手塚 瞬先生の論文が掲載されました.
ゲムシタビン塩酸塩を含む化学療法後の二次治療として,ナノリポソーマル型イリノテカン塩酸塩水和物,フルオロウラシル(5-FU)及びレボホリナート(LV)の併用(NAPOLI-1レジメン),modified FOLFIRINOX並びにFOLFIRIの3つのレジメンの有効性及び安全性を比較した神奈川県立がんセンターにおける単施設後向き研究の報告です.
2020年にNAPOLI-1レジメンが海外第Ⅲ相試験及び国内第Ⅱ相試験の結果に基づき本邦で薬事承認され,二次治療の標準としての位置付けを確立しつつあるものの,当該承認前の主たる治療選択肢の一つであったmodified FOLFIRINOXとの比較は前向きも後向きもこれまで報告されておらず,クリニカルクエスチョンの一つでした.また,イリノテカン塩酸塩水和物をナノリポソーマル化することによる上乗せ効果についても明らかにはされておらず,クリニカルクエスチョンの一つでした.本研究は、以上の二つのクリニカルクエスチョンを検討したものになります.
現時点では,modified FOLFIRINOX及びFOLFIRIを治療選択肢から除外すべきものではなく,目の前の患者さんの状態と各レジメンの治療特性を踏まえて,レジメンを決定すべきという結論に至りましたが,日常診療の一助になることを願い,前治療で間質性肺疾患が発現した患者さんにおける間質性肺疾患の再燃の有無等,詳細な成績とそれに基づく考察を記載しております.
前田教授,神奈川県立がんセンターの上野部長を初めとする共著者の先生方に厚く御礼を申し上げるとともに,共に戦ってきた患者さん,日々を支えてくれる家族に感謝いたします.(手塚)