活動報告

 参加報告  2023.2.25

神奈川DMATーL研修に参加しました。

神奈川県主催DMATーL研修に参加しました。

2023年2月24日,25日に開催されました令和4年度DMAT-L研修に教室員が参加いたしました。いつ何時起こるかもしれない大規模災害に対して研修に参加し、自己研鑽をしております。以下参加者の報告です。


 
<専攻医>
この度2023/2/24-25にかけて神奈川DMAT-L隊員養成研修を受講いたしましたので報告させていただきます。

研修の流れとしては1日目にトランシーバーの使い方や講義を受けながらの机上演習、災害時情報ツールであるEMISの入力、実習として一次・二次トリアージ、診療手順について研修いたしました。2日目には筆記試験、実技演習を行い、学んだ知識や診療法をアウトプットする場となりました。

机上演習については他病院との合同チーム、多職種での活発なディスカッションが行われ、実際に災害が起きた時にどのような流れでどのようにDMATが活動するか、診療以外の重要な点について学ぶことができました。このような内容については普段の診療で経験できるものではなく、座学・独学ではなかなか使える知識にはなりにくい分野かと思います。

また実習で行ったトリアージ、診療手順についてはJATECの診療を基本とし、その中で災害で注意すべき点を盛り込んだ内容となりました。いかに短時間でトリアージを行い、治療を優先されるべき患者に限られた医療資源のなかで救命するか。また限られた検査のなかで速やかに介入すべき外傷疾患の評価を行うか、改めて外傷診療の必要性を痛感いたしました。災害現場に出向いた際に普段病院で行っているような診療を平常心で行うことは難しいと思います。だからこそ普段の診療のなかで迅速かつ的確な判断をするという点について、意識しながら診療を行う必要があると再認識いたしました。
 
<専攻医>
トリアージや救護所での診療では、頭では分かったつもりでも、実際にやってみると混乱する場面が多々ありました。
一度やっただけでは不十分で、繰り返すことが必要であると改めて感じました。
EMISの入力やトランシーバーでの通信など、実際に経験できたことも新鮮でした。

講義ではDMATとしての活動だけでなく、病院が被災した時の対応についても学びました。災害はいつ起こるか分かりません。
私たちは災害拠点病院で働いており、災害拠点病院は災害時に医療救護活動の中心的な役割を担うことを求められます。
実際に災害が起こった時の対応を、ディスカッションを交えながら具体的に考えることで理解を深めることができました。
また普段からの準備が大切であると改めて実感しました。
 
<専攻医>
災害現場での診療シミュレーションでは普段の病院ではなく医療資源の限られた救護施設での診療をいかに効率よく行うか、後方搬送する患者の優先順位をつけることの難しさを感じました。また、自分がDMATとして被災地へ向かう想定だけでなく、自分の住んでいる地域が被災した場合のDMATの役割など、普段から気にかけていなければスムーズに対応することが困難であることを学ぶことができました。
研修を通じて講師の方々が強調されていたことは、CSCATTTの重要性でした。災害時医療に携わる機会がなかった自分としてはその重要性を再確認する機会となりました。

 
<スタッフ>
トリアージや診療手順は普段の診療で行っていることを基本としつつも、検査ができない災害時特有の観察すべき事項を学び、複数の患者がいる中での重症度と緊急度の判断、過不足ない安定化の処置、またその後搬送する患者の優先度を決定していくことの難しさを痛感しました。
また災害拠点病院として災害時に院内の体制をどのように確立していくか、病院の機能を維持するための確認すべき事項についても、机上演習で系統だって学ぶことができました。
DMAT-Lとしては被災地に向かうことばかり想定していましたが、自身の地域が被災した場合、災害診療を学んだ者として自病院の診療の要となって動かなければいけないこと、また状況によっては院内DMATとして他のDMATと病院の架け橋となる必要性があることも再認識いたしました。普段の診療において災害を想定することは難しいですが、本研修を通して自身の中でより具体的なものにできたと思います。
 
<スタッフ>
実際に、近隣県で災害が生じた時、遠方で災害が生じた時、自分には何ができるか?今までは「災害起こっているな」としか思っていなかったかもしれません。しかし、それが自施設で災害が生じた時に自分が動けるだろうか?と考えたこと恐らく皆さんあると思います。

私は、高校時代に関西淡路大震災を経験し、医師10年目の時に東日本大震災を病院の古い作りの病院の10階で新大学1年生80名に胸腔鏡の指導をしている際に経験しました。関西淡路大震災の際、センター試験の翌日に阪神高速が倒壊し、火災で大変なことになっている神戸の街を見て衝撃を受けたことを今でも覚えています。

東日本大震災の際には、医師でありながら災害医療のことを何もわからず、「現地に行っても何もできないよな」と災害医療の基本を知らないことに悔しい思いをしました。


2020年コロナの上陸と共に、「ほぼ災害」という状況で3年間なんとなく行ってきた平時とは異なる「災害医療」の基礎となる、CSCAの概念およびそれに続くTTTに関して今回の研修会では学ぶことができました。「点」であったものが「線」となり、関連機関および近隣機関と協力することで「面」となる。まさに当教室のコンセプトであると再認識しました。
災害医療はなにが起こるかわからない中で、どんなことを想定し、限られた人材・限られた資機材でどのように立ち回るのか、最終的な正解があとでないとわからないところで、「災害モード」として系統的・論理的に考えて最適な道を選択するという考え方を学ぶことができました。


今までに外傷診療に関するJATEC、病院災害に関するHMIMMS、警察や機動隊も参加されるMCLSなど災害医療を学ぶ目的も含め受講してきましたが、それぞれ少しずつ異なるところがありますが、それぞれの立場の考え方を学ぶことができ、自分の災害医療に対する知識の向上にそれぞれの研修が非常に役に立ち、また職種が変わると考え方も色々とあるということがわかります。


この基本を知ることで、平時の際にも災害時に備えるにはという考えが生まれてくるのであろうと思います。これは日常診療にももちろん通じるところであり、いい影響を与えると感じます。いつ何時自然災害を始め、被災する可能性を秘めている中でこれらの知識を持っているのと、持っていないところでは違います。実際に災害が自施設で起こった際の災害本部の立ち上げ、アクションカードに基づいた行動、BCP作成についても内容を理解し、どんなことを想起し、どのようなことを解決していくのか。時事刻々と変化する災害現場でどのように立ち回るのか。今回の講習会では数多くのトレーニングを経験することができました。が、まだまだ足りない、もっと実地訓練がしたいと思いました。

 
神奈川はビッグレスキューなど大規模災害訓練が行われており、今後このような訓練にもどんどん参加していきたいと思います。
また今回は外傷系のトレーニングとトリアージが多かったですが、CBRNEに関する災害訓練等々にも参加したいと思います。


 神奈川県でもいつまた災害が発災するかわかりません。「その時」に動ける人材育成も我々横浜市大救急医学教室の使命の一つです。このような大規模実働訓練の反省を生かしてよりより体制整備に尽力してまいります。
 重症患者の治療に加えて「災害医療」に興味がある若手医師の皆様、お気軽に横浜市大救急医学教室までお問い合わせください。