学術活動 2022.05.11
東京都立多摩総合医療センター出向中の福井医師がEuroELSOで発表しました。
EuroELSO発表報告。以下、福井医師からの学会参加、発表報告です。
今回イギリスで開催されましたEuro ELSOで発表の場をいただいたのでご報告いたします。
Euro ELSOはヨーロッパにおけるECMOの学会であり、ECMOの学会としては最大規模で、ヨーロッパだけでなく、米国、アジアなどから沢山の参加があります。今回はロンドンで5/4-6まで開催されており、今回は5/5のe-Posterのsessionで発表させていただきました。
発表様式としては座長の先生と発表者、数人の前でプレゼンをするような形で行い、適宜質問を受けるというような流れでした。
今回発見させていただいたのは以前にもご報告させていただいたものでKL-6がCOVID-19におけるECMO導入におけるbiomarkerになりうるかという後方視的観察研究でした。
質問は、CTとの比較はどうか、KL-6が高すぎるような症例はどうか、の2つでした。経験談ではありますが、KL-6が高い症例だとCTで肺の繊維化が進んでいるような実感があり、そのような症例だと肺の不可逆性が進んでいるためECMOでも救命できないのではないか、ただCTとの詳細な比較はできていないのでそちらに関しては課題となると考えております。
今回の発表で感じたことは、自身の英語力の未熟さです。おそらく上記の内容はほとんど伝えられておらず、拙い英語になってしまいました。また、他の発表者の方の発表ではより深くディスカッションできていたように見えましたが、自分のプレゼンではそこまで上手くできておらず差を感じました。準備不足というより日頃英語を使用する機会が少なくこのような失敗に至ったと考えられるので、この反省を生かせればと痛感いたしました。
しかしながら、他のセッションなどを拝聴し経験のないような体外循環の試み(CO2 removal目的で使用する体外循環、心電図と同期して収縮期と拡張期で流速が変わるVA-ECMO、ECMO下での脳死判定、pre-hospitalでのECPR)を海外で行っているとのことでとても興味深い話ばかりでした。今回は参加できませんでしたが、教育セッションもあるため次回以降そちらも受講してみたいと思いました。
また、現地でたまたまお会いした先生(前橋→オーストラリアのThe Prince Charles Hospitalで基礎研究を行っている)とお話する機会があり、現在の留学生活や苦労話を伺うことができとても刺激を受けました。こちらも現地に行かなければ経験できなかったことなので現地に行ってよかったと感じております。
海外学会参加を通じて感じたことは、現地に行ってみないと分からないことが多いということです。現地でしか味わえない経験は今後の進路におけるモチベーションに繋がるものでした。今後日常の臨床だけでなく研究や海外での活動にも目を向けていき、今後またこのような機会が得られるよう精進したいと思います。
イギリスでは既に8割方ノーマスク、普段の生活を取り戻している様子でした。日本への入国はPCRが必要である点や煩雑な手続きをこなさなければならない点などまだ海外へのハードルはありますが、ヨーロッパの印象を見るとそれもなくなっていく流れになると推察します。若い学年の先生方も、一度経験すると視野が広がることに繋がるので一度このような経験をお勧めいたします。
コロナ到来以来教室としても約3年ぶりの国際学会参加でありましたが、すばらしい経験をされて帰国されました。
以上のように教室員の若手の先生方の海外学会の積極的な参加、英語論文を中心とした学術活動指導をしっかりと指導を行います。