活動報告

   研究活動    2021.10.27 

医学生リサーチクラークシップ報告

横浜市立大学医学部6年生髙熊朗君が優秀な成績を納めました。


横浜市立大学医学部では、4年生の4月から7月の3ヶ月間、各研究室に配属され、その研究室で行われている研究テーマを中心に基礎研究・臨床研究を学びます。
リサーチクラークシップ(通称:リサクラ)を毎年行っておりますが、当教室でも心筋症・敗血症・新型コロナウイルス感染症を中心にリサクラ学生と一緒に研究を行っております。
その中で、2019年に当教室のリサクラに参加してもらい、リサクラ後も研究を続けてくれた高熊朗くんが非常に優秀な成績を納められました。
彼は、リサクラ終了後も時間を見つけて研究室に通い続け、5年生・6年生の病棟実習が忙しい合間を縫って、時には夜遅くまで・朝早くから、休日も返上して一生懸命自身の研究を完遂しました。
本人からその報告をしていただきます。
 


 横浜市立大学医学部医学科6年の髙熊朗と申します。
 この度4年次より続けておりました研究が、国際学会(ヨーロッパ心臓学会2021)にて口頭発表、国際学術雑誌(Scientific Reports, Prostaglandin-E2 Receptor-4 Stimulant Rescues Cardiac Malfunction during Myocarditis and Protects the Heart from Adverse Ventricular Remodeling after Myocarditis)にて論文採択と形になりましたので、誠に僭越ながら書き記させて頂きます。
 
<研究を始めたきっかけ>
 将来自分は臨床医になる、研究に携わるのは一部の人間だ、と漠然と考えていました。そんな中4年次のリサーチクラークシップ(本大学カリキュラムの一環で、基礎または臨床の教室に3ヶ月間配属される)の時期がやってきて、教室を選ぶ必要がありました。
 将来基礎研究をやるつもりが無いなら、人生に一度くらいは経験しておこうと思い、臨床の先生と繋がりの持つことができ、かつ基礎研究をイチから教えてもらえる救急医学教室に飛び込みました。

 

<基礎研究の苦労と魅力>
 どんな時もひとつひとつのデータを丁寧に収集することの重要性を学びました。日々の講義や病棟実習、バレーボール部での活動をこなしながらでしたので、早朝や深夜に実験を行うこともありました。どんなに疲労していても、手を抜けない心労は非常に大きかったです。
 そうして念入りに集めたデータは嘘をつかず、仮説と食い違うことは日常茶飯事でした。そのたびにディスカッションし、新たな仮説を立てて検証の繰り返し。基礎研究においてひとつを証明することへのハードルは非常に高く、多くの実験データの積み重ねなのだと身に沁みました。
 しかしデータが蓄積していく中で、矛盾しない1つの理論が導き出されたときの喜びは計り知れず、いつのまにかのめり込んでいました。

 

<国際学会発表と学術雑誌論文投稿>
 実験を送る日々、突然ボスから国際学会発表と学術雑誌投稿の話を告げられたときは、きっと何かの冗談だろうと思いました。しかし、実際に抄録が採択されたり、論文執筆に向け動き出したりするにつれ、本当にやるんだと意気込んだことを覚えています。
 元々英語が特段得意なわけではなかったので、何度も音読練習を積み重ね、英語での口頭発表に臨みました。残念ながらオンラインだったため会場の雰囲気は味わえませんでしたが、全世界の人々からリアルタイムで寄せられる質疑への対応は、今後の私の人生に大きな影響を与えたように思います。
 また、今までに論文執筆の経験など当然ありませんので、関連する分野の論文を読むことから始まりました。その後、論文の構成を教わった上で理論の道筋を立てて…とひとつひとつステップアップしていきました。先生と共に論文を作り上げていく中で、膨大なデータを正確に記述する重みを実感しました。

 

<救急医学教室の暖かさ>
 学生ながらこのような成果を出すことが出来たのは、救急医学教室の先生方の熱心な教育・支援の賜物だと心から思います。
 私のモチベーションをうまく維持しながら全力でサポートして下さった西井先生、実験を一緒になって取り組んで下さった佐治先生・酒井先生・松村先生ら大学院生、臨床で忙しい中気にかけて下さった小川先生、竹内教授をはじめとする救急医学教室の先生に感謝の意を表します。3年間本当にありがとうございました。


髙熊君の素晴らしい報告に我々も日々感化されております。
当教室では、当大学の医学生のリサーチクラークシップでも国際学会発表・国際論文発表を視野に入れ、レベルの高い研究をし、世界に配信できるような研究指導を行っていきます。
リサーチクラークシップ以外でも当教室での研究・臨床に少しでもご興味のある医学生・研修医の先生方は気軽にご連絡いただければご相談に乗らせていただきます。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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