柴咲 梢先生(センター病院)の論文が掲載されました.
十二指腸乳頭部腫瘍に対する内視鏡的乳頭切除術(EP)は広く普及している治療法ですが,しばしば難治性出血を引き起こすことが知られています.
このたびEP関連出血に対して,バイポーラ止血鉗子を使用し治療に成功した2症例について,Endoscopy誌E-videoに報告させていただきました.
拍動性出血に対しては,一般にクリッピングまた凝固止血による内視鏡的止血が行われますが,これらにはEP後潰瘍の穿孔リスクがあります.バイポーラ止血鉗子は,深部組織の損傷を最小限にとどめることで,穿孔のリスクを低下させることができます.またバイポーラ止血鉗子は柔らかく細いため十二指腸鏡での操作も容易であり,EP関連出血に有効な治療機器と考えられます.
このたび,私のような若手医師にも論文作成の機会をいただき,産休で臨床を離れる期間にこのような形で投稿を行うことができましたことを大変ありがたく思っております.
胆膵領域の内視鏡治療の発展は目覚ましく,当院胆膵グループでも日々活発な議論のもと,新たな器具の使用を含め治療法の改良に試行錯誤が重ねられております.日々非常に学びが多く,刺激のある充実した環境で診療にあたらせていただいております.今後の胆膵疾患の治療の発展への期待とともに,まさにその現場に身を置いて診療できていることに身の引き締まる思いです.今後も自身の診療技術の向上ならびに胆膵領域の治療の発展に微力ではありますが貢献できるよう,日々精進してまいります.
投稿にあたり,熱心にご指導いただきました三輪先生,前田教授に心より感謝申し上げます.(柴咲)