院内教育 2022.7.30-31
神奈川県主催ECMO勉強会を開催しました
2019年11月より世界中で蔓延し、2022年7月現在日本においても第7波という驚異的な感染力をもち、猛威を奮っている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。重症症例は減少してきたとの報告もありますが、中には集中治療管理(呼吸器管理や体外式膜型人工肺(ECMO)など)や治療戦略を要する症例にも遭遇します。ECMOに関しては、このCOVID-19症例対応で各施設でも日々updateされ、よりよいものになりつつありますが、まだまだ不明な点も多く、慣れていない施設もあります。実際、ECMOの導入・管理等に専門性高く、全ての施設で管理できるようなものではありません。
今回はその知識の再確認とさらに使用できる病床を増やす、管理ができる人員を増やす目的でECMO勉強会を当教室谷口医師・本澤医師・武田医師・大田医師が中心となり、さらには宇都宮再生会病院・多摩総合医療センターの先生方とともにECMOチームによる神奈川県主催ECMO講習会が横浜市立大学福浦キャンパスシュミレーションセンターを中心に開催されました。
この神奈川県主催ECMO講習会について本澤医師より主催者報告を、山本医師より受講者報告をしていただきます。
この度第3回目となる神奈川県ECMO講習会を7月30日、31日の両日で開催いたしましたのでご報告申し上げます。
今でとは少し違った形ではありますが、COVID-19による医療逼迫に直面する中でこのような講習会を開催できたことは、教室員の皆様はじめ多くのご協力をいただいた結果と考えており、感謝申し上げます。
神奈川県内の両日で8施設/8施設 当教室関連施設だけでなく、県内大学病院・地域中核施設合計16施設の受講生のみなさまをお迎えして、前回、前々回同様の活発な議論を伴った実習と講義が展開されました。
お互いにマスクやフェイスシールドを用いながら、講師や受講生同士の感染管理についても留意をいただきながらの講習会となりました。
回を重ねるごとに参加施設での呼吸不全症例に対する経験も蓄積されてきているように感じられ、改めて開催側の私達も様々な収穫を得ることができました。改めて講習会を経るごとに、各個人のインストラクションのブラッシュアップがなされていると感じますし、宇都宮の先生方のインストラクションを見学することで、自分たちにも新たに取り込める要素を得られたと感じております。
本講習会はECMO講習会基礎編と位置づけております。今後の講習会としてECMO講習会応用編やトランスポート編など地域のニーズに合わせた講習会やシュミレーションを計画中であります。
神奈川県ECMO講習会に受講生として参加させていただきました。
講習会の内容としてはECMOの導入・維持・離脱といった基本的な座学からトラブルシューティングや回路交換の実践まで多岐にわたる内容をご講義いただきました。また、重症呼吸不全・ARDSに対する腹臥位療法や人工呼吸器管理などの肺保護戦略も講義内容に含まれていました。
講義内容やスライドは非常に分かりやすく、自分自身の知識の整理や、今までわかっていなかった知識を認識することが出来ました。
また、トラブルシューティングに関しても、不明な点を講師の先生方に逐一質問しながら行うことができ勉強になりました。
所属施設(横須賀共済病院)からは私のほか、看護師1名、ME2名が参加しており講義やシミュレーションを通し議論することで日々の疑問点や改善点が分かりました。
VVECMO症例が減少し限られているからこそ、トラブルシューティング(ハンドクランクや回路交換、緊急時の人工呼吸器設定)などの対応は普段から多職種で共有・訓練する必要があると感じました。
また、講義の本筋とは異なりますが、他施設と情報共有する中でどこの施設も軽症・中等症COVD-19の増加によりベッド状況が厳しい現状も再認識しました。
本日の講習会で得た内容は自施設に持ち帰り多職種で共有したいと思います。
今後もCOVID-19の更なる蔓延の波に備え、また日々の診療における呼吸不全・呼吸急迫症候群(ARDS)の管理などにも対応できるよう、更なる患者の救命・治療を充実させ、どんな状況にも対応できるようにするには医療スタッフ個々の能力だけでなく、"チーム”としての人材育成が大切です。更なる成績向上・一人でも多くの患者を救うためこのような勉強会を当教室が中心となって開催しています。