鈴木 良優先生(附属・助教)の論文が掲載されました.
免疫チェックポイント阻害剤は近年さまざまな癌腫に適応範囲を広げその予後を延長させていますが,膵癌は組織に含まれる免疫細胞(特に細胞障害性T細胞)が極めて少なく,免疫療法に不応です.STING分子はDNAウイルス感染時における自然免疫に重要な役割を果たす分子として2008年に同定されました.その活性化はインターフェロンなどの炎症性サイトカインの産生によって免疫細胞の浸潤を誘導することから,STINGアゴニストは免疫療法のエンハンサーとして注目されています.
この論文は,膵癌組織の中に豊富に含まれる線維芽細胞(CAFs)に着目し,CAFsのSTINGの活性化が細胞障害性T細胞の遊走を惹起することによって抗腫瘍免疫を促進することを述べたものです.
正直研究段階から論文投稿までかなり苦労しましたが,まわりの人々に支えられなんとか投稿までたどり着くことができました.いつも親身にご指導いただいた前田教授をはじめ,関係する全ての皆様に感謝申し上げます.(鈴木良優)