澤田 敦史先生(大学院生)の論文が掲載されました.
Endoscopic Resection with One-Port Placement: A Newly Developed Technique for the Safe Management of Advanced Endoscopic Resection for Gastric Gastrointestinal Stromal Tumors.Digestion. 2023 Aug 30;1-8.
本邦における限局性胃GISTの標準治療は外科治療ですが,中国を中心に内視鏡的全層切除術(EFTR)の有用性が数多く報告されています.しかし中国以外ではEFTRが普及しない要因として,①全層切除という技術的な側面②気腹への対応③全層欠損に対する信頼できる縫合デバイスの欠如などEFTRの潜在的な懸念が挙げられます.その懸念に対処すべく我々は2019年より消化器外科の全面的なバックアップのもと,40mm以下の胃GISTに対しEROPP(Endoscopic Resection with One Port Placement)を導入致しました.臍部に腹腔鏡用のポートのみ挿入し,その後はEFTRと同様の手技になります.気腹圧を一定に保つことで安定した視野で切除から全層欠損の縫縮まで可能であり,さらに外科医のサポートを迅速に受けることが本法の最大のメリットであります.現状の技術・デバイスを考慮すると本法が最も低侵襲な治療であると考えます.今回胃GISTに対するEROPPの有効性・安全性を報告させて頂きました.
ご指導頂きました,平澤欣吾先生,前田愼教授に深く感謝申し上げます.またいつも胃SMTに対する正確かつ丁寧なEUS診断を施行下さる胆膵グループの先生方に深謝致します.そして本法の有用性・安全性を示すことができたのも消化器病センター外科の先生方のお力添えの結果であり誠に感謝申し上げます.今後ともご指導・ご鞭撻のほど宜しくお願い致します.
最後になりますが,胃SMTを含め数多くの患者様を当院にご紹介下さるご開業医の先生方・近隣病院の先生方にこの場を借りて厚く御礼申し上げます.
本法がEFTRへの安全な導入手技となりLECSとEFTRの間を繋ぐ「bridge treatment」として胃GISTの低侵襲治療の一助となれば幸いです.(澤田)