主な対象疾患

当病院が診療を行っている下記の疾患について、ご案内いたします。


1.発達症(発達障害)


生来の発達特性が社会生活に支障をきたしている状態を「発達障害」と医療で診断することがあります。その特性が特にお子さんの生活上支障をきたしていないのであれば、それは個性の範疇であり、病院では無理に診断をすることはありません。

病院では、知能検査を実施して得意なこと、苦手なことを明らかにしたうえで、学校や周辺の援助機関への助言、福祉的サービスが受けられるよう診断書を発行することがあります。また、生活上起こってくるイライラ感や気持ちの落ち込みなどがあれば、それに対するお薬や心理療法などの治療も提供します。

以下、代表的な発達障害である知的発達症、自閉症スペクトラム症、注意欠如多動症について簡単に紹介します。

知的発達症(知的障害、精神遅滞)

18歳以前から限られた知的能力のため(知能検査でIQ70未満)、社会適応能力に制限がある状態をさします。約40~50人に一人の割合にみられます。発達の経過、生活の様子からこれを疑う場合、病院では能力検査を実施して評価することができます。IQ70の目安は、例えば小学校1年の子が5歳程度の知能を持っている、小学校4年の子が小学校1年程度の知能を持っている状態です。

自閉症スペクトラム症(広汎性発達障害)

相互的な会話や表情の読み取りなど、社会的なコミュニケーションの力が年齢相応に発達していなこと、興味や関心の対象が限局して、同じことを繰り返したり、好きなものを収拾するようなこだわりを特徴とする発達障害のひとつです。これまで、自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群と様々な呼び名がありましたが、最近は自閉症スペクトラム症に統一して呼ぶようになりました。このような特性は珍しい訳ではなく、一般の学級にも1~2人はこのような特性を持ったお子さんは存在します。

注意欠如多動症(ADHD)

不注意、多動で衝動的といった特徴を生来持ち合わせているお子さんです。例えば、不注意な子は他の子よりもうっかりミスが多く、時間や物の管理が苦手な特徴があります。多動で衝動的な子はじっとしている事が苦手で、我慢することも苦手な特徴があります。これも自閉症スペクトラム症と同様に珍しい状態ではなく、一般の学級に2~3人は存在します。本人の特徴のため、学習や集団生活に支障をきたしていて、本人も自信を失っていることもあります。このような場合、病院で支援が受けられます。本人の持ち味を探したり、学校の先生と連携をとる以外にも、注意欠如多動症の特性に効果があるお薬を処方する場合もあります。

2.統合失調症


幻聴や幻覚、妄想などの不思議な体験をするようになり、感情のコントロール、考えの整理、記憶や集中力や意欲の維持などが難しくなり、生活や対人関係に支障をきたす病状です。誰にも聞こえるはずのない声が命令や指示を繰り返すため思うように生活できなくなったり、身の回りに不可思議なことばかりが起こり周囲を信用できなくなるなど、いろいろと困ったことが起こります。

中学生くらいまでは病状がはっきりせず、統合失調症と診断されることは稀ですが、15歳以降から徐々に診断される例が増えて30歳くらいまでに100人に1人がこの病気に罹ると言われています。病気になった当初はお子さんやご家族は困惑される方たちも多くいらっしゃいますが、根気よく治療とリハビリテーションを続けることで回復していきます。回復のためには心理治療、家族の協力、地域と連携した安心できる居場所作り、対人関係の力や生活の力を養うリハビリが不可欠です。病院では幻覚や病状から生じる不安を和らげる薬も処方されます。治療を継続して再発しないよう回復の過程を積み上げていく事が何よりも大事です。

3.うつ病


一生のうちに5人に1人くらいはうつ病に罹るといわれています。うつ病になると、気分が沈み、何事にもやる気が起きなくなります。誰しもストレスがかかり疲れてくるとそのような状態になりますが、健康であれば少し休む程度で回復します。しかし、うつ病の場合はほとんど一日中憂鬱で意欲がない日が続きます。

お子さんも大人と同様にうつ病に罹りますが、イライラしたり不機嫌になって周囲を困らせたり、学校に行かずにずっとゲームをしていたり、食べ過ぎたり寝すぎたりと、大人のうつ病の状態とは若干異なる様子を見せます。程度が軽ければ、ストレスの無い規則正しい生活と十分な睡眠と食事をとり、信頼できる家族や医師や心理士に悩みをうちあけて、楽な考え方を探っていきましょう。それを続けるうちに多くの人は数か月もすれば元のように回復していきます。場合によっては補助的にお薬を用いる時もあります。

病状が重い場合、先のことを悲観して死ぬ以外に方法はないと思い込んでしまう場合や、ゆっくりと休養をとる家庭環境にない場合、入院して十分な休養をとるように医師がすすめるときもあります。

4.双極性障害(躁うつ病)


躁うつ病とは、エネルギッシュで活動的な躁状態と気持ちが落ち込み、意欲がなくなるうつ状態を交互に繰り返す病気です。精神科医は数か月から数年にわたる経過を評価して診断をします。

お子さんは行事参加や試験勉強、長期休暇などの一年を通した変化があり、はつらつとして活動的な時期や疲れて元気がない時期が誰しも経験するものです。このため、お子さんの高揚した気分や落ち込みが正常範囲のものか、治療が必要な程度なものかを見分けることも数年の経過を観察しながら慎重に行います。季節によって好調な時期と不調な時期が交替するお子さんや、行事や試験などのストレスがかかったときに大きく気持ちが高揚したり、落ち込んだりするお子さんがいます。このようなパターンがある場合、それを本人と家族が確認して先々で不調をきたさぬよう、医師と話し合いながら生活設計をすることが大事です。また、先々の好不調の波を予防する目的で医師がお薬の内服をすすめる場合もあります。

5.不安症(不安障害)


不安は困難な問題や危険なこと、恐ろしいことに人が向き合った場合、通常の人でも感じる感情です。人はある程度不安になって適度な緊張感を感じることがなければ、先々に備え周囲と協力し問題に対処することはできません。人には生まれつき不安を感じやすい人とそうでない人が存在します。その不安を感じやすい人がストレスにさらされて常時緊張した状態でいれば、心は非常に消耗して生活に支障をきたします。不安を強く感じすぎるために生活に支障をきたした状態を不安症といいます。

不安症にはいくつか分類が存在します。例えば、特定の場所や物(雷や地震、動物、高い場所など)に非常に強い恐怖感を感じるものを恐怖症といい、強い不安を感じる場面で胸や喉がぎゅっとつまるような感じがして息が苦しくなり、動悸が止まらず自分がコントロールできなくなるような状態はパニック症といいます。また、母親などの親密な人から片時も離れられなくなるような状態は分離不安症、人前に立つことや人に注目されるような状況で強い不安を感じる状態を社交不安症などと分類しています。

不安症から回復していくためには、自分の不安になりやすい状況を分析しながら不安を克服する方法を一緒に考える方法や、不安をやわらげるお薬を内服する方法があります。またゆったりと息を吸って吐く呼吸法や筋肉のこわばりを緩める筋弛緩法などのリラグゼーションを覚えておくと役に立つでしょう。医師や心理士と話し合った対処法を使って、今まで苦手としていた場面を計画的に乗り越えることができれば自信がつき段々と回復の道がひらけていきます。

6.強迫症(強迫性障害)


不安や心配を感じると心配ごとが頭の中から離れなかったり、心配なことについて慎重に確認をすることは誰にもあることです。しかし、考え続けるにはあまりにも不合理なことが何度も頭に浮かんで来るものを強迫観念、一度すれば普通は十分なはずの確認や手洗いなどの行動を何度も繰り返すのを強迫行為といいます。強迫観念や強迫行為のせいで日常生活に支障をきたすようになった場合に強迫症と診断されます。

強迫症は一生のうちに50人に1人くらいが罹患するといわれ、10代前半から20代前半にかけておこります。生来不安を感じやすく、まじめで責任感が強く、適当なことが許せない性格の人に起こりやすい病状です。回復のためには、これまでこだわっていたことを我慢したときに出てくる不安を克服する方法を医師や心理士と一緒に考えたり、不安を和らげるためのお薬を内服する方法があります。

お子さんの場合、確認や洗浄などの強迫行為に延々と家族をつきあわせて家族の生活が成り立たなくなったり、思い通りにならないと家族と衝突して家族全体の雰囲気が緊張した状態になっていることもあります。家族がお子さんの強迫行為に巻き込まれたままでいると、逆に病状が悪化する場合もありますので、医師とご家族が本人の対応についてよく話し合う必要があります。

7.チック症・トゥレット症候群


軽度のものを含めると約5人に1人くらいはみられます。鼻をすする、目をパチパチさせる、咳ばらいをする、声が出るなど本人が意図しない動きを特徴とします。早ければ幼児期からはじまって、小学校高学年頃をピークにして徐々に目立たなくなってくるのが通常です。

チックの起こりやすさは生来の脳の敏感さに由来しており、決して子育ての仕方に関係するものではありません。成長するにつれて落ち着き、大人になっても症状が残る人はチックのお子さんのうち10人に1人くらいといわれます。

声や音を出すものを音声チック、身体が動くものを運動チックと大別しており、音声と運動両方の症状があるものをトゥレット症候群と呼んでいます。トゥレット症候群と特別な名前がついているからといって、重症なものを指しているわけではありません。症状の緩和にはお薬がある程度有効ですが、お子さんがさして気にしていない場合は、数年のうちに気にならない程度になることも多いのでしばらく経過を見守ることを通常おすすめしています。まわりの大人が細かく注意をしたり、チックの動きを禁止すると、むしろ不安になったり苛立ったり、チック症状が悪くなるときもあるので注意が必要です。

8.摂食障害


神経性やせ症(神経性無食欲症、拒食症)

健康な生活を送るためにはある程度の節制や適度な運動が必要です。近年の美容・健康志向から世の中にはダイエットに関する情報があふれています。しかし、ダイエットなどをきっかけとした体重減少と同時に自分がまだまだ肥っていると感じ、少しでも体重が増えることを極端に恐れるようになる場合があります。

体重が増えることを恐れて、過度な食事制限を続ければ心と身体の健康を同時に損なうことになります。最初はおやつや主食を減らすだけだったのが、おかずまで減らすようになり、水まで飲まなくなるお子さんもいます。このような状態を神経性やせ症といいます。10代前半より徐々に増え、児童精神科の入院患者さんの中では一番多い疾患です。また食事だけでなく、睡眠時間を削って勉強や運動に打ち込むようになります。痩せが目立たないうちは、見かけは元気で成績もあがるため、まわりの大人も気づかずにいるかもしれません。しかし、この一見元気で活動的な状態は身体が飢餓状態になって、本能的に栄養を求めて神経が高ぶっているだけなのです。決して良い時間は長くは続きません。身体には力が入らなくなり、皮膚や骨も衰えて生理も止まり、脳にも栄養が行かなくなって心の症状があらわれます。友達や家族と過ごしても楽しく過ごせなくなったり、不安になって些細なことに苛立って、家族と衝突しては後悔することも増えてしまいます。

この状態から回復するためには、以前健康だったときに食べられていた食事内容に戻していくしか方法はありません。しかし、回復後の自分が食べ過ぎてしまうのではないかとか、元の体重以上に戻るのではないか、などという不安をお子さんが医師や心理士と話し合いながら回復することへのためらいを乗り越えていく必要があります。またダイエットをはじめる前の自信のない自分には戻りたくない、体重を戻した後の周囲の友達の評価が気になるなど、回復を阻む不安は様々です。こういった不安をひとつひとつ解決していくことがとても重要です。

基本的にはこのように話し合いながら、目標の体重と食事量を設定して、不安を乗り越えながら健康な食生活に戻す作業を外来で行います。しかし、命にかかわるほどの極端なやせの状態が続く場合は入院治療をおすすめすることがあります。

神経性過食症(過食症)

神経性過食症は神経性やせ症よりもやや年齢の高い子どもたちの相談が多いですが、基本的には皆、神経性やせ症と同じように体型の維持に不安を抱いています。食事をしてもそれを嘔吐したり、下剤を使うことで体型を維持しようとするのが特徴です。一回の食事量も非常に多く、パンを何個も食べたり、何杯もごはんをおかわりする場合もあります。嘔吐したり下剤を使ってもある程度の栄養は吸収されているため、急激な身体の変化がくることはありませんが、身体にとって必要な栄養素やミネラルは失われて健康な状態は保てなくなります。また、そのような食生活のパターンに罪悪感を感じて苦しみます。

過食や嘔吐は生活上のストレスが引き金となります。本当はストレスを感じているのに、無理をして適応しようと頑張っているようなお子さんにも多くみられ、医師や心理士と一緒に過食や嘔吐以外のストレスの対処法を話し合ったり、日々のストレスからくる不安や緊張にお薬を使って緩和する方法もあります。

9.ストレス因関連障害 (適応障害、心的外傷後ストレス障害)


学校でひどいいじめにあって孤立したり、大切な人の死を目撃したり、凄惨な交通事故に巻き込まれたり、誰かから責められたり暴力を振るわれたりと、人は生きている中で予期もしない出来事に遭遇して、忘れがたい経験をすることがあります。多くの人は一度や二度はそのような経験があるかもしれません。しかし、ストレスへの反応は実にひとそれぞれで、心が傷ついて立ち直れない子もいれば、経験を糧にして前を向ける子もいます。一般的に不安を感じやすい子はこのようなストレスに対して強い反応を生じやすいとされます。

このような一部のお子さんは出来事が起こってしばらく時間が経過し、本人の安全は確保されている状態なのに、急に過去の辛い記憶を思い出したり、悪夢に苛まれたり、常に不安で出来事を思い出すような話や場面を避けるようになります。この状態を心的外傷後ストレス障害(PTSD)といいます。PTSDの診断に該当する症状がそろう例は稀ですが、心が傷ついた自分のことについて誰にも打ち明けられず、周囲もそれに気づかない状態が続くと、心の中に湧きあがる不安や怒りをどうすることもできずに、落ち込んでめそめそしたり、身体の不調を訴えたり、反抗的・暴力的になったりと様々な反応を起こします。このような一連のストレスへの反応で生活に支障をきたしている状態をPTSDも含めてストレス関連障害としています。

PTSDは子どもにとってどうすることもできないほどの生死に関わるようなストレスの体験の後、数か月たっても症状が残る人に診断をつけます。しかしPTSDを生じるような極端なストレスではなくとも、学校不適応やいじめ被害、家庭不和などの慢性的なストレスのせいで心の調子を崩す子もいます。このようなストレスさえ無ければ回復するだろうと精神科医が診たてた場合には適応障害と診断されます。実は適応障害の診断が児童精神科の診断の中でも一番多いものです。

回復のために何よりも大事なことは、どんな辛い体験をして、何故不安になっているのか、どんなことを二度と繰り返したくないのかなど、お子さんの気持ちに丁寧に耳を傾けることです。そのうえで、信頼できる大人と一緒に子どもが安心して生活を立て直すことが重要です。それでもなお、不安や苛立ちが解消されずに生活に支障をきたしている場合、病院で心理治療を行ったり、補助的にお薬を使ったりして治療をすることができます。

10.睡眠障害


10代後半ともなると1日くらい徹夜で勉強をしたり、友達とおしゃべりをして夜明かしをしたとしてもなんということはないかもしれません。しかし、次の日には学校があるのに眠ろうとしても寝付けなかったり、まわりの家族がぐっすり寝ているのに途中で起きてしまって眠れなかったりする日が何日も続くとだんだん心も身体も疲れてしまいます。このように眠りの問題で生活に支障をきたす場合、睡眠障害として生活の改善や治療が必要になります。

お子さんの不眠は、生活習慣に起因する不眠とうつ病などの精神症状による不眠が主です。精神症状の治療とともに、生活習慣の改善をすすめる必要があります。一方、小学生くらいまでの比較的低年齢のお子さんでは、寝入りばなに泣き叫ぶような夜驚症や寝ぼけて立ち歩くような夢中遊行症の相談もあります。このような場合、医師と相談しながら安眠できる環境を工夫したり、睡眠を改善するお薬を少量用います。

一部のお子さんでは、このような夜間の行動異常の背景に脳波異常がみられる場合があるので、必要に応じて検査を行います。

11.物質使用障害


未成年者の飲酒や喫煙は禁じられ、タバコもお酒も以前に比べれば手に入りにくくなっています。しかし最近の調査によると中高生の約20%に飲酒または喫煙経験があるとされています。未成年のお酒やタバコは大麻やライターガス、危険ドラッグ、覚せい剤、処方薬などの乱用の入り口になっています。これらのドラッグ使用の背景には自分の不安や焦り、怒りや苛立ちを手っ取り早く鎮めようという気持ちがあります。一度この手軽さにはまり込むと、家族や友人との会話やスポーツなど趣味で気持ちをスッキリさせたり、努力して自分の問題に取り組んだりする前にドラッグでストレスをやり過ごすようになります。

連用を続ければ、脳がダメージを受けて幻覚や妄想などの精神病症状やうつ状態に悩まされるリスクがあがります。特に脳が発達する途中の10代での影響は大きいものがあります。ドラッグの乱用に至りやすいお子さんには、心が苦しくても誰かに頼る習慣が乏しく、ひとりで問題を抱えてドラッグ使用して一時しのぎに日々のストレスをやり過ごしている例が多くあります。実はドラッグ使用を問題にして自ら児童精神科の外来を訪れるお子さんはほとんどいません。むしろ児童相談所や警察、少年鑑別所にて事例化する例が多数です。周囲の大人はお子さんをドラッグに近づかせない配慮と同時に、お子さんたちの小さな心のSOSに気を配りながら支援を続ける必要があります。

12.身体疾患・身体症状に関連する精神疾患


児童精神科は小児科を中心に皮膚科、耳鼻科、眼科、整形外科といった身体科から相談をうけることがあります。

相談の中で多いのは、めまい、頭痛、吐き気や腹痛、身体の節々の痛み、視力・聴力低下などを主訴に身体科を受診した後に、症状の原因としてストレスの関与が疑われる身体症状症(身体表現性障害)と診断される例です。このような例では自分にストレスがかかっていることに気づいていないお子さんや、ストレスがかかっていても周囲の状況から大人を頼れないお子さんを多くみます。また、ストレスがかかることで意識が遠のいたり、記憶が途切れたり、身体の感覚を感じなくなったり(視力低下・張力低下など)、身体が動かない症状が出ることがあります。これを解離症(解離性障害)・変換症(転換性障害)といいます。昔の精神科医がヒステリーと呼んでいたものです。精神科医からみてストレスを背景に身体に症状が出ている場合、医師はお子さんの経過を振り返りながら何がお子さんにとってストレスになっているのか、どのように解消すれば楽になるのかをご家族と一緒に考えていきます。

次に多いのは糖尿病や喘息、もしくは自己免疫疾患や心疾患などの慢性疾患の治療が積極的にできないお子さんや、小児がんの余命告知後の情緒的反応のご相談です。

自分が生涯背負う病気と根気強い治療を簡単に受けいれられるお子さんはどこにもおらず、それを支えるご家族も同様です。精神科医師はお子さんやご家族、身体科の医療スタッフの間に立ち、少しでも治療にお子さんの願いが反映されるよう調整を行います。また、様々な身体疾患の病状や治療薬の副作用によって脳の機能が一時的に低下して精神症状があらわれるお子さんの相談を入院治療の最中に受けることもありますが、これに関しては身体科の医師と相談しながら早期に症状に解消を図るよう支援しています。

(    )内は2014年の日本精神神経学会による呼称変更以前の病名を記載しています。