臨床研究実施の心得8か条
<臨床研究実施の心得8か条>
臨床研究の立案・実施には、臨床研究の種類によって該当する規制(GCP、臨床研究法、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針)が異なり、それぞれのルールを遵守する必要があります。次世代臨床研究センターでは、附属2病院より報告された不適合をもとに、臨床研究の適正実施を目的として不適合予防に取り組めるように、各規制を踏まえ臨床研究実施の心得8か条を作成しました。以下に8か条の説明を示します。
1.研究計画書の遵守
- □ 研究責任者・分担者は、臨床研究に関連する規制及び最新の研究計画書を把握のうえ実施する。
- □ 研究責任者は、介入研究を開始する前には、キックオフミーティング等を実施し、研究に関与する者が計画内容を把握できるようする。
- □ 主機関として臨床研究を実施する場合は、参加機関の管理(病院長許可手続きの確認、最新の研究計画書等の使用確認など)を行う。
2.倫理委員会の承認、病院長の許可後に研究開始
- □ 以下に該当する場合は、各規制に対応する倫理委員会へ申請手続きを行い、承認及び病院長(管理者・研究機関の長)の許可(以下、承認・許可)後研究を開始する。
- ●新たに臨床研究を開始する場合
- ●実施中の研究計画書等に変更が必要な場合
- ●他機関の倫理委員会で承認された共同研究機関として参加する場合(新規時・変更時)
- □ 中央一括審査などにより他機関の倫理委員会に諮る場合は、下記の規制に対応する事務局に事前連絡のうえ、他機関に提出する書類や学内で必要な書類を作成する。変更時も同様の手続きが必要。
- ●倫理指針の場合・・・ rinri★yokohama-cu.ac.jp (★を@に変えて送信して下さい)
- ●臨床研究法の場合・・・ ycu_coi★yokohama-cu.ac.jp (★を@に変えて送信して下さい)
- □ 介入研究の場合、研究責任者は、研究概要をその実施に先立って公開データベースに登録/更新する。
- □ 倫理委員会へ申請せず、病院長の許可なしに研究を開始することは、重大な不適合となる。
3.同意を要する研究は、文書同意の取得、原本保管
- □ 患者さんから同意取得する際は、カルテに説明した事実と同意取得の記録を残す。
- □ 患者さんへの説明に使用する説明・同意文書は、承認・許可された最新版であるか確認する。
- ※患者さん等へ使用する資料を事前準備している場合は、最新版へ差し替え旧版は廃棄する。
- □ 同意取得後登録する前には、再度選択基準・除外基準を確認する。
- □ 介入研究は、同意取得→登録→試験治療の順番で実施する。
- □ 取得した同意書及びその他発生する書類(対応表やモニタリング・監査報告書、他機関へ提出する症例報告書の写し、契約関係書類等)は、原本を紛失しないように保管管理する。
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- ※当院では電子カルテへスキャン同意書を原本にすることはできない。
- □ 同意書原本紛失は、同意を取得していないと判断される場合があり、重大な不適合となり得る。
4.同意説明・取得は、研究責任者・研究分担者で
- □ 同意説明及び同意取得は、承認・許可を得た研究責任者・分担者が実施する。
- □ 説明者署名欄は、同意説明及び同意取得を行った研究責任者・分担者が自署する。
- □ 研究協力者による補助説明を行う場合は、同意書に補助説明者欄を設けることができる。
5.個人情報の持ち出しは原則禁止
- □ 患者さんの個人情報には、診療ID、生年月日も含まれる。
研究のために診療データ等を院外に提供する場合は、個人情報を含めたまま院外に持ち出さず、メール等で送信しないように対策を講じる。 - □ 個人情報保護については、個人情報保護法に準じた研究計画書を作成のうえ遵守する。
6.承認された研究期間内に研究実施
- □ 臨床研究は、研究計画書で定められ、承認・許可された研究期間内で実施し終了する。
- ※登録期間が定められている場合は、登録期間内のみ登録可能。
- □ 研究期間の延長を行う場合は、研究責任者は事前に倫理委員会へ変更申請を行う。
- □ 研究期間終了後、研究責任者は倫理委員会へ終了報告書を提出する。
7.改ざんや捏造等不正禁止
- □ 研究データ等の改ざん、捏造、盗用は組織全体の信頼のすべてを失うため決して行わない。
8.研究者は、研究開始前・継続中は、研修受講必須
- □ 臨床研究を取り巻く指針や法などのルールは変化するため、最新のルールに対応する必要がある。臨床研究セミナー等を活用し、常に知識をアップデートしていくことが必要となる。
- □ 本学では、倫理委員会への新規・変更の申請基準に臨床研究セミナーの受講が必須である。
※役割により必須の受講時間が異なる。