Training Reports

Various Trainings

2021年度

 

ー東京都立多摩総合医療センター研修ー

大田医師(2011年卒・専攻医修了後1年)

 東京都立多摩総合医療センターでECMOを中心とした集中治療の研鑽を積むため、現職場に出向させていただいております。
 皆様ご承知の通り、東京都のCOVID-19症例は日に日に増加傾向にあり、徐々に病院間の救急搬送不応需も増えてきたように思います。多摩総合ではこの第4波の到来を直に感じているところであります。
 救命センターではEICUのほか、GICU・HCUの挿管症例・COVID症例を担当しており、およそ8〜9名の挿管症例の管理が続いております。
 VV-ECMO管理に関しては今年度も継続して稼動中で、腹臥位療法を積極的に導入しており、連日3名を上限に設定して当直帯の間、継続しております。
 ステロイド治療のほか、感染症科の推奨があった際にはTocilizumab併用も比較的積極的に行っているように思いますが、ウイルス自体の変異の影響が出ているのかは定かでないものの、私自身が昨年度経験してきたCOVID-19患者に比して重症例の管理がより難治性となっている感が否めません。細菌感染・血栓性合併症が高頻度にみられ、長期の集中治療を要している印象です。報告されているように若年層の症例が目立ってきており、スタッフの緊張度も高まっております。
 5月に入り、一般病床を1棟COVID-19専用に確保し、挿管症例も管理するHCU的運用に適用する試みが開始しました。個々症例の管理が長期化するゆえ、これ以上症例が増え続けた場合にどこまで病院のキャパシティが耐えるか、といった印象です。
 性質を見通しがたいウイルス感染の病態、肺保護的治療を中心に置き突き進むことのリスク・ベネフィット、そしてそれらの介入評価は捉え難いものであり、クリアカットな指針を貫くというよりは、日々スタッフ間でも議論を重ね悩みながら個々症例に試行錯誤で対処している現状です。呼吸療法・集中治療の難しさを肌に感じ、毎日非常に多くの学びを得ております。  

 

ー横須賀共済病院放射線科研修ー

中嶋医師(2013年卒・救急専門医)

 横須賀共済病院放射線科での業務は、95%が読影でありIVRは5%ほどに過ぎません。
 しかしながら解剖を把握していないと外科手術ができないことと同様に、速やかに血管の分岐、破格、短絡を把握し適切なIVRを行うためには読影のスキルは必須と考えられます。
 IVR症例は決して多くはありませんが、定時のHCCに対するTACEを中心に頭頸部から骨盤内臓器まで幅広く、定期的に術者としての機会を与えていただいております。
 また、現在救急部長土井先生にご指導いただきながら、救急科、放射線科共同での臨床研究を計画中です。
 サブスペシャリティー研修中ではありますが、臨床のみに満足することなく研究面でも良いご報告ができるよう精進致します。

 

ー済生会横浜市東部病院救命救急センター研修ー

山口医師(2013年卒・救急専門医・外科専門医)

 済生会横浜市東部病院救命救急センターはHybrid ERを要する横浜市重症外傷センターであり、外傷診療に関して全国有数の施設であります。
 救命センター外科チームには私を含めスタッフ6人が在籍しており、24時間365日いつでも外傷手術が可能な人員配備となっております。
 またAcute Care Surgeonの育成・教育が確立されており、定時手術に加え急性腹症など内因性緊急手術も全て担っており、年間約500件の手術を救急部で執刀しております。
 4月には重症外傷症例は少なく私が担当した外傷手術症例はありませんでしたが、内因性疾患に関しましては10-15件/月の緊急症例を手術責任者として対応しており、手術手技だけでなく術前から術後管理まで含めたトータルマネージメントを学ぶとても貴重な機会を頂いております。
 Acute Care Surgeryを学ぶにはとても良い環境であり、教室員の先生方皆様の多大なるご協力・ご尽力のおかげで研修させて頂けていることを誠に感謝申し上げます。
 また当施設でもCOVID-19症例は徐々に増加傾向であり、4月初旬はEICU入室を要すような重症症例はいなかったものの、徐々に中等症-重症が増加しております。
 現在EICUには挿管管理、NHF患者が入室しており、当施設でも当直帯を中心に腹臥位療法を積極的に行い治療にあたっております。

 

ー神奈川県立こども医療センター研修ー

南医師(2014年卒・救急専門医・集中治療専門医)

 私は救急集中治療科に所属し、小児集中治療研修開始から1ヶ月が経過し、主に各科の術後管理、また急変症例などを担当させていただいています。
ICU8床、HCU14床を有していますが、現在はCOVID-19の影響でそれぞれ6床、10床の運営となっています。
 ICUは主に先天性心疾患の心外術後症例を扱っており、日齢数日の乳児など今まで経験したことのないサイズ感で集中治療を学ばせていただいています。
 HCUは主に心臓外科以外の術後症例が多く、小児特有の気道管理を勉強させていただいています。
 COVID-19に関しては症例の若年化が言われておりますが、当院に関しては中等症、重症患者はおりません。また全体的に救急患者数も減少しており、RSウイルスなどCOVID-19以外のウイルス感染症も例年より少ないようです。

 

ー横須賀共済病院外科研修ー

渡邉医師(2016年卒・救急専攻医修了後1年目)

 横須賀共済病院外科は、現在18名の医師が在籍しております。部長以下の医師は5つ(上部・下部・肝胆膵①②・乳腺)のグループに属しており、内訳としては、部長1名、チーム長5名、専門医取得後2名、後期研修医10名(3年目1、2年目3、1年目6)です。
 後期研修医は各チームを研修期間にローテーションしながら各定時手術を学び外科専門医取得に向けて研鑽を積んでいきます。
 私は今年度より修練を開始したばかりであり、乳腺グループに所属しております。
 外科専門医取得に必要な症例を稼ぐばかりでなく、外科としての手術の基本から学んでおります。
 また、そのほか上部・下部などの定期外来も担当しており、一般外科医としての業務は新鮮であり、救急科の時とは異なる時間の流れを感じております。
 横須賀共済病院はHigh volume centerであり地域の緊急手術症例、定時手術症例ともに絶えることなく集まってきており、今後も救急外科グループとしても研修を重ねていきたい施設であると確信しております。日々の業務に励み信頼を獲得していきたいと考えております。

 

ー医療系研究科(大学院・博士課程)ー

松村医師(2013年卒・救急専門医・集中治療専門医)


昨年は附属病院に勤め、臨床の傍研究をしていましたが、今年度から大学院へ進学し主に基礎研究に従事しています。

現在の研究テーマは、敗血症と心筋炎の研究をメインに研究しています。
敗血症は敗血症モデルマウスを用いた研究をおこなっています。
心筋炎はノックアウトマウスを用いた研究にむけて準備をすすめているところです。
これらの研究をリサーチクラークシップで来ている学生(4年生)に指導しながら研究をすすめています。

その他、COVID19関連のAMED事業や、今年度から附属病院に赴任した本澤先生の科研のARDS研究を微力ながらお手伝いをしています。
日々の研究結果や疑問などを毎週水曜日にresearch meetingで共有、ディスカッションをしています。
また、研究には資金が必要です。自ら競争的資金に応募し、資金獲得を目指しています。
私は今年で医師9年目となります。

救急科専門医、集中治療専門医を取得して、今後のキャリアを悩んだ際に私は大学院への進学を選択しました。
私が大学院へ進もうと考えた理由は、研究するノウハウを身につけるためです。
今後、研究面で指導的な立場になるためには、自身で研究する力をつける必要があると考えました。
大学院で一定期間しっかりと勉強し、研究する力をつけて博士号取得を目指したいと考えています。
まだ始まって1ヶ月と間もなく、分からないことだらけです。
しかし、日々新しい発見ばかりで、初期研修医の頃のような新鮮で充実した毎日を送っています。
臨床とはまた違った面白さがあり、臨床では経験できないことが大学院では経験できると思います。
大学院進学に興味のある方はお気軽に連絡をいただけると幸いです。

施設連携プログラム:新潟大学医歯学総合病院高度救命救急センター

後期研修2年目(専攻医2年目):中川医師

 


 2021年4月より後期研修2年目(専攻医2年目)中川智生先生が当教室との施設連携プログラムで新潟大学医歯学総合病院高度救命救急センターに出向し、専攻医2年目の研修を行っております。
 4月は病棟業務、GW明けより週に1度強のペースで、ヘリ搭乗トレーニングが始まりました。ヘリ搭乗の勤務状況としては、8時半から日没まで、晴れれば3回程度、年間850件程の出動となります。
 新潟県は人口が集中している地域が県内にまばらであり、病院、救命救急センターの少ないエリアとなっています。新潟大学は県の左寄り海側に位置し、新潟市内には救命センターは2病院あり、重症例が集中します。救急車での搬送時間が1時間程を要することも珍しくなく、時には県境をまたぐ依頼もあります。ヘリ搬送で、医療介入までの時間を短縮する重要性を感じています。
 まだプレホスピタル経験の浅い私は、まずはon the jobでの訓練を行っており、5、6月は指導医と共に現場活動にあたっております。主たる活動内容としては概ねDr.Carと変わりはありませんが、一度離陸しては医療介入が殆どできない点や、搬送先の選定はドクターが直接行う点などが異なります。新しい環境であると共に、まだまだ医療過疎地である新潟県での受入れ交渉に苦戦しております。
ヘリ当番でない日は、ER、ICUでの業務おなりますが、大学には小児循環から血液内科疾患まで幅広い症例が集まり、そちらでも有意義な経験をさせていただいております。

 
フライトドクターとしても日々頑張っています
 

ー続報(2021.7.14) 研修3ヶ月目ー

 2021年4月からOJTとして指導医と共にDrヘリに登場し、3か月の研修期間を終え、7月よりついに、一人立ちでの搭乗が開始となりました。初めて行く場所での研修であり、地理、医療情勢などから上級医に丁寧に指導いただいており、一人立ちしてからも現場で判断に困った際には、CS(Communication Specialist)の方や新潟大学MC(Medical Control)の上級医に相談させてもらい、様々なサポートを受けながら活動しております。
 専攻医としての研修、勤務については、ER、集中治療室を中心に、スタッフの方々に温かくご指導頂きながら修練しております。大学であり、地域の最重症、急性期が集まることから、モチベーションを保ちながら勤務できております。
 週に1,2日のフライトと、新潟大学での通常勤務を合わせて行えることは、双方での経験が生きると感じています。現場で起こり得る事態を病院の中から想起し、対応できるようイメージした上で搭乗日を待ち、当日実際に処置、判断を実践し、また生まれた課題を病院にて消化することが非常に面白く、向上心を持って働けております。病院前から初療、集中治療、病棟患者まで全体を把握しながら、実りある研修になっています。

長距離搬送時に搭乗した防災ヘリ「はくちょう」と

 当教室では、多様な他施設連携プログラムを用意しております。詳細等は直接以下までご連絡ください。