活動報告

   学術活動    2018.5.26
 

横浜市立大学付属市民総合医療センターの小川助教が米国胸部学会(ATS2018)で研究成果を発表しました。

小川先生がATS2018で研究成果を発表されました。以下、小川医師からの学会参加、発表報告です。


 この度5月18〜23日サンディエゴで開催されましたATS2018(米国胸部学会)の報告をさせていただきます。この学会は世界中の呼吸器関連のMD,PhD,Nsなど多職種の参加者の学会です。参加人数が20000人弱と多いため学会会場が巨大であり、San Diego convention centerだけでなく、 隣のMarriott,Grand Hyatt, Hilton hotelも使用し、朝7時のsunrise lectureから始まり、夕方4時15分までびっしりと講演・Discussionがあります。分野は全ての呼吸器関連疾患で小児から成人、palliative careまで、良性疾患・悪性疾患・超急性期疾患(ARDS・Sepsisなど)・肺高血圧・希少疾患などなどいろんな分野の参加者がいます。同時に30会場を超える会場で15〜20演題のoral poster discussion、各10〜20演題くらいの講演がなされます。poster presentationが毎日800-1200演題 分野に分けられて提示され、その間演者はずっと自分のポスター前で立って説明を行うようなスタイルです。
自分自身2012年の大学院時代からほぼ毎年参加しており、自分の研究成果を世界に知ってもらうとてもいい機会であるのと同時に締切までにどこまでしないといけないかという目標設定ができるのでabstract submittionとacceptが非常に自分のmotivationを保ってくれるような学会と位置付けています。SanDiegoは自分にとって2回目のATSの場所ですが、ATS2014でJo Rae Wright Awardを大学院時代の研究で頂き、講演させていただいたという本当に思い入れが深いところでした。
 今回の発表演題は、「Src Activation is Critical for KRAS-dependent Regulation of Human Airway Basal Cell Differentiation into Secretory and Ciliated Cells」という以前の所属先でありますWeill Cornell Medical College, Dept. of Genetic Medicineでの仕事の一つです。肺腺癌の遺伝子異常として知られている喫煙関連がん関連遺伝子KRASの正常気道上皮基底細胞の対する作用機序ー分泌細胞・線毛細胞の分化の亢進(ATS2017)に対して最も関連しているsignal pathwayを同定し(Src)、そのSrcが実際にKRAS activationとどのように関連しているのかという結果の証明をしたという仕事です。この発表に関してaudienceからは気道上皮基底細胞の使用に関する興味と仮説に矛盾しない研究結果、in vivoとin vitroでの矛盾しない結果に関して興味を持ってもらい、説明をすることができました。
自分のテーマとして、喫煙関連演題(e-cig, vipor, smoking cessation, water pipe)やARDS/ALI、Sepsis関連のsessionを中心に今回は参加し、多くの演者と有意義なdiscussionができました。今後の臨床研究および基礎研究に繋げられるようなネタもいろいろと拾ってくることができ、今後実践していきたいと思います。
 この学会は本当に興味深い学会ですので、滞在期間中毎日朝から夕方までずっと会場で過ごす日々でしたが本当に非常に実り多い学会でありました。学会参加中に前ボス主催恒例のwine partyでラボの歴代の方々(世界中にcrystal labからのprofessorがいます)が集い、同僚達と会合があったり、新しい出会いがたくさんあったりした中で、今後の留学生・見学者の受け入れ等のコネクションの維持についても話をしてくることができました。
 自身の目標としては来年のATS2019(Dallas)にも今度は当教室のデータ・研究で参加できればと考えております。