活動報告

   国際交流    2018.9.12
 

横浜市立大学附属市民総合医療センターの高橋医師が フランスに研修に行かれました。

高橋先生が パリ公立病院連合で研修されました。以下、高橋医師からの報告です。


横浜市立大学は平成271月にパリ公立病院連合(AP-HP)、横浜市との3者で締結した臨床・研究・教育の協力関係の構築を目的とした覚書(MOU)に基づき、救急医療をはじめとした医療分野の連携や交流を進めてきました。平成28年度はMOU運営委員会が設置され、教職員・学生の派遣および視察の受入が実施されてきました。当教室は平成28年より毎年、教室員をパリに派遣し、現地の救急医療との交流を深めてきました。今年(平成30年)は当教室から私、高橋耕平がAP-HPでの研修の任を受けましたので、ここに報告させて頂きます。
 今回は、このパリSAMU本部のあるNecker HospitalMICUの出動に同乗したり、European Hospital Georges Pompidouの救急部門の視察など5日間の研修を行いました。
 フランスの救急医療は、その病院前診療に大きな特色があります。SAMUServices dAide Medicale Urgente)と呼ばれる緊急通報受信とその後の調整を行う組織と、その調整に基づき現場派遣されるMICUMobile ICU)と呼ばれる緊急車両がその骨格となります。特筆すべき特色はその過程(一般市民からの救急通報の対応、現場診療、病院への搬送など)すべておいて、医師が直接関与する点です。研修して実感したことは、医師が病院前診療に直接関与するメリットは早期治療を開始できることだけではなく、現場診療の診断に基づき適切な患者を適切な病院に適切な搬送手段で運ぶことができるという点です。実際に経験した症例では胸痛を主訴とする症例に対して、現場出動した医師の診察で急性大動脈解離を強く疑い、心臓血管外科のある病院を選定し、ERを経由することなくICUへ直接搬送をしていました。より良い病院前診療体制とは何かを考えるヒントを得ることができ、非常に有意義な研修であったと思います。
 最後にこのような貴重な機会を与えてくださったMOU運営委員会をはじめとした横浜市立大学関係者の皆様、また非常に示唆に富んだ講義をして頂いたCarli先生、Vivien先生、Veber先生、Juvin先生、それに快く研修を受け入れてくれたSAMUおよびPompidou病院の職員の方々に感謝申し上げます。

 
研修メンバーと Vivien先生
  
MICU
 
 
現場出動