活動報告

  参加報告  2022.7.8
 

コロナ禍以降久々に横浜消防合同NBC訓練が実施されました。

横浜市消防局主催のNBC合同訓練に当教室員が参加しました。以下菊池優志医師の報告です。


2022/7/6開催されました横浜市消防局との合同訓練の詳細について、ご報告させていただきます。

今回の訓練は、東京オリンピックに向けた昨年の法改正によって、救助隊がwarm zoneなど現場でPAM、硫酸アトロピンなどの解毒剤を投与できるようになってから初めての訓練とのことで、国からの視察もある中で、100-150人規模で行われました。
 
複数の傷病者が有機リン中毒を疑う症状があり、検知器で検出されるなど、条件が全て揃うと現場判断で解毒剤の投与可能ですが、揃わない場合、横浜ではメディカルディレクター(MD)に指示を仰ぎ、投与可能となるスキームとなっており、今回の訓練でも実際にMDである竹内先生が指示を出されて、解毒剤の投与が行われました。

本訓練は消防主体のもので、医療チームは横浜市大チーム1隊のみであり、下記センター病院メンバーに、横須賀共済病院の土井先生と救命士、附属病院の酒井先生も加わっていただき、医師5名、看護師2名、消防OB1名、救命士1名の混成チームでした。医療チームが現場に入ることで、トリアージ赤の重症患者の安定化処置を行い、搬送順位を決め、早期搬送させることを最優先事項として活動を行いました。
 
以下、訓練の概要と医療チームの活動報告です。
医療チームは救助隊現着(=訓練開始)から52分経過時点で活動開始となりました。救急指揮本部へ現着報告をした際に受け取った情報としては、劇場内でサリンが撒かれ、傷病者は計30名(劇場内10名、屋外で歩行不能15名、屋外で歩行可能5名)、トリアージエリアには赤0、黄3、緑5、黒1名、そのうち黄1と黒1が搬送済みとのことでした。
竹内先生の指揮のもと、救急指揮所(加藤先生)、医療現場指揮所(竹内先生、消防OB)、トリアージエリア(土井先生、酒井先生、看護師2名、救命士2名)、伝令(菊池)の布陣で活動を行いました。
傷病者がトリアージエリアへ搬送されるまでさらに時間が経過しましたが、最終的に傷病者は赤8、黄16、緑23、黒3名の計50名でした。
赤8名には、挿管3名、痙攣に対するセルシン投与2名行い、安定化処置が終わり次第順次搬送が行われました。
緑20人を横浜消防マイクロバスで一斉搬送(救急隊のみ)、バスが戻ってきたらピストンで黄15+緑3を一斉搬送(Dr.、Ns同乗)の方針としたところで、医療チーム到着後30分経過し終了となっております。
伝令の役割としては、半径10m範囲の救急指揮所、医療現場指揮所、トリアージエリアを行き来して、トリアージエリアの傷病者情報、搬送順位、を赤エリアから救急指揮所へ伝え、医療現場指揮所へ状況を報告し、指示を確認する、といった作業を繰り返しながら、合間を見つけて黄、緑、黒エリアの情報収集を行いました。
 
赤に5名傷病者が搬送された際に救急のトリアージ班が赤エリアに不在であり、伝令である菊池が土井先生に搬送順位を確認し、傷病者情報を収集し、加藤先生経由で救急指揮所へ伝えたことで早期搬送開始できたことは、医療チームが現場に入ったメリットを一つ示せたかと思います。
赤エリアの傷病者が増え、医療チームだけではマンパワー不足となった際に、待機中の救急隊を投入し、挿管後のマスク換気を任せ、医師、看護師にしかできない処置を次々と行なっていくということも、医療チームが豊富なDMAT訓練などとは異なる点、工夫であったかと思います。
 
訓練全体の感想としては、炎天下のもとレベルAやBの防護服をきて救助隊が活動する様子を見て、やはり医療者が同様の装備で活動することは非現実的であること、comand and control における異なる組織とともに情報共有しながら活動することの難しさと情報伝達の重要さを身を持って感じることができ、大変有意義なものになりました。

私自身、研修医の頃に厚木基地でのSCU訓練、日産スタジアムでのNBC訓練(テロによる銃撃)を見学させていただいて以来の訓練で、チームの一員としての活動は初めてでしたが、竹内先生、加藤先生からいただいたアドバイスのおかげで、拙いながらも何をすべきかを見失わずに活動できたかと思います。ご指導ありがとうございました。


救急医の使命として、 
①地域の安心安全な体制を創ること
②自然災害・テロ含めた多数傷病者対応にあたること、も日々の患者を診ることと同じく重要なことです。
今後、コロナ禍で約2年間中止となっていた日本DMAT、県DMATなどの実働訓練も再開となります。
日々の診療との両立は簡単ではありませんが、横浜市大救急医学教室の使命として進めていきます。
教室として、このような災害対応にしっかり当たれる人員を養成していきたいと思います。