小宮山 哲史先生の論文が掲載されました.
TACE療法が不応となった肝細胞癌にアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法を行い,複数の原因が関与していると考えられた肝障害を認め,治療奏効後の肝内再発診断に造影エコーが有用であった1例を報告しました.肝細胞癌に対するTACE療法では,肝障害の副作用に注意して治療継続することが大切で,治療効果が得られなくなりTACE不応に至った症例では,速やかに全身化学療法に移行することが推奨されています.本症例の病理解剖では肝びまん性にTACE療法のビーズが血管を閉塞していたことが明らかとなり,肝障害の主要因はビーズによる肝循環障害と考えられ,TACE不応の肝細胞癌では速やかに全身化学療法へ移行する重要性を裏付ける所見でした.また,アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法での奏効後に,造影CTよりも早期に造影エコーで再発病変を検出できたことから,肝細胞癌の治療効果判定において造影CTに造影エコーを併用する有用性が再確認できました.病理所見について多くのアドバイスをいただきました病理部の先生方,ご指導いただきました沼田和司先生, 前田愼教授に深く感謝申し上げます.(小宮山)