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Acute Medicine & Surgery (2022.3.4) 島田医師

当教室専攻医の島田航輔先生のOriginal Articleが、
英文誌:Acute Medicine & Surgery
論文名:Hospital transfer for patients with postpartum hemorrhage in Yokohama, Japan: a single-center descriptive study.
に受理されました。 
 
専攻医3年目の島田 航輔と申します。
この度、日本救急医学会が刊行するAcute Medicine & Surgeryに論文掲載されましたので報告させていただきます。

日本は世界的にも安全に出産が出来る国ですが、それでも年に30人程度の妊産婦の死亡があります。
妊産婦死亡の最大の原因は、出産後の大量出血で死亡の18%を占めます。
出産後の大量出血の治療には大量輸血、呼吸循環の管理、緊急IVRや緊急手術といった高度救命救急センターでの治療を要し、外傷に近い治療戦略となります。そのため外傷同様に早急に止血を行うことが目標となり、産院や総合病院で産後大量出血を来たした場合、高次医療機関への迅速な搬送が必要となります。

しかし、今まで産後大量出血症例の高次医療機関への転院搬送についての研究は国内ではなく、本論文では高度救命救急センターであり総合周産期母子医療センターである横浜市立大学附属市民総合医療センターに転院搬送された出産後の大量出血の症例を検討しました。
当院には産院や総合病院から出産後の大量出血のため、4年間で101件の搬送があり、転院依頼から当院到着まで53分で搬送されていました。都市部で交通網が発達していることに加え、地域の医院と当院の連携体制により、早急な搬送が出来ていたと考えられます。
一方で搬送途中や病着直後の心肺停止例もあり、より迅速な搬送を目指す必要性が示唆されました。


本論文の執筆にあたっては、竹内教授に研究の機会とご指導をいただき、医局の上級医である谷口先生、統計の専門家である安部先生に直接ご指導いただきました。また周産期母子医療センターの先生方にも研究に多大な協力を頂いております。
このように上級医の十分なサポートを受けられ、科をまたいだ研究も行えることが医局の強みと実感した次第です。

私個人としては、専攻医の間に英語論文を1本書くという目標をなんとか達成できました。執筆の道中は辛いものでしたが、その分acceptの喜びはひとしおでした。
これを第一歩として今後も研鑽を積んでまいります。

 
 
 
  
 
 
 
 

 

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Case Report in Acute Medicine (2018.9.11) 南医師

 この度、当教室の関連施設である横須賀共済病院救命救急センターで専門医研修中の南さくら先生が執筆した『Peripartum Cardiomiopathy with Respiratory Failure and Cardiac Arrest』が英語論雑誌であるCase Report in Acute Medicineに受理されました。
 産褥心筋症で心肺停止になり、蘇生後の重症呼吸不全に対してVV-ECMOを導入し救命できた症例の報告です。
 専門研修で多忙の中、貴重な症例を報告するべく合間をぬって執筆活動されました。

 
 
 
  
 
 
 
 

 

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Case Report in Acute Medicine(2019.6.25) 渡邉医師

 横浜市立市民病院救急専攻医の渡邉活です。
 昨年より教室員の皆様にご指導いただき作成させていただきました論文がCare Report in Acute Medicineにアクセプトされ、ジャーナルに掲載されましたので報告させていただきます。
 Watanabe C,et al. Erroneously Analyzed F-Wave of Bradycardic Atrial Fibrillation as Ventricular Fibrillation for a Cardiac Arrest Patient. Case Rep Acute Med 2019;2:25–30.
 
  この論文の趣旨は、院外心肺停止でセンター病院に救急搬送された男性の症例報告です。来院当初、バイク走行中に停止中の自動車に衝突したこと、救急車内でのAED適応波形への除細動を施行したというエピソードから、内因性心肺停止を疑って蘇生の原因検索を行いました。しかし、救急車内でのAEDの心電図波形を解析したところ、高位頸髄損傷に伴う神経原性ショックと低酸素によると思われる徐脈性心房細動を検出しました。このf波をfine VFと誤認し、AEDが不適切作動したことが判明しました。この症例の経験から、心房細動のf波がfine VFと誤認されることを知り、医療者は必要に応じてマニュアルモードへの切り替えを考慮すべきだと考えました。
 
  今回初めて英語論文の起案、データ集め、本文作成、Reviseへの回答を経験し、専 攻医初年度より英語論文を書くという作業は、普段の診察への理解や知識を広げること、今後の医師人生に大変プラスな経験となりました。今後も更なる飛躍のため原著論文の作成を含め精進していく所存であります。論文作成に際し、アドバイスを頂いた諸先生方には深謝いたします。

 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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日本救急医学会関東地方会雑誌(2020.4.26) 道下医師

当教室員であります現独立行政法人国立病院機構横浜医療センター救急科の道下貴弘先生の論文が、
雑誌:日本救急医学会関東地方会雑誌 2020 年 41 巻 2 号 p. 329-332
論文名: 健康食品の青汁を摂取し, 高カリウム血症にて搬送された1例
として掲載されましたので報告させていただきます。
この論文は、2019年の日本救急医学会関東地方会で発表させて頂いた「健康食品摂取に伴う高K血症の一例」を論文化したものです。
道下先生ご本人からの今回の報告です。
 
  今回がfirst authorとしての初めての論文になります。
 CKDの既往がある方が、青汁の大量摂取によって高K血症を来した症例です。徐脈ショックで来院したため、tPM挿入し、血ガス上K8点台の高K血症を認め緊急でHD施行。HD2回にて症状安定し退院となりました。来院後高K血症の原因検索のために食事歴を確認すると、来院2週間前より通常量の3倍で青汁を摂取していたことがわかり、青汁の大量摂取による高K血症の診断となりました。
 過去の論文でも腎機能が悪い患者においてトマトジュースやタルタルソースで高K血症の報告はありましたが、青汁での症例報告はありませんでしたので今回論文化しました。
 今回の症例では患者本人は青汁にKが多く含まれていることを知らず、大量に摂取していたため、腎機能障害を有する患者には食事指導等が大切であると感じました。
 また青汁の注意事項にも「腎機能障害を有する患者は服用に注意」等の文章が追加されるべきであると考えます。Kが多く含まれる食品としては野菜ジュースなどがあり、これらの食品にも注意が必要であると感じました。
 
 今回は、初めての論文だったので論文の体裁を整えるのに苦労しました。
この点については上級医であります大井先生に細かく指導頂きました。
またAbstractを英語で書く必要があったので初めて翻訳会社を利用しました。
使い方やどの会社が良いのか等も全く知識がなかったので大井先生から指示を頂きました。作成→大井先生の修正→投稿→査読→アクセプトの一般的な流れだったと思いますが、初めての投稿だったのでどういう査読が来るのか不安でした。
 関東地方会雑誌は学会発表すれば、雑誌の方から論文化しませんかと手紙を送ってくれるのでアクセプトされやすく、最初の論文投稿には適していると思います。論文作成というと面倒くさそうで、尻込みしてしまうと思いますが、当医局には指導して下さる先生もたくさんいますし、初めの一歩を踏み出すのが大切だと思います。
 次回論文作成する際は症例報告であれば英文誌に投稿を目指します。後方視的な観察研究であれば日本救急医学会雑誌への投稿を目指したいところです。2年に1回程度は論文書いていきたいですね。
 集中治療専門医取得には筆頭著者論文一編を含む論文2編が必要です。
 今後集中治療専門医取得を目指している自分にとっては大きな一歩となりました。

 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 

 

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American Journal of Critical Care(2020.6.16) 谷口医師

横浜市大附属市民総合医療センター高度救急救命センターの谷口隼人先生のOriginal Articleが、
英文誌:American Journal of Critical Care
論文名:Iliopsoas hematoma in patients undergoing veno-venous extracorporeal membrane oxygenation: A single-center cohort study in Japan
に受理されました。 
 
 日本医大ECMOセンター国内留学時に経験したECMO中の腸腰筋血腫についての後方視的研究がAmerican Journal of Critical Careにアクセプトされましたので報告いたします。
 ICUにおける腸腰筋血腫合併は0.3%程度とされ非常に稀ですが、ECMO管理中の腸腰筋血腫を数例経験しました。
 ECMO管理中は、抗凝固薬使用により出血合併症が起きやすく、腸腰筋血腫は増悪するとAbdominal Compartment Syndromeにまで発展し、致死的になることもあるため、その関連因子を後方視的に検討しました。
 症例数が少なく、多変量解析での因子分析はできませんでしたが、AwakeECMOやECMOリハ中の端座位が関連因子として示唆されました。ECMO中は抗凝固療法を行う必要があり、自動的・他動的な動きにより筋肉内出血のリスクが増すのではと考えています。またアジア人は白人に比べ一般的に出血傾向が強いと報告されており、欧米が主のELSOで推奨されている抗凝固の管理目標はアジア人には過剰かもしれないと考察しております。
今後は本研究を国内そして国際的に発展させていく予定です。
 
 当教室では、関連施設・国内留学もプログラムの一つとして、これからも精力的に教室員に対して奨励し、救急医・集中治療医のみならず、それぞれのサブスペシャリティ取得を推奨し、しっかりとした指導ならびにサポートを行っていく所存です。

 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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Toxicon (2020.11.1) 横井医師

当教室員横須賀共済病院救急救命センターの横井英人先生のOriginal Articleが、
英文誌:Toxicon
論文名:Severe hypofibrinogenemia in patients bitten by Gloydius tsushimaensis in Tsushima Island in Nagasaki, Japan, and tretment strategy
に受理されました。 

 

 First authorとして初めてacceptされました。私事で大変恐縮に存じますがご報告させていただきます。
 私が2年間の離島研修時代に経験したツシママムシ(Gloydius tsushimaensis)咬傷に関する多施設共同後方視臨床研究論文です。世界で対馬にしか棲息していないツシママムシは謎が多いヘビです。咬傷はおそらくニホンマムシと同じだろうという推測を前提とし、かつ主治医の経験に基づいた裁量で治療されていました。その中でニホンマムシやほかの他国のマムシ属咬傷ではみられない重症低フィブリノゲン血症を稀に認めました。
 前例のない研究かつ最初は指導者がおりませんでしたので過去10数年間のカルテを洗い出しデータ整理する手探り状態からコツコツと始まりましたが、次第にジャパンスネークセンターや京都大学大学院のヘビ研究者にご協力をいただける様になり、蛇の捕獲や毒の採取、毒の凝固試験など一気に研究らしくなりました。論文作成が本格化すると統計や投稿や査読者に対するresponseなど細かい御作法などを当教室の先生に丁寧に指導していただき、まさに自分の論文に磨きが掛かっていく様でした。
 この論文を通して作成したツシママムシ咬傷治療マニュアルは2019年から対馬島内で統一化され、対馬で働く先生方からもご好評いただいております。
 大変思い出の詰まった論文が世に出ることはこの上ない喜びであり、ご協力いただいた多くの先生方に深謝しております。
 今後、治療マニュアル作成後の有用性を評価するための研究も行う予定ですので引き続き頑張ります。

 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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PLOS ONE (2021.5.10) 南医師

の度、横須賀共済病院で作成した「Neutrophil gelatinase-associated lipocalin as a biomarker for short-term outcomes among trauma patients: a single-center observational study」がPLOS ONEに掲載されましたので報告いたします。
 Neutrophil gelatinase-associated lipocalin (NGAL)は早期腎機能障害を予測するバイオマーカーとしてその有用性が報告されています。
生体への侵襲度を予測するバイオマーカーとして、外傷患者での動向について後方視的に観察研究を行いました。
 結果として来院時、翌日の尿中NGAL上昇がICU期間と相関をみとめており、また尿中NGALとLactate、外傷重症度スコア(ISS)の間には有意差をみとめました。NGALが外傷重症度との関係を示唆していると結論づけました。

 専攻医3年目のときに作成始めた論文で掲載までにかなり時間を要しましたが、根気強くご指導いただいた共著者の先生方に誠に感謝しております。
 また作成にあたりデータ収集などご協力いただいた横須賀共済病院の先生方ありがとうございました。
 今回の論文作成で研究デザインの方法や統計学など、自分の知識の無さを痛感しました。
 反省を活かし今後の臨床研究、論文作成に繋げてまいります。
 今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
 教室員は専門研修で多忙の中、貴重な症例を報告するべく合間をぬって執筆活動に励んでおります。このような学術活動にも教室全体でサポートしております。

 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

第1回横日合同カンファレンスを開催しました。

当教室と日本医大救急医学教室の合同カンファレンスを行いました

2023年6月17日 TKP品川港南口会議室にて当教室と日本医大救急医学教室の合同カンファレンスを開催いたしました。
 
2020年の新型コロナウイルス感染症の蔓延以降、教室内でのカンファレンスや総会もWebで行われていた状況でありましたが、今回コロナウイルスの感染への配慮を十分に行い、徹底した換気の元、同会が開催されました。会には総数50名が参加しました。
 
今回は初回ということで、横浜市大・日本医大のお互いの教室のことを共有しようということで3部構成で行われました。

第一部は、一般演題3題となり、双方での臨床の疑問や治療戦略についてディスカッションを行いました。
横浜市大・谷口先生より、当教室のECMO連携の取り組み
横浜市大・本澤先生より、基礎研究でクリニカルクエスチョンを解く取り組み
日本医大・三宅先生より、敗血症性ショックのVA-ECMO適応に関するディスカッション

 
第2部では、それぞれの教室の沿線と現状での取り組みなどにつき両教室から報告を行いました。
横浜市大・大井先生、日本医大・萩原先生より、各医局の歴史や体制の報告
 

第3部では、日本医大横堀教授座長の元、横浜市大 竹内先生より、後進育成、伝承、医療制度改革をできるところが大学医局の強みについて講演を行いました。
  
このような他教室・他施設との交流は色々な意味で刺激であり、対面で開催することでさらなる交流の大切さを実感いたしました。

日本医科大学救急との連携が深まれば、その強みは“唯一無二”になると実感しました。
またクリニカルクエスチョンや教室運営にも共通した悩みがあることもわかり、互いに相談できる機会をいただけました。大盛会の元、合同カンファレンスは終了いたしました。

合同カンファレンス終了後、懇親会では両教室メンバーでキャリアプランや現状での悩みを含め色々な話ができ、非常に有意義な時間を過ごすことができました。
 
今後もこのような多施設連携をどんどん推奨し、救急医学を神奈川県だけでなく、また、点だけではなく、線で結び、面で活躍するという当教室の理念に基づいた医療体制を構築できればと考えています。
 
今回は、日本医大横堀教授、萩原副医局長、日本医大教室員の皆様に心より御礼申し上げます。