横浜市立大学大学院医学研究科 臓器再生学
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横浜市立大学大学院医学研究科
臓器再生医学


〒236-0004
横浜市金沢区福浦3-9
TEL:045-787-2621
FAX:045-787-8963

 
研究内容
主な研究内容
 当研究室では、横浜市立大学(横浜)、理化学研究所(神戸)、物質・材料研究機構(つくば)の3カ所を拠点として、以下のような研究を行っています。
  1. 消化器官における幹細胞システムの解明
  2. 「癌」の幹細胞生物学的な理解−幹細胞から「癌」を読み解く−
  3. 細胞極性と幹細胞分化
  4. 幹細胞を対象とした臨床応用研究
  5. 幹細胞を利用した高次組織構造の再構成

1. 消化器官における幹細胞システムの解明 →図解

 食物を摂取し、吸収し、代謝するという消化機能は、胃や腸などの消化管、肝臓、膵臓、唾液腺などの複数の臓器によって担われています。すなわち、消化器系(digestive system)は、ひとつの幹細胞システムにより構成される中枢神経系や血液系とは大きく異なり、複数の幹細胞システムにより細胞社会が成り立つという極めてユニークな生体システムとして機能しています。そのため、消化器系の全容を解明するためには、各臓器における幹細胞を調べるだけではなく、それらの相互関係を「統合的」に理解することが必要です。そのため、私どもの研究室では消化器系を構成する複数臓器(肝臓・膵臓・腸管・唾液腺)の幹細胞の同定と解析を並行して推進しています。このような「統合的」な研究手法は、世界的にみても独自性の極めて高いアプローチであり、消化器系の全容解明における「先駆け」となる重要な研究です。消化器領域における「再生医療」の開発や「癌」の生物学的理解に大きな進歩をもたらす研究です。

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肝幹細胞の同定と特性解析  

 肝臓の幹細胞を同定するために、二つの独自性の極めて高い研究手法を確立しています。ひとつは細胞表面分子の発現パターンに基づくフローサイトメーターを用いた精度の高い幹細胞分離法であり、もうひとつが一個の細胞の培養によるクローン解析法です。これらは、幹細胞生物学で最も進歩している造血幹細胞の研究領域で開発されてきた方法論ですが、私どもの研究室では、肝臓という「固形臓器」を対象として、世界で初めて同様な研究手法が可能であることを示しました。すなわち肝臓の幹細胞(肝幹細胞 hepatic stem cell)を実体として同定し、その解析を行っています。世界的に高い評価を得ている研究です。アジア地域に多い、「肝炎」・「肝硬変」・「肝癌」などの肝疾患の理解や治療に役立つ研究です。

肝臓の幹細胞からは肝細胞と胆管細胞が分化する
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肝臓の幹細胞からは複数の組織が再構成される
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膵幹細胞の同定と特性解析  

 膵臓を構成する細胞には、ランゲルハンス氏島(膵島)を構成する4種類の内分泌細胞 (細胞、細胞、細胞、(PP)細胞)と、外分泌細胞、膵管上皮細胞があります。これらの細胞群は、すべて膵幹細胞(pancreatic stem cell)から分化・派生してくるものと考えられます。これまでに、肝臓と同様、フローサイトメーターを用いた精度の高い幹細胞分離法とクローン解析法を駆使して、膵幹細胞の同定に世界に先駆けて成功しています。「糖尿病」という重要な疾患に対する新しい治療開発における基盤研究となることから、世界的に競争の極めて激しい研究領域ですが、私どもの研究はトップ集団に位置しています。

膵幹細胞からは複数の内分泌細胞が分化する
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遺伝子改変マウスを用いた膵幹細胞の可視化
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腸管幹細胞の同定と特性解析  

 腸管上皮は、最も代表的な幹細胞システムとして知られています。すなわち、古典的に幹細胞が存在することが知られていた代表的な臓器であるといえます。ところが、意外なことに現時点において腸管幹細胞は未だに同定されていません。肝臓や膵臓と同様、フローサイトメーターを用いた精度の高い幹細胞分離法とクローン解析法を駆使して、腸管幹細胞の同定に向けた研究を精力的に推進しています。また、腸管細胞は上皮系の細胞ですが、この中に間葉系の細胞へと分化していくものが見られることがあるため、上皮系細胞から間葉系細胞への「分化転換」という現象に注目して研究を行っています。このような現象は、発生過程においては上皮−間葉転換(epithelial-mesenchymal transition)として良く知られています。最近、癌の浸潤能・転移能との関連性や幹細胞の初期化との関連性においてもこの現象は注目されています。我が国において患者数の多い「胃癌」や「大腸癌」の理解に役立つ研究です。

腸管の組織像
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腸幹細胞から形成されたクローン性コロニー
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唾液腺幹細胞の同定と特性解析  

 唾液腺(顎下腺、耳下腺、舌下腺)は、ご存知かと思いますが唾液を分泌する臓器です。他の臓器と同様、フローサイトメーターを用いた精度の高い幹細胞分離法とクローン解析法を駆使して、唾液腺幹細胞の同定に向けた研究を精力的に推進しています。既に高い増殖能と多分化能を兼ね備えた唾液腺細胞の同定に成功しています。世界的に同様の研究は殆ど行われておらず、オリジナリティーの高い研究であるといえます。
  近年、著しい高齢化の進展とともに、唾液の分泌量が低下することに起因する「口腔内乾燥症」に苦しむ患者様の数が急速に増加しています。このような唾液腺機能不全の
理解に役立つ研究と言えます。

幹細胞から分化する複数の唾液腺細胞
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唾液腺幹細胞から形成されたクローン性コロニー
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消化器系における可塑性の解析  

 胃粘膜中に小腸上皮が存在する腸上皮化生(intestinal metaplasia)、食道粘膜中に胃上皮が存在する異所性胃粘膜(ectopic gastric mucosa)、胃や小腸の中に膵臓が存在する異所性膵臓(ectopic panncreas)などに代表される臨床的な観察は、消化器系における細胞分化の可塑性(plasticity)が決して稀な現象ではないことを物語っています。私どもの研究室では、この可塑性を積極的に利用して、腸管上皮細胞の一部をインスリン分泌細胞に人為的に変化させる方法を開発しています。すなわち、腸管細胞を利用した「糖尿病」に対する新しい治療法の開発です。これまでには全く考えも付かなかったアプローチであることから、世界的にも大きな驚きをもたらしました。一方、腸上皮化生などは前癌病変でもあることから、幹細胞の活性化という視点から、可塑性と発癌を一元的に理解することが期待されます。「胃癌」などの理解に役立つ研究でもあります。

腸管上皮細胞からのインスリン産生細胞の分化誘導
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