西尾 匡史先生の論文が掲載されました.
小腸疾患の検査として,内視鏡検査(小腸内視鏡・カプセル内視鏡)・エコー・CRE/MREなどがありますが,生検による組織診断や処置が可能な点が,小腸内視鏡の大きなアドバンテージです.当院でもIBD以外に、小腸腫瘍・出血・炎症に対して小腸内視鏡をする機会が増えています.
今回の報告は,小腸に限局した薬剤性の血栓性微小血管障害症(thrombotic microangiopathy: TMA)をきたした症例です.TMAは貧血・血小板減少などの血清学的な異常所見を伴うことが一般的ですが,本症例ではそれらの異常を認めず,小腸内視鏡による組織学的検索で診断に至ることができました.TMAに限らず,診断に難渋する小腸炎に対しては,全身状態が許せば,小腸内視鏡が診断の一助になると思われます.
ご指導いただきました,平澤欣吾先生,前田愼教授に深く感謝申し上げます.(西尾)