(ARDS)は救急領域では頻繁に遭遇する疾患であるが、その治療法は確立されていない。そのARDSの発症機序と革命的な治療法について分子薬理学的アプローチで研究しています。 -
03
敗血症グループ
様々な病原体により引き起こされる敗血症の全身臓器障害に関するメカニズムについて臨床・免疫学的アプローチを用いて研究を行なっています。 -
04
COVID-19
2019年末より世界中に広がり猛威をふるっている未知のウイルスSARS-CoC-2感染症(COVID-19)に関する臨床・血清学的・免疫学的・薬理学的見地からCOVID-19に対する特徴・検査法・治療法を研究しています。
Congress (学術活動)
2018年11月19日から21日まで開催された第46回救急医学会総会学術集会では当教室から座長9演題、シンポジウム1演題、パネルディスカッション7演題、口演14演題、セミナー・講習会5演題、ポスター発表13演題発表されました。今回当教室としては初めて学生セッションでの発表がありました。医学部4年の宮田くんが『実験的心筋炎モデルの作成とその解析』と題して、学生セッションで口演発表しました。
この研究テーマは、西井講師の指導のもと、クリニカルリサーチクラークシップ(参照)で行った研究の成果です。当教室は今年度より西井講師の指導のもと基礎研究を立ち上げました。その際にリサーチクリニカルシップで当教室に来た宮田くんなどの医学生が大きな貢献をしていただき、今回の研究成果に繋がりました。
学会直前にCBTがあり多忙な中、予演会を重ね発表を迎えました。当日は、非常に素晴らしいプレゼンテーションでした。発表会場にいらっしゃた学会会長、複数の大学の先生方から高い評価をいただきました。
当教室としては、教室員のみならず当教室のMISSIONに賛同してくれる医学部生にも積極的に関与していただきながら引き続き基礎研究を推進してまいります。
2019年7月5日、6日の両日三重県津市で開催されました第34回日本SHOCK学会(会長:三重大学分子病態学島岡要教授)におきまして当教室附属病院所属の酒井和也医師が「敗血症モデルにおけるコクサッキーアデノウイルス受容体と臓器障害の関連について」という演題で会長賞候補演題として発表いたしました。
この日本SHOCK学会は臨床系(救急科・集中治療科・小児科・麻酔科など)・基礎系(分子生物学・薬理学等)それぞれの先生が約150人参加し、SHOCKの病態等につき発表・討論される学会であります。今回は当教室基礎研究部門の成果の発表を含め参加・発表をいたしました。
酒井和也先生は千里救命センターに国内留学され、2018年4月に附属病院に赴任されました。昨年秋より敗血症モデルの確立・病態の解明をテーマに掲げ、基礎研究を開始いたしました。基礎研究を0から開始することおよび臨床との両立を忙しい中で行い、非常に興味深い研究結果を出し、今回の発表に至った次第です。先生にとって基礎研究が中心の発表の場であり、今までの臨床中心の発表の場とは空気も異なるような中での発表。前発表者である基礎研究の専門家の方々の発表および座長・会場からの厳しい質問が飛ぶ中で、非常に緊張していたであろう思います。
実際に始まってみると堂々と見事に自分の成果および考察に関して発表しておりました。会場からの質問にも堂々と答え、また座長・会場からのアドバイスも多数いただき、非常に酒井和也先生にとっていい経験であったのではないかと思います。残念ながら会長賞は逃しましたが、座長・会場からは新規性のある研究ということで多数の方々から興味を持っていただけたと確信しております。今回いただいた質問・アドバイスを元にさらなる敗血症による臓器障害についての構想が広がりました。
この学会では、日本救急医学会の単位となります救急科領域講習会「ECMOの基礎から応用まで:ARDSの治療戦略」という演題で三重大学救急災害医学今井寛先生がご講演され、さらに「体温とDIC(血液凝固線溶障害)」や「粘液免疫」などの特別講演、DIC・ARDSに関する最新の研究についての演題を拝聴することができ、非常に有意義な時間を過ごしました。
当学会ではさらにたくさんの出会いがありました。やはり全国の救急医学教室を見てみても基礎研究に力を入れている教室はまだ少なく、SHOCK学会にような学会に出席されている先生方はみなさん積極的に知り合いになり、互いの状況についての話なども行いました。今後各大学救急医学教室と連絡を取り、また共同研究等も進めていければと考えております。
今回の学会には、2019年4月から医学部リサーチクラークシップで当基礎研究に配属されている医学部4年生を同行させ、学会に参加し、学会とはどのようなものなのか、他大学の同じ医学生が堂々と発表している姿、酒井和也先生の発表を拝聴し、非常に有意義な時間を過ごし、また他大学の医学生と交流ができました。
今後も基礎研究グループでは基礎研究に関する国内外の関連学会・研究会発表を随時行い、精進およびアピールをして行きたいと思います。基礎研究に興味をお持ちの方もぜひこういう学会に一緒に参加しましょう。
Social Contribution (社会的貢献)
AMED研究事業採択 2020.5月
-「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(2次公募)」-
2019年11月より世界中に広まり、多数の感染者・死者を出した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。まだそのウイルスとしての特性・特徴が不明な点が多く、さらなる研究が世界中で求められている。さらにCOVID-19の予防・診断・治療も日進月歩に進んでいます。
当教室は日本でCOVID-19が報告された当初から診療に携わり、病院前活動および臨床部門では関連施設も含み、厳密な集中治療管理を行い、多くの命を救ってきたとともに、患者検体を用いた基礎研究を同大学内の各部署(微生物学・免疫学等)と協力し、日々研究を続けてきました。
今回、さらなるCOVID-19研究の追求のため、日本医療研究開発機構(AMED)の「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」を救急医学教室が研究責任者となり申請し、学内選考通過(学内1件のみ)し、一次選考・二次選考を無事通過し、正式採用となりました。
文科省による科研費はもとより、今回のAMEDからの研究費を獲得できることは教室にとって極めて栄誉なことであり、基礎研究を立ち上げ、たった2年強で獲得できたことは。非常に素晴らしいことと思います。
基礎研究グループリーダー西井基継講師を先頭に、他の基礎研究室・企業とのタイアップも含め、今後もCOVID-19をはじめとし、多くの疾患・病態の基礎研究からの様々なアプローチで、多くの病態解明に努めていきたいと思います。
引き続き横浜市大救急医学教室として基礎・臨床の両方で活発な活動を続けていきたいと思います
AMED研究事業採択 2021.2月
-「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(4次公募)」-
2020年1月日本に上陸し、国内をはじめ世界中で多数の感染者・死者を出した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。約1年の歳月が経とうとしており、その研究開発は早急に進んでおりますが、まだそのウイルスとしての特性・特徴が不明な点が多く、治療薬や重症化を示唆する因子などcriticalなものがまだ不明な点が多く、さらなる研究が世界中で求められています。
当教室は日本でCOVID-19が報告された当初から診療に携わり、病院前活動および臨床部門では関連施設も含み、厳密な集中治療管理を行い、多くの命を救ってきたとともに、患者検体を用いた基礎研究を同大学内の各部署(微生物学・免疫学等)と協力し、日々研究を続けてきました。
2020年5月 COVID-19研究の追求のため、日本医療研究開発機構(AMED)の「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(2次公募)」で当教室が研究責任者となり正式採用となりました。(詳細はこちら)
その獲得に引き続き、新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業4次公募において、我々が1年間研究をしてきた成果をもとに「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬開発のための実用的な予後予測・治療スコアの開発と社会実装」という課題のもと、医療法人沖縄徳洲会湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(東京都港区)、東レ株式会社(東京都中央区)との産学連携することで採択されました。
・AMED採択情報(4次公募) |
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今回採択された研究課題は、先の研究で得られた知見を社会に還元するため、本学学術院医学群 臨床統計学の山本紘司准教授や、湘南鎌倉総合病院、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社、東レ株式会社と共同で、
①臨床情報、予後予測のバイオマーカーを組み込んだ、予後予測・治療スコアリングシステムの開発
②スコアリングシステムを用いた、実用的かつ”目に見える”定量的アプリケーションの開発と有用性の検証
を行います。本事業によって、予後予測・治療スコアを組み込んだアプリケーションシステムの社会実装が実現すれば、医療資源の適切な分配に大きく寄与することが期待されます。
現在、国内感染拡大の第3波でCOVID-19の患者さんが急増し、まさに限られた医療資源が枯渇しかねない状況にあります。本事業を通じて、科学的根拠に基づいた患者さんの”層別化”を行うためのツールを開発し、医療崩壊を防ぐために、社会への実装化を早急に進めることを目指します。
・プレスリリース
横浜市立大学HPはこちら |
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ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社HPはこちら |
文科省による科研費の獲得はもとより、今回の再度AMEDからの研究費を獲得できることは教室にとって極めて栄誉なことであり、基礎研究を立ち上げ、たった2年強で獲得できたことは。非常に素晴らしいことと思います。
基礎研究グループリーダー西井基継講師を先頭に、他の基礎研究室・企業とのタイアップも含め、今後もCOVID-19をはじめとし、多くの疾患・病態の基礎研究からの様々なアプローチで、多くの病態解明に努めていきたいと思います。
引き続き横浜市大救急医学教室として基礎・臨床の両方で活発な活動を続けていきたいと思います
AMED研究事業報告会
-「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」に関する成果報告会-
2019年11月より世界中に広まり、1年半あまり経過した現在も猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する研究が日進月歩で進んでいる中、当教室で昨年5月に採択された日本医療研究開発機構(AMED)の「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」の成果を発表いたします。
2021年6月2日、3日の両日でAMED主催「新型コロナウイルス感染症対策関連研究開発事業の成果報告会」が開催されます(両日9:45~17:45)。
当発表会において、当教室基礎研究リーダーであります西井基継講師が登壇され、今回の研究成果から導き出されたCOVID-19の重症化予後予測因子と現在進行中の研究事業の進捗を成果報告を発表いたします。
当初は事前申込み制の視聴でしたが、数千人規模の申込みがあったとのことで急遽youtubeでライブ配信されることになりました。
配信サイト:https://www.youtube.com/watch?v=FbksANjyap4
当教室の発表以外にも、日本で現在進行中でありますCOVID-19に関わる最先端の研究成果が発表されます。ご興味のある方は是非ご覧ください。
文科省による科研費はもとより、今回のAMEDからの研究費を獲得できることは教室にとって非常に栄誉なことであり、現在この研究で得られた成果を元に社会実装を行い、早急に日本国民のみならず世界に貢献できるような「モノ作り」を行なっております。
基礎研究グループリーダー西井基継講師を先頭に、他の基礎研究室・企業とのタイアップも含め、今後もCOVID-19をはじめとし、多くの疾患・病態の基礎研究からの様々なアプローチで、多くの病態解明に努めていきたいと思います。
引き続き横浜市大救急医学教室として基礎・臨床の両方で活発な活動を続けていきたいと思います。
医学生リサーチクラークシップ報告2021
横浜市立大学医学部6年生髙熊朗君が優秀な成績を納めました。
横浜市立大学医学部では、4年生の4月から7月の3ヶ月間、各研究室に配属され、その研究室で行われている研究テーマを中心に基礎研究・臨床研究を学びます。
リサーチクラークシップ(通称:リサクラ)を毎年行っておりますが、当教室でも心筋症・敗血症・新型コロナウイルス感染症を中心にリサクラ学生と一緒に研究を行っております。
その中で、2019年に当教室のリサクラに参加してもらい、リサクラ後も研究を続けてくれた髙熊朗くんが非常に優秀な成績を納められました。
彼は、リサクラ終了後も時間を見つけて研究室に通い続け、5年生・6年生の病棟実習が忙しい合間を縫って、時には夜遅くまで・朝早くから、休日も返上して一生懸命自身の研究を完遂しました。
本人からその報告をしていただきます。
横浜市立大学医学部医学科6年の髙熊朗と申します。
この度4年次より続けておりました研究が、国際学会(ヨーロッパ心臓学会2021)にて口頭発表、国際学術雑誌(Scientific Reports, Prostaglandin-E2 Receptor-4 Stimulant Rescues Cardiac Malfunction during Myocarditis and Protects the Heart from Adverse Ventricular Remodeling after Myocarditis)にて論文採択と形になりましたので、誠に僭越ながら書き記させて頂きます。
<研究を始めたきっかけ>
将来自分は臨床医になる、研究に携わるのは一部の人間だ、と漠然と考えていました。そんな中4年次のリサーチクラークシップ(本大学カリキュラムの一環で、基礎または臨床の教室に3ヶ月間配属される)の時期がやってきて、教室を選ぶ必要がありました。
将来基礎研究をやるつもりが無いなら、人生に一度くらいは経験しておこうと思い、臨床の先生と繋がりの持つことができ、かつ基礎研究をイチから教えてもらえる救急医学教室に飛び込みました。
<基礎研究の苦労と魅力>
どんな時もひとつひとつのデータを丁寧に収集することの重要性を学びました。日々の講義や病棟実習、バレーボール部での活動をこなしながらでしたので、早朝や深夜に実験を行うこともありました。どんなに疲労していても、手を抜けない心労は非常に大きかったです。
そうして念入りに集めたデータは嘘をつかず、仮説と食い違うことは日常茶飯事でした。そのたびにディスカッションし、新たな仮説を立てて検証の繰り返し。基礎研究においてひとつを証明することへのハードルは非常に高く、多くの実験データの積み重ねなのだと身に沁みました。
しかしデータが蓄積していく中で、矛盾しない1つの理論が導き出されたときの喜びは計り知れず、いつのまにかのめり込んでいました。
<国際学会発表と学術雑誌論文投稿>
実験を送る日々、突然ボスから国際学会発表と学術雑誌投稿の話を告げられたときは、きっと何かの冗談だろうと思いました。しかし、実際に抄録が採択されたり、論文執筆に向け動き出したりするにつれ、本当にやるんだと意気込んだことを覚えています。
元々英語が特段得意なわけではなかったので、何度も音読練習を積み重ね、英語での口頭発表に臨みました。残念ながらオンラインだったため会場の雰囲気は味わえませんでしたが、全世界の人々からリアルタイムで寄せられる質疑への対応は、今後の私の人生に大きな影響を与えたように思います。
また、今までに論文執筆の経験など当然ありませんので、関連する分野の論文を読むことから始まりました。その後、論文の構成を教わった上で理論の道筋を立てて…とひとつひとつステップアップしていきました。先生と共に論文を作り上げていく中で、膨大なデータを正確に記述する重みを実感しました。
<救急医学教室の暖かさ>
学生ながらこのような成果を出すことが出来たのは、救急医学教室の先生方の熱心な教育・支援の賜物だと心から思います。
私のモチベーションをうまく維持しながら全力でサポートして下さった西井先生、実験を一緒になって取り組んで下さった佐治先生・酒井先生・松村先生ら大学院生、臨床で忙しい中気にかけて下さった小川先生、竹内教授をはじめとする救急医学教室の先生に感謝の意を表します。3年間本当にありがとうございました。
髙熊君の素晴らしい報告に我々も日々感化されております。
当教室では、当大学の医学生のリサーチクラークシップでも国際学会発表・国際論文発表を視野に入れ、レベルの高い研究をし、世界に配信できるような研究指導を行っていきます。
リサーチクラークシップ以外でも当教室での研究・臨床に少しでもご興味のある医学生・研修医の先生方は気軽にご連絡いただければご相談に乗らせていただきます。
2021年度横浜市立大学医学部長賞銀賞受賞
横浜市立大学医学部6年生髙熊朗君が大変名誉な賞を受賞しました
横浜市立大学医学部では、6年間の医学部生活で学術的に優秀な成績を納めた学生を「医学部長賞」として表彰しています。この医学部長賞は非常に名誉ある稀少な賞であり、かなり優秀な成績を納めないと受賞することができません。
しかし、2021年度横浜市立大学医学部長賞銀賞に、2019年に当教室のリサクラに参加してもらい、リサクラ後も研究を続けてくれた髙熊朗くんが選ばれました。
彼のリサクラでの頑張り等は以前にも報告致しましたが、医学部在学中に有名科学雑誌Scientific Report(impact factor 4.379)に掲載されるような研究成果を残されました。本当に素晴らしいことです。おめでとうございます。
我々の基礎研究室は始動してから3年、まだ若い研究室ですが、解明すべき研究課題を持って一歩一歩成果を挙げ、医学の発展に寄与していきたいと思います。
学生さんを含め基礎研究に興味のある方は気軽にご連絡ください。