横浜市立大学 医学部 消化器内科学教室

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Wang F先生の論文が掲載されました.

Wang F先生の論文が掲載されました.

Added Value of Ultrasound-Based Multimodal Imaging to Diagnose Hepatic Sclerosed Hemangioma before Biopsy and Resection.Diagnostics (Basel). 2022 Nov 16;12(11):2818.

経時的に観察し,多血から徐々に乏血化し,かつサイズも縮小した肝硬化型血管腫症例

偶然に単純CTで検出された肝腫瘍は造影超音波動脈相で早期濃染,門脈相でwash outし,胆管癌や低分化肝癌を考える所見を呈した.一方B-modeでは辺縁低エコー帯やモザイク所見はみとめなかった.微細な血流を検出可能なB-flowでは明らかな腫瘍血管は認めず,またElastographyでは腫瘍部は周囲の非腫瘍部と同じような色調であり,両者とも良性腫瘍の所見,造影超音波所見と比較すると乖離を認めた.すなわち濃染パターンは悪性であったが,それ以外の超音波所見は良性所見であった.3か月後に再度造影超音波で観察したところ腫瘍血流はやや低下.腫瘍生検では細動脈と脂肪細胞の増生,一部硝子化した豊富な膠原組織を認めるも悪性所見はなく,肝硬化型血管腫と診断.3年間経時的に観察したところ腫瘍の辺縁部位しかそまらなくなり,サイズも増大せずむしろ縮小した.次第に腫瘍血管が閉塞し線維化が増生したと考える.肝硬化型血管腫についてはほかの論文も含めた76病変をreviewしたが,造影超音波を実施し,経時的に観察したものはなかった.はじめて観察した時点によっては,悪性との鑑別が困難であり注意を要するが,このような良性腫瘍があることを知っていれば,オペや生検を回避できる可能性がある.